News & Column
ニュース & コラム
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、フレンチ生活を山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
2021年11月
山にはうっすらと雪が積もり、パリのトロカデロ広場はカラフルになった。観光客が戻ってきて、観光客相手にお土産グッズを売るアフリカ人も戻ってきたから。
そしてガソリンの値段がどんどん上がっていて、安いところで1.6ユーロ、高速道路のガソリンスタンドでは200円超えの1.88ユーロ!
ノエルの準備が始まって、少しは気分が和らぐ11月ですぅ~
ダンスはパリからリールまで
シャイヨー国立舞踊劇場、開演前のホールのカフェはいつも賑やか。
ここから眺めるエッフェル塔が好きなのだ。
マスクをつけている人は少ないなあ…
今夜のシャイヨー国立舞踊劇場の演目は、マランダン・バレエビアリッツの「火の鳥」と「春の祭典」
「火の鳥」の主役を踊ったユーゴ・レイエHugo Layer(中央)の美しい踊りに目がトロトロ。男とは思えないしなやかな体とムーブメントにうっとり。
さすがティエリー・マランダン!独特の解釈で新たな「火の鳥」バージョンの誕生だ。いつも通り音楽とムーブメントがぴたりと合って、音符がそのままダンスになっている感じ。
そして「春の祭典」
これはマルタン・アリアーグの振り付けで、スタンドピアノからゾロゾロとダンサーが這い出してくる幕開きにびっくり。腰が曲がったヨボヨボのお婆さんなのに、踊り出したら若者に負けない元気の良さにびっくり。後半でヨボヨボのおじいさんが出てきてまたびっくり。ジョークなのかマジなのかよくわからないけれど、「春の祭典」を弾くピアニストの夢という設定が奇抜なのは確か。
2作品とも独特の解釈による新作で、見応え十分のソワレだった。
日本での公演が実現しないのが不思議。もし日本公演が実現するのなら、私の推薦はティエリー・マランダン振り付けの「シンデレラ」と今夜の2作「火の鳥」、「春の祭典」。あ、「マジフィック」もバレエファンならあっと驚く展開かも。
パリのポンピドゥセンターでは、ジゼル・ヴィエンヌの「ショールームダミーズ♯4日本版」。
京都のロームシアターとの共同企画で再演された日本版。だから出演者は全員日本人。
6人の後ろは全て人形。ヴィエンヌのマリオネットは今にも動き出しそうで不気味だし、学校でのいじめや孤立などの鋭い風刺にぞくっとする。
そのポンピドゥセンターの最上階からパリの街が見下ろせます。無料なのでぜひ立ちよってみてね。
サクレ・クール寺院が見える
モンマルトルの丘というけれど、本当に丘なのね。高いところにある。
下を見れば、入館する人の長蛇の列。いつもこんな感じです
傘やリュックサックを持って階上には登れないので、1階で荷物を預けてね。無料です。
ところで、右端のマークはなんだろう?ヘルメットかな
2階のイベントスペースは、子供とメディアがテーマで、子供連れでない私は入れないみたいな雰囲気だった
ネバースリープで踊りまくろう!ってか?でも、公演後は閉まりますよね。
パリの市立劇場テアトル・ド・ラ・ヴィルのアネックス、アベス劇場
地下のホールにソファーが増えた。カラフルでかわいい。
ここにはカフェバーはないけれど、早めに行ってゆっくりくつろぐのが好きなのだ。
メトロで見かけたマリー=クロード・ピエトラガラとジュリアン・ドルオーの公演ポスター。セーラー服の女学生と教師のバトルのコミカルな作品かな。面白そう
パリを気ままに
ペタンク専用の公園を見つけた
最近パリで流行っているみたい。南仏発祥の遊びで、なぜか男ばかり。
2015年11月13日にパリ同時多発テロ事件が起きた。7年前のことだけれど、風化させてはいけない。
当時の大統領とパリ市長が参列して事件が起こった場所でセレモニーがあったとニュースで。
翌日現場に行ってみた。
バタクラン前の公園にはメモリアルがあり、たくさんの献花がされていて、常時何人かが祈りを捧げに来ていた。私の周りには犠牲者はいないけれど、ここに来るといつも涙が止まらなくなる。
バタクランの扉の前にもたくさんの花や蝋燭があった。祈りを捧げる人の後ろには、警察官と清掃局の人、そして清掃車。
祈りを捧げる人が立ち去ったら、さーっと献花された花などを撤去するのだろうなあ。いつまでも入り口前に花を置いておくわけにはいかないというのはわかるけれど、振り返れば清掃車というのはなんだか寂しいなあ。
