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山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、フレンチ生活を山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

2020年2月

ダンスざんす

パリオペラ座のストライキは、どうにか収拾したらしい。今年に入って最初のバレエの演目「ジゼル」と「バランシンの夕べ」の初日と、2月6日の全国一斉ストライキの日の公演がストで中止となっていたけれど、このままストを続けたらオペラ座が潰れてしまうかもしれないので、上演を決めたらしい。「ジゼル」と「バランシン」を見に行ったら、「メゾンを救うため、上演を決めました。政府とは交渉を続けていきます」という場内アナウンス。20億円以上の損害が出ているらしい。

これで日本公演は無事に行われるだろうなあと思ったので、日本に行かない配役の日を見た。リュドミラ・パリエロとマチアス・エイマン。美しい。二人とも安定しているから、安心して作品に入れる。こけられるとそこでプツリと切れてしまうからね。

ミルタ役のセウン・パクも良かった。日本公演はオニール八菜ですね。この二人がいつもコンビで組まされるのは、アジア人だから?
以前にカール・パケットの相手を見事に務めたと評判のビアンカ・スクダモアは、ペザントのパ・ド・ドゥ。もっと良い役をつけてもらってもよかったのではないかと思うけれど、若手は修行に次ぐ修行を踏まなくてはならないから、仕方ないのかな。相手役のトマ・ドキールの基礎バッチリダンスには思わずブラボーと叫びそうになった。アントゥールナンの着地が完璧!真っ正面に、ちゃんとかかとがついた状態で降りてる。ピルエットも安定している。今年からスジェに昇進していて、この調子だと近年中にさらに昇進するかも。期待、期待。

ヒラリオンはジェレミー=ルー・ケール

カーテンコールでは、エイマンが、そしてパリエロがオーケストラに丁寧に挨拶したのが印象に残った。音楽がなければ、しかもちゃんと演奏してくれなければ良い踊りはできない。指揮者のクーン・カッセルはダンサーの動きに合わせて指揮を振るので、さぞかし踊りやすかったことと思う。良い演奏あっての良い踊りなわけだから、踊り終わったら演奏者をねぎらうのは当たり前だと思う。
45日休演の後の久々の舞台だったからか、ダンサーと演奏者の一体感がいつもより強く感じた公演だった。

休憩中は館内散歩と決めている。今夜は2階のバルコニーには出られなかったので、窓から除いたら、この光景。え?あんな高いところになんで人が!!!
いるわけないよね~

これは向かいのカフェ・ド・ラ・ペがある建物の外装工事用のシートの広告なのだった。

わお、おっしゃれ~!ファー付きの白のロングコート、しかも引きずるほど長い。髪型も奇抜でかっこいいけれど、裾はさぞかし汚れているだろうなあと心配するのは、おばさんの境地?

休憩は20分。長いようで結構短い。お手洗いに行きたいとか、飲み物が欲しいなら、ダッシュで行くべし。その両方を、というのは不可能に近い。上の写真は飲食スタンドの列。開演5分前には開演のベルがけたたましくなるから、せっかくシャンペンを手にしても、マリー・アントワネット気分を味わおうなどという時間はなく、下手すれば一気飲みになることも。事前予約で軽食を頼むと、テーブルも確保されるけれど、それでも20分では結構慌ただしい。

続いて「バランシンの夕べ」をバスティーユのオペラ座で。2700席を埋められる人気の作品がここで上演されると聞いた。集客が見込めないのはガルニエ宮というけれど、オペラ座での公演は、どの公演も満席で、当日券をゲットするのは至難のワザ。「ジゼル」がガルニエ宮なのは、装置の問題らしい。古典作品にはガルニエ宮の方が似合う。
演目は、「セレナーデ」「コンチェルト・バロッコ」そして「フォーテンペラメンツ」

「セレナーデ」の幕開きは美しい。水色のドレスの女性たちが整然と並んでいて、これだけで感動してしまう。群舞の中から飛び出したレティツィア・ガローニが気持ち良いほどに溌剌としていてよかった。メインのデュエット、マリオン・バルボーとマルク・モローは、しっとりしていたけれど、感動には至らなかった。そこに出てきたエミール・コゼットは、若手の中に現れたお母さんみたいで、ちょっと雰囲気違うんじゃないかな~。存在感はあるけれど、今日のキャストの中では悪目立ちしてしまった感じ。もったいない。

