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山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、フレンチ生活を山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

2020年12月

クリスマスツリー

おおお!ツリーにあかりが灯って、広場が明るくなった!!

去年と同じとはいえ、綺麗なものを見るとホッとする。

コロナコロナコロナ

しかし、コロナの猛威はおさまらない。10月には1日の新規感染者が5万人とか6万人だったのが、外出禁止令のおかげで1万5千人にまで減ったけれど、政府の目標一日5千人には程遠いということで、劇場再開はまた延長されてしまった。来年1月7日の再開を目指すとのこと。しょぼん・・・

パリ・オペラ座「ラ・バヤデール」配信で、新エトワール誕生の巻

再び八方塞がりのオペラ座は、「お家でオペラ」とバンバン配信していて、予定されていた「ラ・バヤデール」を12月13日にライブで有料配信。前回より値段が上がって11.9ユーロ、日本円で約1500円。いつまでも無料と太っ腹なことは言ってられないのでしょうね。でも7日間リプレイできるから、まあいいか。

幕ごとに主役が入れ替わる配役には驚いた。こんなの聞いたこともないけれど、一人でも多く舞台に立たせたいということなのね、きっと。
ニキヤ、ソロル、ガムザッティの配役は、一幕がドロテ・ジルベール+ジェルマン・ルーヴェVSレオノール・ボラック、二幕がアマンディーヌ・アルビッソン+ユーゴ・マルシャンVSヴァランティーヌ・コラサント、三幕はミリアム・ウルド=ブラーム+マチアス・エイマン。
豪華と言えば豪華だけれど、ダンサーが代わるとストーリーまでわからなくなってしまう、というか、ダンサーによってあまりにもイメージが違うので、???と思った人は多かったらしい。

特にボラックがコラサントになったのには、あまりの違いに一瞬何を見ているのかわからなかった。

三幕「影の王国」の群舞は美しく

ウルド=ブラームとエイマンは完璧。

この中のバリエーションは、次期エトワール候補3人かと思わせる配役。第一バリエーションにセウン・パク、第二がシルヴィア・サン=マルタン、第三がオニール八菜。

そしてカーテンコールでは、「黄金のアイドル」を踊ったポール・マルクがエトワールに任命されたのです!

初めて見た任命の瞬間。総裁か芸術監督のコメントがあるのかと思ったら、「ポール・マルクをエトワールに任命します」とあっさり。
これが見られたのはネット配信のおかげです。

コロナVSクリスマス

クリスマスと大晦日のパーティで感染者が増えると懸念する政府。無料で簡単に検査が受けられるようになったことが新規感染者増加の数値に繋がっているのではないかと疑いたくなる。年を越して大勢が集まる機会が減れば、検査を受ける人も減って数値が下がるのではないかと楽観視する人もいるけれど、コロナはどんどん進化しているので、ワクチンが効かないのではないかという噂も。
コロナ発生からもうすぐ一年。こんなに長期間、全世界が翻弄されるとは思いもしなかった。

食卓を囲む人数制限があるらしいけれど、やったが勝ち、一年に一回の楽しみを奪うな~

たらふく食べたら、プレゼント交換。これが一番ワクワクする時

しかし、街は寂しかった。

クリスマスマーケットが出る場所に、人も店もなく

せっかくだからとホットワインを飲みたくも、ほとんどの店は閉まってる。小雪が降り止んだ頃、ようやく見つけたカフェバーは、店員一人が店の入り口で注文を取り、受け渡すだけ。店内入店禁止だから外のテーブルで立ち飲み。ちょっと侘しいかも。

フランスでは元旦、5月1日のメーデーと12月25日のクリスマスは、ほとんどの商店が閉まるのだけれど、ジェアンというハイパースーパーはクリスマスも元旦も営業するという。クリスマスの家族の食事会に持っていくものが足りないことがわかっても慌てる必要なし。ありがたいけれど行ってびっくり。係員は数人のセキュリティしかいないし、レジは自動レジだけ。だだっ広い空間に商品が無言で並ぶだけの人間味のない店。こうして機械化が進めば雇用が減るわけで、また失業者が増えるということか。そういえば、コロナ禍でネット販売が増えたために郵便局では配達人を5千人新規雇用したとか。この一年でいつもの習慣が大きく変わろうとしている。

今年の異常気象もすごかった。猛暑かと思えばいきなりドカ雪が降り、異常乾燥かと思えば豪雨災害。雪が降らずにスキー場はお手上げ状態だったのが、クリスマスの日から豪雪。

喜びたいところだけれど、コロナ禍でスキーリフトは運営禁止なので、ノルディックスキーに人気が流れた。

コースでじっと動かぬ人の向こうには、何やら黒いものが。よく見たら黒い鳥。

静かに見ていただけなのに、人がだんだん集まってきたからか、鳥が怒り出した。赤目を向いて尾っぽを逆立てて唸ってる。この唸り声が犬みたいに低く不気味。

そのうちにコースに出てきて人を追いかけ始めた。強気です。この鳥の名は、ヨーロッパオオライチョウ。
ネットですごいの見つけました。他人事なら笑えるけれど、追っかけられたら超怖い。
https://www.lindependant.fr/2015/02/24/quand-un-grand-tetras-attaque-des-skieurs-video,1995676.php

街でコロナ検査

薬局でコロナ検査が受けられるようになって、連日長蛇の列。でも、薬局での検査では飛行機に乗れないので要注意。渡航するにはちゃんとした医療機関でのPCR検査必須です。

白昼夢—背筋が凍った

さほど寒くないし、コロナに打ち勝つ体力づくりと、雪中ハイキング。雪山は危険だから、標高は少し高いけれど平らなところ。
誰もいない雪原を歩くのは気持ちいい。のどかだ~と思った時、殺気を感じて、ダダダダダっと機関銃で撃たれる自分の姿が浮かんだ。それは一瞬のことで、シーンと静まり返った雪原が広がっているだけ。なぜこんな光景が浮かんだのだろう。元の道を戻った時に理由がわかった。
私たちは家畜放牧の柵を乗り超えていたのだけれど、その柵の手前に四輪駆動車のタイヤの跡。この土地の持ち主なのか、狩猟をしにきた人なのか、私たちの足跡を見つけて追ってきたものの、車では柵を超えられないから、そのままUターンしたらしい。
あの殺気は半端じゃなかった。いまだに実感として体に刻み込まれている。もう2度とここへは来ないと心に決めたのだった。あな、恐ろしや

今月の1枚

赤くならないうちに冬になった緑のトマトを室内で熟成させていたら、こんなのができた。きっちりくっきり緑と赤。熟しているのかいないのか、さっぱりわからん。

山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、あっという間におばさんになった。パリジエンヌを長年やっていたが、環境を変えるのも一つの経験と、地方都市に移住。山が見え、庭のある生活は新鮮だけれど、やっぱりパリが恋しくなる。イベントはたくさんあるし、人はうじゃうじゃいるし、デモに暴動、スリに騒音とエキサイティング。我が身を守るには、ボケている暇はない街なのだ。時々出没するパリで再発見をして、やっぱりパリが好き~!
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