でも、祈りが終わるまで待っていてくれるのはありがたい。
パリではバスケットシューズが大流行り。シャネルのスーツにバスケットシューズとか、ジョーゼットのスカートに合わせている人もいる。確かに歩きやすいし、ダッシュも安心。ひったくりやスリも追いかけられるし、疲れないから実用的。
ディオールもバスケットシューズを作り始めたし、エアー入りとか最新技術満載のもあって、10万円以上という値札にぴょえ~と驚いた。
コロナとか、よもやま話
コロナ対策で、レストランが路上駐車場にテラスを出して営業するのが10月末で終了。駐車スペースが増えたのはありがたいが、ちょっと寂しい気分も。
日本ではなぜかコロナの第5波が消滅したというのに、ヨーロッパでは第5波に飲み込まれている。フランスはまだだけれど、隣国では外出禁止令が出始めている。
と、来た~!新型変異株オミクロン。
12月1日から外国人旅行客を受け入れると言っていた日本が、いきなり鎖国状態に。フランスではまだ感染者が出ていないのに、十把一絡げでフランスからの入国者も制限が厳しくなった。入国後3日間は政府が指定する宿泊施設での待機、そして14日間の位置情報での監視付きの自粛。ということは18日以上滞在しないと買い物にもいけないということか。お買い物をして、ラーメンやお寿司を食べたい私にはかなりハードルが高くなった。しかも、フランスに戻る前にはPCR検査を受けなくてはならない。日本の検査代はなんでこんなに高いのかしら。検査代の他に翻訳料もかかる。フランスでは無料で英語版にしてくれるし、日本規定の書式にも無料で記入してくれるのになあ。
あ、結果が出るまでに1日かかるから、3週間以上滞在しないとダメってことね。厳し~
オーストラリアでは、ワクチン接種をしていない人は外出禁止だそうで、レストランにも美容院にも行けないと。ドイツでもワクチン接種をしていない人は、24時間以内の陰性証明書が必要だとか、ベルギーやドイツからフランスへの入国者で衛生パス(ワクチン接種証明書)がない人は、24時間以内の陰性証明が必要だとか、規制がどんどん厳しくなっている。これじゃあワクチン接種は義務のようなもの。
65歳以上の人に3度目のワクチン接種が始まった。60歳以上の人は最後のワクチン接種から6ヶ月以上経っていれば12月から接種受付開始、その後それが50歳以上に広がるらしい。ワクチン、ワクチン、ワクチン。ふぅ~
83歳の高齢者が、高速道路を85キロにわたって逆走した事件を受けて、50歳以上の運転免許保持者への適応検査が始まるらしい。フランスでは高齢者の運転免許自主返却の意識はかなり低いように思う。歩くのもやっとで、後ろも振り向けない高齢者が運転しているのを見たことがある。。。
まあ、若い人でも自分の前しか見て運転してない人をよく見かけるから…
私は右側優先という規則が納得いかないから運転しない。例えば国道のような3車線の大通りを走っているのに、横の路地からチョロチョロと出てきた車が優先なんて考えられます?
ノエルの準備が始まった
11月20日日曜日、シャンゼリゼ大通りのイリュミネーションが点灯しましたぁ!
来年1月9日までこの状態だそうです。
コロナウイルスがまだ蔓延しているというのに、この人出。コロナより、浮かれることの方が大事なフランス人。ここに飛び込む勇気は私にはありまっせ~ん。テレビ鑑賞で十分でございます。
前日にはテュイルリー庭園でのクリスマスマーケットオープンしているとのこと。コロナは怖いが、今度行ってみよう
北駅では、シャンゼリゼ大通りよりも1週間以上早くノエルのイリュミネーション。
トナカイが駆ける素敵なデザイン
北駅は相変わらず混んでいる。
駅のピアノは人気がある。この人、めちゃくちゃうまいと感心していたら、その後に息子さんが弾いて、これまたすごい。音楽一家なのだ。
これからリールへ出発です。フェスティバル・ネクストに行くのだ!
北のフェスティバル・ネクストへ
ネクスト・フェスティバル。フランスとベルギーの国境地帯で行われる2カ国合同のアートフェスティバル。演劇、ダンス、音楽などを5つの機関が提供する。だから.comでも .frでも .beでもなく .euなのです
リールへはTGVで1時間。パリからの通勤圏になったから、夕方の列車は満席。ほとんどがサラリーマンで、パソコンを開いている人、多数。フランス人は働かないというけれど、いやいや、ちゃんと働いていますよ。そして、夕方には自宅に戻って家族揃って食事なのです。
今年のフェスティバルのオープニング演目は、タニノクロウの「笑顔の砦」!