「コンチェルト・バロッコ」では、今年からコリフェに昇進したホユン・カン(写真片手を上げている人)がめっちゃいい。スタイルの良い体から音符が弾けるように踊っている。もちろんテクニックもバッチリ。相手役のエトワール、ヴァランティーヌ・コラサントとステファン・ビュリヨンが重く見えてしまうほど。今日の配役は若手がエトワールを超えている感じ。

次々とダンサーが出て来る構成の中で、やっぱりマチアス・エイマンが最高!「ジゼル」に続いて、「バランシン」も問題なし。惚れ惚れしました~。

クラウドゲイト・ダンスシアター/雲門舞集の「13 Tongues」を、フランスツアーの最終地クレルモン=フェランにて。
今年から芸術監督が変わって、グッと若返った感じ。身体能力は高くて、フィジカルな踊りと映像が好きだったなあ。

フランスでハイキング ~水の産地ヴォルヴィック~

フランスで唯一軟水のペットボトルを販売しているヴォルヴィック。ここにハイキングコースがあると聞いて行ってみた。
工場横の駐車場から始まる8キロのコースは、結構きつい山道を登るところから始まる。5分ほど歩いただけでゼーゼーいう私の横を軽快な足取りで走って追い抜いていくお兄さんやおじさん達。私も鍛えればああなるのかと一瞬思ったが、三日坊主で終わること間違いなしなので、マイペースで行こうとフランス精神を貫くことにした。

上り坂が続いた後、あら、こんなところに建物が。
実はこれがヴォルヴィックの水を集めるところなのだ。
前にも書いたけれど、この辺りは火山地帯なので、雨が染み込むと火山層がフィルターの役目をして水をきれいにしてくれる。だからこうして山のあちこちで水を集めて、山の麓の工場に水を送り込んで、ペットボトルの水が出来上がるのだ。

厳重に管理されていて、監視カメラがあちこちに。手を振ってみたら「馬鹿なことはやめなさい」とツレにたしなめられた。

この集水施設は、ハイキングコースから少し奥まったところにあって、ボーッと歩いていると気がつかずに通り過ぎるようにな場所にある。

ハイキングコースは、山の中だけじゃなくて、一般道路に出たり、集落を通り抜けたりと変化に飛んでいて面白い。その昔、火山が爆発した時に落ちてきた岩らしい。直径1メートルは軽くある。休火山だけれど、今は噴火する兆しが全くないらしいので、安心していいそうです。

2月下旬だというのに、雪もなく、穏やかなハイキング日和
地球温暖化、大丈夫かぁ~?

ここがヴォルヴィックの工場がある山の頂上みたいだ。ここからは下り坂。
ヴォルヴィックのイメージに使われている火口のある緑の山は、別物らしい。この地方にはそのような山があちこちにあると聞いたことがある。

せっかくなのでヴォルヴィックの工場見学をしようと思ったら、オープンは4月から9月までなのでアウト。これが入り口。入場無料で試飲ができるらしい。

入り口に続く通路に会社の歴史が展示されていた。
1889年に水源探索工事が始まり

1985年に日本に輸出開始。なぜ日本だけがこんなに大きく書かれているのだろう。

この中にヴォルヴィックの水の貯水タンクがあって、すごい勢いで流れていた。

コロコロ変わるパリの天気

12時56分37秒

13時14分52秒

13時14分57秒

これだからどんなに晴れていても出かける時には必ず傘を持っていく。反対に雨が降っても30分で止むということだけどね。

多くの車両がこの状態。ストライキ中にやられたのだと思う。カラフルで悪くないと思うんだけどなあ

コロナウイルス!!!

コロナウイルスの感染拡大で、中国が海外渡航を禁止したせいか、羽田空港はガラガラ。これなら飛行機も、と思ったら満席のパリ行き。アジアを避けてパリなら安心と、旅行先を変えたのかしら。パリで販売をしている友達が「日本人のお客さんがすごく多いんです。普通この時期はあまりいないんですけどねえ」と言っていた。真相は?

山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、あっという間におばさんになった。パリジエンヌを長年やっていたが、環境を変えるのも一つの経験と、地方都市に移住。山が見え、庭のある生活は新鮮だけれど、やっぱりパリが恋しくなる。イベントはたくさんあるし、人はうじゃうじゃいるし、デモに暴動、スリに騒音とエキサイティング。我が身を守るには、ボケている暇はない街なのだ。時々出没するパリで再発見をして、やっぱりパリが好き~!
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