News & Column
ニュース & コラム
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、フレンチ生活を山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
2020年8月
「マスクは顔につけてください」
ラジオのニュースでの一言。
マスクの効用を認めないのか、マスクはつけたくないが罰金は払いたくないからなのか、マスクを体のどこかにつけていれば問題ないと思っている人がいるらしい。「マスク着用義務」というだけでは通用しなくて、細かく指定しないとダメと言うことなのだ。となると、「顔につけてください」では不十分で、「鼻と口を覆うこと」と言わないとダメなのではないかしら。厳密には顎まで覆わないといけないらしい。だから配布マスクはでかいのだということに気がついた。アベノはんぺんマスクではダメです。
しかし、ふと思った、マスクは鼻と口を覆うものという概念が当たり前と思うのがいけないのかもしれない。いかに自由な発想をするか、それがゲイジュツだ、などと余計なことを考えている暇はないのだけれど、考えてしまってグルグル回ってます。
のんびり散歩もできなくなった。マスク着用義務の地区ができた。マスクをつけずに歩いていると135ユーロの罰金です。
ポスターは剥がされてしまうから、路面に表示。これなら犬のフンに汚される程度で済むでしょう。上を向いてぼーっと歩いていると見逃すし、フンを踏むかもしれないので気をつけて。
「みんなマスクをつけて来てください」
スーパーの入り口。これだけ大きいポスターにしないと理解できないということなのかしら。。。
「一人の小さな行動が、みんなのための大きな行動になる」とも。確かに。
「健康上の問題でマスクが付けられない」という人がいるけれど、フランスではそんなことは言ってられない。付けなければ罰金135ユーロが待っている。
医者が「マスクで顔に湿疹が出ている人がいますが、少数ですし、それは大したことではないです」と、あっさり切り捨てていた。手術用マスクがダメなら布マスク、あるいはフェイスガードという道があるわけで、自分で解決してくださいということなのだ。
お金がなくてマスクが買えないを理由にマスクを着用しない人がいるけれど、自治体や市から配布されているはずだし、皿は洗えるけれど、布マスクは洗えないというのはおかしい!と怒っている人がいたっけ。
ちょっと小旅行
3ヶ月間長距離移動ができなかったツケは半端じゃなかった。夏に2回もバカンスに出るとは。。。有給休暇は全てこなさなくてはいけないのだ!とツレは鼻を膨らまして言う。別に義務じゃないと思うのだけれど…
まずは、フランス中央部カンタル地方のサン・フロー(Saint-Flour)に日帰りで行ってきた。
見ての通り、小高い丘の上が中心地。今私がいる丘の下もサン・フロー。面白いことに、丘の上は金持ちが住むところ、丘の下は貧乏人が住むところと昔から決まっていて、お互いに憎み合うことも嫉妬もなく、仲良くやっているのだと、観光局のガイドさんの説明。それぞれの生活を尊重して余計な干渉をしないフランス人らしい街ということなのかも。
その一方で、昔は中心都市的存在だったのに、政府機関の統合で、裁判所も病院もカンタル県庁所在地オーリヤックに移動してなくなってしまった。住民は反対することもなく、まあそれならそれで仕方ないかとあっさり諦めたというフランス人らしくない街でもある。
これが上から見た下の街
下から上に上るのはかなりの急勾配。
中世の町並みらしく、城壁で囲まれた入り口がある。ここで通行料をとったり、敵が来たら上から攻撃するのだ。この辺りは火山地帯で温泉が出るので、敵が来たら82度の源泉水を上からかけたのだとか。場所によって攻撃方が違うのが面白い。
息を切らしながら上ると中央広場に出た。
大きな教会と観光局の前の広場は駐車場になっていて、趣もへったくれもなかった。
しかし、教会の中に入ると、
木造の黒いキリストが。これは数体しか現存していない、珍しいものらしい。祭壇前の鳥のオブジェもコバルト使用で、うっすらとブルー。ガイドさんがいなければ見逃すところだった。
