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コラム:幕あいラウンジ・うわらまこと Vol.1:ダンス・舞踊専門サイト(VIDEO Co.)
うらわまこと 2012年8月11日
Vol.1
日本の文化特性と舞踊作品ーマシュー・ボーン「くるみ割り人形」の盛況に思うー
日本文化、すなわち日本人の価値観と行動スタイルの特徴は集団主義といわれています。これは端的には、集団の一員であるという意識が強く(価値をそこにおき)、そこで自分を主張するより皆とうまくやることを第一に考えて行動するというスタイルです。この文化は、集団(たとえば会社)の目的に対して全員が一致団結して取り組むという特徴がある一方で、自分を殺して周囲に合わせる、つまり主体性がない、個人が見えないという反面もあります。さらに、個人ではシャイで消極的だが、仲間と一緒だとすごい力を発揮するともいわれています。戦争に負けて半世紀、わが国の示した驚くべき経済成長には、まず平和、そして教育程度の高さとともに、この文化特性が大きな役割をはたしました。
この文化特性は現在変化を見せています。周囲のことより自分を大事にする人が増えてきました。ただし、集団からはなれること、つまり仲間外れにされることへの恐怖は若者のなかにも根強く残っているようです。
舞踊評論家
本名 市川 彰。慶応義塾大学バレエ研究会において、戦後初のプリマ松尾明美に師事、その相手役として、「ラ・フィユ・マル・ガルテ」のアラン、リファールの「白鳥の死」の狩人役を日本初演。企業勤務の後、現在大学で経営学を講義しながら舞踊評論を行っている。 各紙・誌に公演評を寄稿するほか、文化庁芸術選奨選考委員、芸術祭審査委員、多くの舞踊コンクール審査員、財団顕彰の選考委員などを務めている。