でもこの作品はパリでも見られるからと、ミロ・ラウの「Grief & beauty」を見た。安楽死を問う作品で、実際に安楽死をした人の映像が出てショッキングだった。
進行する舞台を同時にカメラで実写して映し出す演出が、現実と演劇の仮想世界の境界線をなくして、二つの世界を効果的に見せる。色々と考えさせられる舞台だった。
これはパリ公演での「笑顔の砦」。めちゃよかったです!
パリでの8公演は完売だったらしい。日本語の上演でも通じるものは通じる。翻訳も的確でした!
リール、オルレアン、パリ公演をして、どこも盛況だったみたい。
後日談では、いざ帰国となったら日本はコロナ禍の水際対策で鎖国状態となっていて、ホテルに隔離されたと。そしてそのせいで仕事を失った裏方さんがいたらしい(涙)
フランスのスタッフは、「こんな状況なのにフランス公演を受け入れてくれて、本当にありがたい」と感謝感謝でした。
これを上演した場所が、コンディション・ピュブリック。
煉瓦造りの大きな建物はもと繊維工場。そこを改造して今では文化施設として市民に親しまれているそうだ。
次回はゆっくり訪れたいなあ。今夜はパリから到着してここに直行、芝居を見て即ホテルというスケジュールだったから、慌ただしかった。
リールは建物が素敵だ。
リールの凱旋門。門だけれど通れない。
リールの市庁舎にある鐘楼。高さはなんと104メートル。
横浜赤煉瓦かと思っちゃった。高級ホテルです。
リールには二つの駅がある。フランドル駅とユーロップ駅。
これがフランドル駅。こじんまりしていて、主に国内行きの列車の発着場。でも時々国際列車もあるので気をつけよう。
ユーロップ駅周辺は超近代的な建物が立ち並ぶ。
豪華客船をイメージした建物や
箱を積み重ねたようなビル、隣はママシェルターだ。
いきなり
グザヴィエ・ヴェイランの作品「ロミー」
パリとは全然違う街並みが新鮮
リールのオペラ座。革新的なコンテンポラリーダンスの振付家がレジデンスする劇場でもある。
オペラ座の向かいにあるこの建物が旧証券取引所らしいのだが、ガイドブックに載っている写真とは違う。グーグルマップで検索すると、ここのはずなのに…
この辺りを何周もしてしまった。どうやらこれは建物の裏側らしい。
建物の正面。
バレエが最高と思っている私は、オペラ座の前がメインの広場グランプラスだと思っていたのだけれど、そうではなかった。
グランプラスはただいまノエルの準備でトラックだらけ。観覧車も組み立て中。
メリーゴーランドもできるのね
ここがクリスマスマーケットの入り口になるようだ。来るのが早すぎた。残念
これは商工会議所。でかい!道が狭くて全体像が撮れない。
ベストショットを撮る場所を探してウロウロしているうちに鐘が鳴った。
きゃ~かわいい~!と聞き惚れている場合ではなかった。慌ててカメラを向けるも、手際が悪くて、最後の方しか録画できずにすみません。
ヨーロッパに来ると石畳が多い。ヨーロッパらしい~と感動するのは最初だけ。実はこれが曲者。ローラー付きのスーツケースはスムースに運べないし、無理して引っ張ればローラーが壊れることもあるし、ハイヒールの踵は傷だらけになるとか、結構ムカつく。
ガスや水道工事などで道路の補修となると全て手作業。
このおじさんも店の前の石畳を自力で修復しているみたい。大変だなあ。
これね、石畳。修復したところが凸凹になっている。ここにひっかっかるんですよ。けっつまづくとか。。。
個性的な建物が多くてワクワクしちゃう
そんな中で一際目立つのがこの近代的な教会、ノートルダム・ド・ラ・トレイユ大聖堂。旧市街の中にいきなり、です。
中に入らなかったのが心残り。
列車で1時間、トヨタの工場があるバランシエンヌにも足を伸ばしたら、元自転車の修理工場を改造した劇場があって、ここから多くのノンダンス系の振付家がレジデンスをして、世界に羽ばたいていったそうな。フランスの北部はパリ以上にアバンギャルドを受け入れるみたいで、古いものと新しいものが混在する地方なのだ。侮れない。
新たな発見続きの旅でした~