この街の住人はとても合理的だ。街は高台にあるのだから、その地下を駐車場にしようということになって掘り返したら、古代の遺跡が出てきた。資料を作り、重要なものだけ取り出して、あっさりと壊して地下駐車場を作ったと。遺跡を残して歴史を後世に伝えるとか、観光名物にするという考えはないらしい。
町の中心部にある元教会も風変わりだ。街が狭かったからなのか、少しでも稼ぎたかったからなのか、教会の一部が商店になっていて、2階は住居。教会の中に入って少し上を見ると小窓がある。ここの住人は窓からミサに参加出来たそうな。引きこもりや怠惰なクリスチャンにはもってこいの住居だ。今は展示場になっているので、立ち寄ってみるのも悪くない。ただし、商店に囲まれているので見逃しやすいのが難点。
ミラクル伝説のある場所でガイドさんと。
この街の名前の由来にもなったフローは、聖ピエールから福音を施すためにこの地にやってきました。粗末な身なりをしていたので街の人は疑いましたが、杖を岩に当てればそこから泉が湧き出て喉の渇きを癒し、岩に手を当てればその岩が開いて道を作ったのでみんなびっくり。その場所がここ。
確かにここだけ岩がむきだしになっていて、その間に道ができている。この岩に触ると運が開けるらしい。もちろんペタペタ触りました。
家が安く買えますよ~
その昔は11人の修道女が住んでいたという場所。住所も通りの1番地で、この建物がチャペル。広大な土地だけれど買い手がつかないまま、かなりの年月が経っている。
家の反対側は崖なので日当たりも眺めも良いけれど、いざという時の逃げ道は、道路に面した通りだけ。これが狭くてクレーン付き消防車が入れないために、公共施設への改装はできないのだと。自家用車は問題なく通れるので、興味のある方は、どうぞ。ただし、補修工事は大変らしい。
下の街へ降りる階段の途中で見つけた門。イソップ物語の「カラスと狐」だ。が、フランスではフォンテーヌの寓話ということになっている。フォンテーヌの寓話はイソップ物語を翻訳加筆したものらしい。
というわけで、金持ちと貧乏人が上と下で仲良く暮らす街でした。
そうそう、フランスではバゲット(フランスパン)を裏返しに置くのは縁起が悪いと言われていますが、その理由がわかりました。
昔ここには裁判所があって、死刑執行人がいました。職業がら、住居は裁判所の目と鼻の先。恨みを買わないために仕事以外は家から一歩も外に出ない生活で、住民は死刑執行人の顔を見たことがない、パン屋を除いては。生活必需品は行政機関が買って家の前に届けるけれど、パンだけは自分で取りに行かなくてはならない。生活費は行政負担で、もちろんパンも無料。パン屋はこの人の分のパンを間違いなく確保するために、バゲットを裏返しに置いておいて、この人がきたら無言でこのパンを差し出したのだそうです。つまり、裏返しに置かれたパンは死刑執行人のためのものだから縁起が悪い、ということなのだとガイドさん。
他にも諸説あるようですが、裏返したパンは死刑執行人のものということに変わりはないようです。一つ勉強になりました。バゲットの置き方に気をつけましょう。
フランスあちこち、パチリ
エッフェル塔を作ったギュスターヴ・エッフェルさん。パリのエッフェル塔を作る前に鉄橋を作っていて、これがその一つ、ガラビ橋。サン・フローがあるカンタル地方にあります。高速道路の休憩所からの1枚。
牛って、こんなに近くにいて良いものなのかしら。。。
ソフトクリーム見たいな雲
波がなければこんな遊びもできる
初調理、カエルの足
スーパーでツレが「こんなのどお?」と手に取ったのが、カエルの足の冷凍1キロ入りの袋。ゲッ!
フランス人はカエルを食べます。カエルの足。足だけ。野生のカエルを捕獲することは罰則の対象。カエルは保護動物。だから食べるのは養殖カエル。
原型を想像せずに食べるのがコツ。薄味がついていて、コシがあって美味しかった。
フランス人は、カタツムリも食べます。カタツムリというと抵抗あるけれど、エスカルゴと言うと納得できてしまう。羊の脳味噌も食べるし、仕留めたキジは腐る直前がおいしいと聞いたことがある。ちょっと勘弁して欲しい。。。
これを日本の友達に言ったら、「フランス人は蟻を食べると聞いたけど」って。アリは食べません!虫も食べません!下手物屋では売ってるみたいだけれど…