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山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、フレンチ生活を山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

2022年3月

今月もたくさんダンスを見ました~

まずは、ディミトリス・パパイオアヌーの「オリエンタシオン・トラヴェルサル」。
日本公演では「Transverse orientation」で、フランス語では「 Orientation transversale」
フランス語と英語では言葉が逆になる。

公演後のトークはパパイオアヌーの頭の中をちょっと覗けた感じで面白かった。

アートは人生そのものと言うパパイオアヌー。もと絵描きの視点がダンサーによって動きになり、それを空間構成するのだと。
裸体になるシーンが多いことについては、身体はギリシャ彫刻に由来するのだと。

「私が惚れ込むだけの個性を持ち、きっちりと表現できるダンサーでなくてはならない」と言うだけあって、素晴らしいダンサーによる壮大なギリシャ神話物語。過去と現在、日常と幻想が交差する見事な演出。

パリ・オペラ座はガルニエ宮でホフェッシュ・シェクターの夕べで、「Uprising」と「In your rooms」のダブルビル。

35分の作品が2本という短いソワレだったけれど、見応え十分!
オペラ座の若手ダンサーたちは、溢れるエネルギーでホフェッシュ節を踊りこなしていて、それに応えるミュージシャンもノリノリ。音楽とダンスの饗宴に感動の一夜だった。

カーテンコールにはホフェッシュ自身も出てきてくれて、再演でも作品を毎日見守る姿勢に敬服。

オペラ座バスティーユでは

ラ・バヤデールのビデオが大画面に!

シンデレラのイメージポスターはダンサーの藤井美帆さん。あ、でもこれはバレエではなくて、オペラのシンデレラ。

オペラ座もウクライナを支援

パフォーマーに開放されたアートスペース104 サン・キャトル。

今日は少し人が少ない感じだけれど、好きな時に来て、空いてる場所で練習できる人気のスペース

イベントや公演もたくさんある

偶然に入った部屋ではダンス映画。これがめちゃ面白かった。

入った途端に目に入ったのが、「黒侍」とぶっとい筆で書かれたタイトル。
サムライ映画?フランス語のタイトルは「YASUKE KURIOSAN」
モザンビークの奴隷が侍になるというマンガチックなストーリーで、日本に行って撮影した意気込みがすごい。鎌倉の茶室で侘び寂びを感じ、宮島で踊り、夜の繁華街の路上で踊り、侍から剣の指導を受け、日本魂講座を大広間で受けているうちにヒップホップダンスになっちゃったりして、お笑いなのかマジなのか?
ところがその次に見たビデオダンスに衝撃を受けた。

アフリカのベナンのノコエ湖の水草の中で漂い、村の小さな場所を見つけては踊り、村祭りで盛り上がる。なんと自由!なんと自然!踊る喜びが溢れる姿が眩しかった。

それが「NEVER TWENTY ONE」では、アメリカでの黒人差別を憤る。身体中に書かれた名前。「一人殺されたらそいつの名前を体に刻む。そうすればいつも一緒にいられる」

スマイル・カヌテSmaïl Kanouté。注目の新人と見た!

この後に見た公演で踊ったレイラ・カも面白い感性を持ったダンサーで、要チェック

104での今夜の本公演は、マルセイユ国立バレエ団。

「ロング・プレイ」というだけあって上演時間は3時間。開演が9時だから終わるのは12時かぁ…メトロはあるけど、治安が心配だから途中で帰るつもりだったのに、結局最後まで見てしまった。
1時間の作品が少しずつ変化しながら3回繰り返す構成で、変わっていくダンサーの身体やエネルギーと空間構成が面白くて、最後はスタンディングオベーション。

マルセイユ国立バレエ団は、バレエ団といえどコンテンポラリーダンスのカンパニー。ローラン・プティの時代とは異なるけれど、常にその時代の先端を行くディレクターが仕切るバレエ団なのだ。
現在のトップは(La)Horde、3人のアーティストのユニットで、斬新な企画で新たな方向性を開拓している。

南アフリカの異端児ダダ・マシロの新作「春の祭典」。コロナ禍で延期になっていた世界ツアーがようやく再開して、おらが町にやって来た~。パリよりも、アヴィニヨンのフェスティバルよりも早くクレルモン=フェランに!
これまでの「カルメン」や「白鳥の湖」のような古典作品をベースにした作品かと期待していたら全く違った。音楽はストラビンスキーではなくて、3人のアフリカ人のミュージシャンの生演奏で、歌手が素晴らしかったなあ。明るく踊って歌うアフリカの日常の中の生と死を対比させるというこれまでとは一味違う筋だて。振り付けしてメインで踊って大活躍のマシロ。若いのにすごいなあ。「サンショは小粒でも、ピリリと辛い」という表現がぴたりと当てはまる感じ。

振付家やダンサーの企画は、劇場の協力なしでは実現しない。マリオネットを使った作品で有名なジョアニー・ベールの新作「Une Épopée」はなんと6時間!

お弁当を持ってくるか、劇場レストランでのランチは予約してね~と、11時から始まる四幕の長編演劇。一つの物語を4人の演出家がそれぞれのパートを担当しているから、アイディアいっぱいの6時間だった。

ランチタイムはホールや会議室などが開放されてピクニック会場。いつもとは違う雰囲気の劇場が新鮮。

フランスで何が起こってる?

