News & Column
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ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、フレンチ生活を山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
2020年1月
相変わらずストは続いている。こんなことでイライラしても仕方ないので、ポジティブに考えよう。電車が本数少なくとも動いているだけありがたいと思う。
13区のトレージエーム・アートへ、イスラエル・ガルヴァンの公演を見に行ってきた。この前パリの日本文化会館でYCAMとのコラボレーション「Israel &イスラエル」をしたばかりで、今度はピアニスト二人との共演。この後3月にはラ・ヴィレットで別の人とのコラボ作品「Gatomaquia」が予定されていて、精力的な活動に驚く。
客席に行くまでの廊下にずらりと並んだガルヴァン公演のポスター。テアトル・ド・ラ・ヴィル常連アーティストなのだ。
いつも通りの斬新なアイディアはさすがだ。横倒しになった剥き出しのグランドピアノを蹴りあげたり、タンバリンを蹴飛ばして音を出したり、裸足で踏むサパテアードの鈍い音も新鮮だった。二人のピアニストの現代音楽は、最初はキツかったのだけれど、それが「春の祭典」のメロディーになると、オーケストラとは違う雰囲気に引き込まれた。2台のグランドピアノが対面に置かれて距離があるので、交互に出る音に立体感が出ているし、阿吽の呼吸の連弾はどうやってタイミングを合わせているのかと、観察したくなるほど。そこに興味を持ったからか、腕をパッと開いたり、足を上げたりするガルヴァンさんの動きが平坦に感じられてしまった。サパテアードは素晴らしいけれど、上体の動きが乏しいのが原因かなあ。
ガルヴァンさんの床に円形に広がったロングスカートを履いて立つ姿は印象的だったけれど、その姿を見せるだけに終わったのが残念。このスカートで派手に踊って欲しかったなあ。
YCAMとの方が面白かったなどと思いながら会場を後にした。
帰りのメトロは夜7時半が最終だから、バスで帰ろう。ありがたいことにバスは深夜まで走ってくれているから、これで家に帰れる。
バス停にはいつかくるはずのバスを待つ人多数。誰もイライラしていない。そのうち来るでしょ、という感じでじっと待っている。寛容というか、スト慣れしちゃったというか。電車もバスもダメなら歩けばいいというわけで、夜中まで人通りがあるおかげで安心して歩ける。この前は夜遅くにパトカーが拡声器でオペラを流しながら走っていた。怒りをユーモアに変えるのも悪くない。まあこんなことで怒っても仕方ないけどね。
その後同じバスに乗り合わせたニコラさんが、「終演後に楽屋に行ったよ!」と言って写真を送ってくれた。
左がピアニストのシルヴィ・クールヴォワジエさんで、今日演奏した現代音楽は彼女の曲。今日は熱があって体調不良だったそうだけれど、そんなことを一切感じさせない演奏は、さすがプロ!もう一人のピアニスト、コリ・スミスさんと写真が撮れなかったのが残念と悔しがるニコラさん。
パリ・オペラ 座はとうとう1月31日まで公演は全て中止になった。18億円以上の損害を出しているらしい。この先どうなるんだろう。