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山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、フレンチ生活を山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

2021年9月

劇場のシーズンが始まった!

今年のクレルモン=フェラン・コメディ劇場の開幕は、ヴッパタール舞踊団の「緑の大地」!それなのに、バカンスと見事に重なって見逃した(泣)。
でも、その次のフィリップ・ドゥクフレの「シャザム!」は逃さなかったぞ!
劇場に近づいたらファンファーレが聞こえてきた。この作品は、開場前に出演者たちが楽屋口から外に出て、楽隊と共に劇場前広場を行進して、正面入り口から会場に入るというイベント付きなので、早く行くべきだったのを忘れていた。慌ててカメラを取り出すも、あたふたしているうちに一団はどんどんと通り過ぎて行く…

この後劇場のホールをぐるぐる回って階上に消えていった。これまた入口の荷物検査が長引いて、やっと撮れたのがこの写真。情けない~

1998年初演の作品だけれど、今見ても新鮮で、たくさんのマジックにワクワクの連続。ネタバレしているのに、面白くて体を乗り出して見てしまう。
https://www.youtube.com/watch?v=8LwpYJNPnIY
カーテンコールにはドゥクフレも出てきて、あ~ずいぶん髪が白くなったなあと。

翌日は、大好きなジョアニー・ベールの新作「HEN」を観た。
マリオネットのワンマンショーににめちゃ盛り上がった。ベール自身が人形を操りながら喋って歌っての独断場。この人天才!

今シーズンも素敵な作品にいっぱい出会えますように!!!

ディスカバー・フランス

30年ぶりにエク=サン=プロヴァンスへ行ってみた
昔々、エク=サン=プロヴァンスにはダンス・ア・エックスというダンスフェスティバルがありました。プログラミングがすごく良くて、毎年のように行ってました。そうそう、ここで観たローザス、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル振り付けの「オットーネ・オットーネ」に感動してフランス移住を決めた私。ローザスの本拠地はベルギーなのに、フランスだと勘違いしていたわけです。まあとにかく…。
その後バレエ・プレルジョカージュがこの地に移住してCCN国立振り付けセンターを設立してしまったものだから、小さな町に2つのダンスはいらないという事になって、フェスティバル・ダンス・ア・エックスはなくなってしまったのです(涙)

CCNのパヴィヨン・ノワールPavillon Noirの柿落としに行ったのが最後だったかなあ。その時は街の中心地には行かなかったから、今回30年ぶりにエックスの旧市街を訪れてびっくり。エックスは、エク=サン=プロヴァンスの呼称です。

メインの通りには高級ブティックがずらり。色とりどりのショーウインドウが光り輝いている。

旧市街の面影も残るけれど、

これはちょっと奇抜すぎるんじゃないか?

あ!見つけた!!!唯一変わらない風景。

重厚なドアや建物の装飾も、ド派手なブティックにかき消されている感じ。

昔は…個人商店がシックな街並みに溶け込んでいたように記憶しているんだけどなあ。こんなに色とりどりではなかったと思う。まあ、昔から高級避暑地ではあったけれどね。

この教会も覚えてる

エックスのシャンゼリゼ大通りと勝手に名付けていた通りも、綺麗に整備されていた。昔はこんなにたくさんのカフェバーがテラスに張り出していなかったように思う。

細い道を気ままに歩いていたら、カフェバーで埋まった広場に出た。飲んで雑談に盛り上がる若者でいっぱい。昔は何もなかったように思うんだけど、まあとにかく一杯!

ちなみにこちらでは、へべれけになるまで飲むのはマナー違反。お酒はその場を楽しくするためのもの。決して酔っ払うためのものではありません!

アウトドアスポーツ好きの連れに誘われて、エックスの郊外でハイキング。旧市街しか知らなかったけれど、ちょっと街を離れれば切り立った山がある。

白いゴツゴツした山

昔は石切場だったそうな
この石、高さが2メートル以上ある

作業場の面影を残した太い鉄の楔があった。昔は手仕事だったものね。こんな大きな石をどうやって運び出したのだろう

テッペンの十字架を目指していたのだけれど、道を間違えて全然違うところに行ってしまい諦めた。やっぱりハイキングのアプリを確かめながら歩くべきだった(悔)

サン=シール=シュル=メール

エックスから60キロほど移動して、地中海岸のSaint-Cyr-sur-Merへ。紺碧の海が広がる避暑地。コート・ダジュールのちょっと手前だから、コート・ダジュールではないと言われるけれど、地中海には変わりない。ここにもセレブの船が浮かんでる

地中海沿岸は切り立った場所が多く、海岸脇の道路はくねくねした上りと下りの道が続くところが多い。つまり、海も山も楽しめる場所なので人気が高い。
宿から海へ行くには急な坂を降りるし、海と反対に歩けば上り坂が続く。
と、葡萄畑に出た。
真っ黒に熟した葡萄!今年のワインは期待できそうだ。

その葡萄畑の近くには砂丘が。ここだけぽっかり砂漠状態。向かいの山には緑が多い茂っているのにね。

砂はどんどん崩れて流れていってしまうので、防止策が張られている。
それにしても、砂山を登るのはきつい。短い距離なのにめちゃくちゃ時間がかかった

少し車で移動してのハイキング。眼下にはトゥーロンの街が開けている。
トゥーロンの思い出はブイヤベース。その昔電車で一人旅をしていた時、ブイヤベースが食べたくて、地中海沿岸の街に到着するたびにレストランを覗いていたのだけれど、どこも「2人前から」。諦めかけていた時、トゥーロンで一人前でもOKという店を見つけて、念願達成!美味しかった~

山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、あっという間におばさんになった。パリジエンヌを長年やっていたが、環境を変えるのも一つの経験と、地方都市に移住。山が見え、庭のある生活は新鮮だけれど、やっぱりパリが恋しくなる。イベントはたくさんあるし、人はうじゃうじゃいるし、デモに暴動、スリに騒音とエキサイティング。我が身を守るには、ボケている暇はない街なのだ。時々出没するパリで再発見をして、やっぱりパリが好き~!
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