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うらわまこと
 
Vol.1「つれづれ想う事」 2000年3月24日
 
私は年間300を超える公演に足をはこんでいます。それでも見たいものの全部をとてもカバーできないほど、毎日各地で数多くの舞踊公演が行われています。
戦後すぐに、上海のバレエ・リュッスで活躍していた小牧正英さんが帰国し、ただちに結成された東京バレエ団が上演した「白鳥の湖」は、大変な人気で敗戦の日本人に勇気と希望を与えました。それから半世紀を超え、当時の苦労から見ると現在はいろいろな面 でたいへん恵まれています。ダンサーたちはみな姿も美しく、技術も高い。劇場その他の条件も素晴らしいものばかり。こう見てくるとわが国の舞踊界は万々歳といえそうです。
でも、はたしてそうでしょうか。たしかに舞踊界の内部にいると、公演数、お客の入りやダンサーの技術などから、全体としてはこれでいいんだと思いがちです。ただ、私のような、半分外部にいる人間(大学で経営学を教えています。しかし、決して社員のクビを切ってでも儲けろということを教えているわけではありませんよ)から見ると、まだまだ問題は多いような気がしてならないのです。それは、ひとことでいうと舞踊界の閉鎖性、社会的な認知度の低さです。もちろん、わが国のなかで見れば、変わってきてはいます。しかし、欧米だけでなく、アジアの国々での舞踊の状況と比べて見てどうでしょうか。一般 の人々の舞踊に対する理解と関心の低さ(たとえば、舞踊とかバレリーナといったことばの誤用)、公的な舞踊教育の遅れ(国立の舞踊学校がないだけではありません)、ダンサーを志す男性の少なさ(半々とはいわないまでも、女性の半数ぐらいはいないと)、など残念な点が多いのです。
これは経済優先のわが国の在り方に基本的な原因があることは確かです。しかし、舞踊界では、このようなことをあまり気にしていないようですね。たとえば、国立大学に舞踊学部をおけという運動とか、男性ダンサーを増やすための条件整備といったことはどこもやっていないのではないでしょうか。
これは実際には大変なことで、具体的にどうしたらよいか私にも分かりません。ただ、いささか遠回りかもしれませんが、舞踊界を開かれたものにすることも一つの方法で、そうなれば、いろいろな考え、方法も出てくるような気がします。このページもまさにその一つだと思っています。
もちろん、固い話ばかりするつもりはありません。ただ、これからしばらく少し辛口で舞踊界ばかりでなく、わが国の現状のおかしなところを取り上げ、考えてみたいと思っています。異論、反論大歓迎です。よろしくお願いします。


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