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山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、フレンチ生活を山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

2020年5月

ラジオでシンガーソングライターの新曲「コロナ」が流れていた。声とメロディーが可憐で、恐ろしいコロナだけれど、歌になると可愛くなってしまう。

パリに行きたい!

5月11日から外出禁止令が解除された!けれど、いろいろややこしい。電車やバスに乗る時はマスク着用義務、2席に一人の割合で座ること、特にパリではラッシュ時には会社からの労働許可証がないと乗車できないとか。ところが現実には、郊外からパリに向かう電車はおしくらまんじゅう状態、メトロも結構混んでいる様子が報道されて、3密がほとんど守られていない様子。大丈夫かな。

解除を祝って仲間と一杯!と盛り上がったのも束の間、警察のお咎めを受けて、パリのサン・マルタン運河とサクレクール寺院前の公園ではアルコール禁止。パリの公園は開園されたけれど、マスク着用が義務。「義務」となると、違反すると罰金です。罰金を科さないとフランス人は守らないと思っているのか、少しでも政府の財源を確保したいからなのか、とにかく罰金135ユーロ!

県外100kmの移動も政府が定める理由に合わなければだめだから、私はパリに行けない。目医者も歯医者も消毒必須で 、診察より消毒に時間がかかるとニュースで。半年待った目医者の予約はコロナ騒動でキャンセルされ、この後一体いつ予約が取れるのだろうか。。。

ビーチにも行けるようになった!けれど、タオルを敷いての日光浴はダメだって。でも、泳ぐのは可能だし、ピクニックもできる。つまり、海水浴をするには、浜辺の外で着替えて、砂浜を歩いて海に入り、一泳ぎしたらピクニックを楽しむ人を横目に見ながらビーチの外に出なくてはならないのだそうだ。なんじゃこりゃ。わけわかんない~

コロナといえど、黙っているフランス人ではない!

外出禁止令が解除された翌日、早速ストに訴訟。外出禁止令で生活苦になったとか、マスク着用の義務は自由を奪うとか、政府や直接大臣を訴える訴訟がかなりでているとの報道。
ドローン監視を訴えたら、人権侵害だと裁判所が認めて勝訴、ドローン監視はできないことになった。もう不満は何でもかんでも訴えちゃうフランス人。泣き寝入りはせず、ひたすら主張する。たくましいと言うかそのエネルギーに感心するばかり。

マスクが届いた

日本では、大金を費やして配布したマスクが使えないとの話を聞いたけれど、こちらはとりあえず合格点。市町村や自治体によって形も色も素材も違うけれど使える。

まず宛先なしの封筒が郵便受けに入っていて、開けると黒い布マスクが2枚。使用説明書のA4の紙に挟まれてむき出しのまま入ってた。その少し後、「一人二枚なので足りない人は配布所へ」と言う広告を見て取りに行ったら、白い布マスクを二枚くれた。顔が隠れるほど無駄に大きいけれど、しっかりした布で安心できる。

マスクの横長の部分にゴムがついているものがあって、それは頭の後ろで固定する形らしい。パリはクチバシ型、ボルドーは黄色の大型マスクらしい。地域ごとのマスク比較をしたら面白いだろうなあ。
マスクもファッションの一部になるかも。OVNI新聞の特集に、さすがフランス人!
https://ovninavi.com/ovni-895/
アベノマスクとは大違い。はんぺんマスクとも言われているらしい…

外出禁止令が解除された途端に公害が急増、車の排気ガスに思わずマスクをつけた。コロナは憎いが、おかげでマスク着用OKになったのはありがたいかも。以前はマスクをするのは日本人観光客だけだったから、スリに狙われたり、テロリストに間違えられたりしていたものね。

失敗続きのバゲット作り

出不精の私には2カ月間の外出禁止令はさほど苦痛ではなかった。パリより感染危険度が少ない地方都市で、落ち着いて生活ができたし、念願のバゲット(フランスパン)作りにも挑戦した。しかし、とうとう理想のバゲットはできなかった…
ネットで見るような「見事にクープが開いた」という写真を見て、実はパン屋で買ってきたんじゃないのか?などと疑ってみたくなる。
まあ、我が家のオーブンは30年前のもので、数年前から温度調節機能が壊れているので、レシピ通りにすると大抵は真っ黒焦げになって出てくる。毎回温度も違うようで、230度で15分というクロワッサンは、5分で黒焦げになった。