え~、ガソリンがな~い~!

ガソリンを入れに行ったら、ガソリンがなかった。。。
セルフのスタンドは結構混んでいて、車を出したり場所を入れ替えたりと不審な行動をしている。なんで?
キャッシュカードを入れると機械はちゃんと反応してくれるのに、いざ注入しようとするとメーターが上がらない。つまりタンクが空っぽなのだ。それでみんなガソリンのある場所を探していたのだ。値段の高いガソリンしか残ってない。

で、お値段は?
1リットル240円!あるだけマシだけど、懐を寒い風が通り過ぎていく…

どんどん変わるコロナ規制。だけど

3月1日から日本への入国規制が緩くなって、フランスからの入国者は、6日間だった強制隔離が3日間になる。でも、ワクチン接種を3回受けていれば自宅待機だけ。

それが、3月3日からはさらに緩和されて、フランスからの場合は強制隔離がなくなって、3回目のワクチン接種をしていれば自宅待機も必要なくなった!
キーワードはワクチン3回接種なのだ。3回、3回、3回…

これで日本が近くなる~と喜んだのも束の間、ロシアがロシア上空の飛行を禁止すると発表。ルートは南回りか、アラスカ周りか?いずれにせよ、飛行時間は長くなるわけで、また日本が少し遠くになった。

フランスでは3月14日から多くの場所でワクチンパスの提示が必要なくなって「やっと自由になった」と喜んでいる。公共交通機関はマスク着用義務だけれど、劇場はすでに2月末から義務がなくなっている。半数以上の人がマスクなし。
見えないものは信じないフランス人。
コロナウイルスはまだウヨウヨしているし、ワクチンを3回接種しても感染する。重症化しないだけ。近くでゴボゴボ咳をする人は、コロナなのか風邪なのか、思わずジロリと見てしまう。

コロナのおかげでマスクをしても不審に思われないから、堂々とマスクを付けられるのがいい。私の場合は、排気ガス対策と体臭。列車の指定席での長距離移動や密になる場所では必須。隣に誰が来るかわからないからね。

なんで臭いのか?
元々体臭が強い人もいるけれど、風呂に入らない人が多いから~。

かわいい顔しているのに、臭い。10メートル先からでも匂いそうなほど強烈。そこで聞いてみた。
「週に何回シャワー浴びてるの?」
「1週間に一度、バスタブにお湯を張って、家族で順番に入るの。」
「え?1週間に一度だけ?」
「そうよ」
「夏でも?」
「そうよ」
え?順番に入る?

こっちの風呂場には洗い場がない。全てはバスタブの中で行われる。順番に入るということは、バスタブの石鹸水の中で体を洗うのだろうから、最後の人は垢だらけのお湯に浸かるってことぉ?
「それで、そのお湯をトイレの水洗に使うの。水の節約よ」と自慢。
だからバスタブの水が真っ黒だったのか。。。

別の子供に風呂に入るのかと聞いたら、
「入らないよ。シャワーも浴びない。だってプールに来ているから」
あのなー、プールは大衆浴場じゃないそ!

タチが悪いのが、体臭=フェロモンと勘違いしている人がいること。
「僕の匂い好き?フェロモンいっぱいでしょ」
「臭い!腐ったチーズの匂いだよ」

これでツレは「臭い」という日本語を覚えた。ツレは毎日風呂に入る。それでも汗は匂う。こうなると根本的な体質の問題。欧米で長年培われた肉中心の体質と、野菜中心のアジア民族の違いだろうか。
「君に体臭がないということが信じられない」と言う。
こっちも負けずに「なんでそこまで臭いのかが不思議だ」と返す。

日本人のダンサーに聞いた。「臭い人とデュエット組む時どうするの?」
「口で息してる。最初は大変だったけれどもう慣れた」
「さすが!」

ちょっと小旅行 モンタルジMontargis

パリのリヨン駅から列車で1時間弱、南に下ったところにある水の都。

昔、中国人のコミュニティがあったそうで、人の良さそうな中国人のおじさんの銅像にほっこり。

公園にはスケートパークがあって、ボードとBMXが譲り合いながら使っている。日曜日はボランティアが子供たちを指導していた。

こんなヘアスタイルで学校に通っちゃうの?日本だったら退学になるよね。
文化と時代の差にビビるおばさんでした。
パリからさほど遠くないのに、なぜか週末に電車が運行されていない。通勤圏で、観光地ではないということ?

今月のビューティフル

トロカデロ広場の夕焼け
うつくし~

反対側を見れば、

エッフェル塔、月を射る

山では羊の出産ラッシュ。元気に育ってね!

私は犬や猫を飼う気はないけれど、羊を飼うのが夢だ。これを実現するにはかなりハードルが高い。

山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、あっという間におばさんになった。パリジエンヌを長年やっていたが、環境を変えるのも一つの経験と、地方都市に移住。山が見え、庭のある生活は新鮮だけれど、やっぱりパリが恋しくなる。イベントはたくさんあるし、人はうじゃうじゃいるし、デモに暴動、スリに騒音とエキサイティング。我が身を守るには、ボケている暇はない街なのだ。時々出没するパリで再発見をして、やっぱりパリが好き~!
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