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うらわまこと
 
Vol.12 「国際的になったわが国の観客
  -バレエフェスティバルに思う-」
2000年8月23日
 

今年(2000年)8月の前半には、多くのスターダンサーが得意な作品で競い合う、 フェスティバルというか、ガラ・コンサート形式の公演がいろいろと行われました。
ここには世界バレエフェスティバルという国際的なものもありますが、日本人ダンサーを 主体とした公演が3つも続けて行われたのは、きわめて珍しいことです。
その3つとは、実行委員会による「ミレニアム・ガラ」(オーチャード・ホール)、 子供の城主催の「青山バレエフェスティバル」(青山劇場)、そして橘秋子記念財団による 「日本バレエフェスティバル」(新国立劇場オペラ劇場)です。
なぜ今、フェスティバルなのでしょうか。これにはいろいろな理由があります。まず、 内外の著名な、あるいは個性的なダンサーを一度に見られるというのは、ファンにとって 大変な魅力だということです。しかもそれぞれに趣向をこらしているのですから。でも、 実は主催者にとってもこの形式はメリットがあるのです。たとえば古典バレエ、あるいは 規模の大きい創作は、装置や衣装などの美術にお金がかかりますし、売れっ子ダンサー たちを同時に集めて振付やリハーサルを行うのはなかなか大変なのです。その点、 パ・ド・ドゥやソロが多いフェスティバルは、装置も簡単でリハーサルが別 々にできます から、わりにやりやすいといえます。また多忙なスターを招くのは大変なことですが、 7・8月というのは舞台芸術のシーズン・オフですから、比較的スケジュールに余裕があり ますし、海外在住の日本のダンサーも里帰りできるわけです。この意味では、8月の フェスティバルは、観客にいいものを見せるわが国の生活の知恵ともいえます。もちろん これとて簡単ではなく、主催者の苦労は大変なものであることはいうまでもありません。 これらのフェスティバルを見ていて、日本の観客も国際的になってきたなと感じるように なりました。ここでいう国際的とは海外の情報を多数もっているとか、海外のバレエに 触れる機会が多くなったというのではありません。海外や国内にとらわれず、きちんと 見る目ができたということです。
ホームタウン・デシジョンという言葉があります。これは身びいき判定という意味で、 スポーツやコンクールの審判や審査員が地元に有利な判断を下すことです。それがさらに 広がると、スポーツなどの応援で熱狂的に地元チームを応援することにつながります。 サッカーでホーム(地元)とアウェイ(相手先)でサポーターの状況がまったく違うという のはよく知られています。
わが国ではこの点、フェアであるといわれています。スポーツもですが、バレエなどでは 海外からのゲストを非常に暖かく迎えます。これが遠来の客に対するホスピタリティ (気遣い)なら結構だし、その多くはそうだと思います。しかし、日本人には外国、とくに 西欧のものは何でもよく見える。それに比べて自国のものはだめだという劣等感がある ことも事実です。その典型が海外ブランド信仰です。これとは逆に、ある国には優越感を もち、差別的になることもあります。これは国際化のなかでもっとも好ましくない意識、 行動です。国や民族に関係なく、いいものはいい、駄目なものはだめ、これが大事です。
上記の3つのフェスティバルでは、海外からの著目なゲストも参加しており、それぞれ 見事な演技を披露してくれました。しかし、それに劣らず日本のダンサーも素晴らしい力を 発揮しました。私の見るところ、それらへの拍手、賞賛はダンサーの国籍に関係なく、 その作品や演技の内容に比例していたいと思います。日本のダンサーのレベルとともに、 観客のレベルも随分高くなったと、大変嬉しくりました。




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