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藤井 修治
 
Vol.18 「芸術と生活(その2)」  
2000年11月8日
 生活の中に多少なりとも芸術的な香りを持ち込めば、偉くなくてもお金持ちでなくてもけっこう豊かな気分になれます。地位 や財産を得たりすると、今よりもっとなどとさらに欲が出たりして心は休まりません。負け惜しみでなく、僕のほうがずっと幸福だと思います。前回は衣食住の衣について書きましたが、今回は食にします。
 音楽や美術など、すでに芸術として認知されているものでなくても、こちらの扱いかた次第で芸術になります。飲んだり食べたりにしても芸術的醍醐味を味わうことができれば最高!食事も心して食べたいものです。
 フリーになった機会に思い切って行動半径を拡大し、吉野家の牛丼から立ち食いのうどんそば、カレーなども食べるようになり、そんなことを雑誌で書いたりしたせいか、そういうものばかり食べてると思っている人もいるみたい。これも楽しいのですが、いっぽうで時には豪華な食事で精神的バランスを保っているんです。
 美しい食といえばまず和食。和食は目でも食べるものというほどです。季節の変化に合わせたり先取りしたり、味覚だけでなく視覚でもアピールしてきます。懐石料理では絵巻物をくりひろげるようにつぎつぎに美しい料理が出てくれば、生きててよかったなどと思ったりします。京都の嵐山の「吉兆」などは、部屋の調度から食器の見事さまで全ゆる面 で大満足です。しかしフリ-タ-の身分ではもう一度行きたいと思っても無理かも!
 中華料理の三日間も食べつづける満艦全席などはテレビを見るだけで我慢我慢!洋食ではやはりフランス料理が美しさ抜群でしょう。フランス料理のフルコ-スは、伝統的な堅固な構成、劇的とまでいえる起伏、食器の豪華さ等々、オペラやバレエの進行にも似ています。たまにはオペラやバレエと同じ長さ、2時間半ほどかけてゆつくりと楽しみたいのですが・・・。デヴィ夫人のように毎日超一流レストランでドンペリをのみながらの食事ではかえって苦痛になるかも。たまに食べる程度で健康を保ちましょう。
 ということで新宿区の生まれ育ちを利して新宿あたりを食べ歩くことが多いので少々御紹介します。僕にはデパートのレストラン街が交通 の便もよく、値段も手ごろです。手軽に食べられるカジュアル・フレンチといったところでは、京王デパートの「パリの朝市」がすてき。いつも中央に華やかに生花が飾られていて、普通 ではボトルでなければいけないシャンパンをグラスで飲ませてくれます。ケーキも三種を選べば小さく切ってくれます。小田急デパートの14階の「ぎんざ清月堂」のコースは、同じ値段で前菜とメインとデザートを数種類の中からチョイス。好きなものを組み合わせる楽しさ。デザートはたいていの場合「パティシエ(お菓子を作る人)のきまぐれケーキ」にします。行くたびにお皿の景色が違っていて、小さいケーキやシャーベットの色彩 や味の微妙な組み合わせを楽しみます。きのうはチーズケーキとパッションフルーツの夢のようなケーキ、フランボアーズのシャーベットでした。女性向きかも知れませんが、男性陣も本当は好きなはずです。おすすめします。伊勢丹の「ブラスリー・チャヤ」の明るさ、中村屋の3階のレストランの重厚さもよい。そしてウチの近くでは、去年の暮れにNTVの土曜日の朝「途中下車の旅」で紹介された「エシャロット」の気楽さも気に入っています、よかったら御案内します。
 大芸術を求めてのコンサートホールや劇場、展覧会場通いもいいですが、芸術オタクに終わらず、おいしいものにも気を配れば、大芸術もさらに楽しめるはずです。



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