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藤井 修治
 
Vol.19 「芸術と生活(その3)」  
2000年11月20日
 衣食住に少しでも美をとの提案。今回は住について。われわれ日本人は衣服や飲食の面 は多少なりとも充足しているようですが、住のほうはけっこう苦しんでいます。家を持つのが男子一生の目的という風潮もあります。かつて来日したイギリス人が、日本人はウサギ小屋に住んでいるといって日本人をムッとさせましたが、東京でまともな家に住むのは外国でお城に住むぐらいお金がかかります。僕なんかもできればもっと豪華に住みたいと思ったりします。一つは和風で茶室つき。もう一つは洋館でコールドバレエ風にシンメトリックに造られたフランス式庭園がいいとか。夢のまた夢ですが、夢を見るのは勝手でしょ。しかし現実では狭い空間を少しでも美しく楽しく住みたいもので、それにはそれなりの工夫が必要です。
 最近、「捨てる技術」という本がヒットしています。これは一遍上人が説くような宗教的な捨てる思想ではなく、具体的に不用品を捨てることですが、これも多くの人間がひしめき、物が溢れている日本独特の意見といえます。これには反論もあるのは当然でしょう。捨てる捨てないは、各人の考え方や住居の広さなどによって違います。僕は苦心して集めたものや古い洋服などはなかなか捨てきれない普通 の人間でしょう。
 東京生まれの僕は、いまでは珍しい日本的な庭のある家に住んでいるのですが、近くに求めた仕事場のほうは小さなマンションで、捨てるに捨てられない書物や資料、そしてゴミの数が年を追って多くなって全く困っています。それでもそれなりに自分の美意識を込めようと努力はしているんです。
 仕事部屋は天井や壁面、家具も白で統一しています。カーテンなどはライトブルー。もう灰色っぽいですが・・・。年を取ると視力が衰えるだけでなく、若い時よりずっと暗く見えるとのこと。蛍光灯はうんと明るく、観葉植物も明るいものを多くしています。天井に張り巡らせたポトスの黄緑は、目を休ませ、光合成で酸素をふやしているのかも知れません。
 いっぽうコレクションを並べたりしている小さい部屋は昼間から厚いカーテンを閉め、白熱灯だけで夜っぽくします。ポカリスエットをカラフルなベネチアングラスで、バラ色のアセロラドリンクは無色透明のバカラのグラスで飲んだりします。この部屋の花は全部、駅構内などで買った安い造花です。本物の生花にこだわるのもいいですが、いつも満開でいてくれます。植物学者もびっくりの現実にはない人工的な珍種も愉快なものです。古典バレエのような人工美もよいと思います。趣味ワルーなどといわれそうなので誰もお招きしない自分だけの不思議空間といえます。
 日本では昔の朝鮮の飯茶碗が国宝級の抹茶茶碗として珍重されていますが、僕は逆に清水焼の抹茶椀で、時々ご飯を食べたりして遊んでいます。約束事やテーブルマナーを知った上での反則はけっこう楽しいものです。こんなわけで貧乏なくせに、年とともに遊びの比重がふえているようです。
 実は働き盛りの友人が通勤途上で倒れたり、職場で倒れて死んでしまったりした例が少なくないのです。平和を謳歌している日本ですが、企業戦士として死んでしまっては何にもならない。そんなわけで早めにフリーになった僕ですが、おかげで21世紀を迎えられそうです。そして長い時間を過ごす住居をもう少しきれいにしたいと考えているのです。しかし捨てる捨てないが、思ったようにはいかないのが現状です。だれか手伝ってくれる人いないでしょうか?  とにかく衣食住の3番目の住ですが、各人各様にもう少し心にかけてみると生活が楽しくなるはずです。



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