それでもバゲットはなんとかできた。パン屋のように軽くてサクッとしたバゲットにはならなくて、もっちり感たっぷり。
なんで?ネットのレシピをかたっぱしから試したがダメ。オーブンの温度調節に問題があるのだろうと結論づけた途端に、パッキンが切れてキッチンは熱気でムンムンになってしまったが、お!フライパンで焼けるではないか、とトライしたが

焼く前は確かにフランスパンの形だったのに、10分経って蓋を開けたら下駄になっていた。

形は悪いが、なんとか食べられる。翌日トースターで温めても大丈夫。しかし、いったん冷えたら石になる。バリバリとすごい音がして、なんでここに固焼き煎餅が?と思ったら、私のパンを食べる音だった…。温めたら即刻食べないとダメなのだ。

外出禁止令が解除されて、仕事に出かけたツレがパンを買ってきた。そして何気に
「ああ、パンが美味しい」
この一言であきらめがついてパン作りを断念。
「顎の運動になったよ」と言って2カ月文句を言わずに食べてくれたツレに感謝。

しかし悔しい!「人にできることは私にもできる!」と信じている私には納得がいかない。粉もイーストも余っているので、ある日気楽に再トライしてみた。そうしたら、できた!なぜかわからないが、バゲットとも食パンともつかないものができて、冷えても硬くならないパンができた。

どうも、頑張ると失敗して、適当にやると成功するようだ。昔からそうだが、一生懸命人の世話をすると「大きなお世話!」と言われるのに、何気に言ったことが後から感謝される。そんな事言ったっけ?と思いながら、調子に乗って付け加えると「一言余計!」になる。
料理も同じでレシピを見ながら一生懸命やるとダメで、適当にやると成功する。成功したからといって続けると失敗する。パン作りも数日後におかしくなったので、一時停止です。
教訓;なんでもほどほどが一番

この話を友達にしたら、「パンは作っちゃダメ!みんながそんなことをしたら、パン屋が潰れてしまう。パン屋を守らなくてはいけないのよ!スパゲティーを作っても良いけれど、パンは絶対にダメ!!」と叱られた。

!!ちょっと気がついたこと。材料とレシピにもよるけれど、フランスではキッシュは180度で30~45分だけれど、日本のレシピでは15~25分。この違いはなんだろう。具材の違いかな。とにかく「いい匂いがしてきたら」が目安です。

外出禁止のおかげでダイエットできた!

家に篭って太る人が多い中、痩せた。何故かというと、ツレの食べる量が半分になったから。「動かないからお腹が空かない」のだそうだ。

私はほとんど出かけないのに、お腹が減る。育ち盛りは遠い昔、枯れていく年齢なのにだ。しかもツレが「食べろ、食べろ」と言って親切にもいつも半分にしてくれるのを、素直に食べていた。
つまり私は、肉体労働+スポーツ男子と同じ量を食べていたということになる。
私はただの大食い?!
ツレより食べるのは女として恥かもと思って私も半分の量にしたら、夜中に空腹で目が覚めて、冷蔵庫を開けたこともあったけれど、次第に慣れて気がつけばズボンが緩くなっていた。
外出禁止令解除 → 同居者は活動再開で食欲が戻る → 私の食べる量も増す
これはまずい。
とにかく、胃を小さくすることがダイエットになるのだと言い聞かせて、ぐっと我慢、目標はツレの半分の量!頑張れるかな~?

今年も来た「氷の聖人」

毎年5月11日からの3日間は寒くなる。フランスでは毎日聖人の名前がついていて、この3日間はその聖人が寒さをもたらすということなのだ。朝9度。どこかの町ではマイナス2度だったとか。冬物を引っ張り出した。
毎年霜が降りるほど寒くなるから、野菜を育てるならこの日が過ぎてから苗を植えるようにという言い伝えがある。「今年はそんなに寒くならないみたいだよ」とのうてんきなツレが植えたトマトの苗は、ぐったりして再起不能状態。だから言ったでしょ!

山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、あっという間におばさんになった。パリジエンヌを長年やっていたが、環境を変えるのも一つの経験と、地方都市に移住。山が見え、庭のある生活は新鮮だけれど、やっぱりパリが恋しくなる。イベントはたくさんあるし、人はうじゃうじゃいるし、デモに暴動、スリに騒音とエキサイティング。我が身を守るには、ボケている暇はない街なのだ。時々出没するパリで再発見をして、やっぱりパリが好き~!
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