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山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、フレンチ生活を山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

2022年4月

フランソワ・アリュがエトワールに!

「ラ・バヤデール」のソロル役で久々にオペラ座の舞台に立ったフランソワ・アリュが、エトワールに任命された。
高い跳躍力とエネルギッシュな踊りが評判だったアリュが、役の内面を深めた演技を見せるようになって、いい味出してる~!とファンになって。でも、ストとコロナ禍で休演が続いて。ようやく劇場が再開したのにちっとも舞台に立たなくて。
そうしたら、オペラ座以外の舞台で大活躍していた。
もうオペラ座には戻らないかもと思っていたら、久々に登場して、エトワールに!
アリュのファンはこの日をどれだけ待ち望んだことか!ここに来るまでにかなりの時間がかかってしまったものね。
アリュは、「家族や恋人や友達が来ていたので、今夜は何かあるなと思っていました。でもそれが自分のエトワール任命だとは思ってもいませんでした」と。
https://www.operadeparis.fr/artistes/francois-alu

お母さんのバレエ教室でバレエを始めて、パトリック・デュポンの「ドンキホーテ」をテレビにかじりついて見たのが9歳で、翌年オペラ座バレエ学校に入学して、17歳でバレエ団に入団。とんとん拍子で昇進して、2013年にはプルミエダンサーになったのに、その後が…。
でも、オペラ座以外の舞台には立ち続けていて、コンテンポラリーダンスやヒップホップもスキル。今は声楽の練習もしていて、今後は映画にも関わりたいと夢は広がる29歳。テレビでも活躍してま~す。
弟や従兄弟もプロのダンサーなのだって。

でも、オペラ座には長くいないだろうというのが大方の見方。だって、自分でソロ公演を打って満席にするほどの人気者が、オペラ座だけの作品に満足するわけはないでしょ。あるいはオペラ座と交渉して、他の舞台にも自由に出られる契約を取り付けるか。
う~ん、アリュの今後が気になるぅ

この任命劇、オペラ座は粋な計らいをしてくれた。いつもはその役を踊った初日にエトワール任命となるのだけれど、今回は出演最終日。実は、この日は「初めてのオペラ座」という親子が格安料金で入場できる特別な日。初めて訪れたオペラ座で、エトワール任命の感動の瞬間を子供たちに、ということだったらしい。夢を与える劇場の姿勢にいいね!

バスティーユのオペラ座はガルニエ宮とは全く違う近代的な大劇場

黒を基調とした客席、ドアは木目調

上を見上げれば、明るい白。でかい!

今月見たダンス

ラ・バヤデール

私が見た日の主役は、ソロルがポール・マルクでニキヤはセウン・パク。まだ若いエトワール組だけれど、着実に貫禄をつけている二人。

ドーンとしたヴァランティーヌ・コラサントのガムザッティとは対照的なパクの組み合わせって、役にピッタリかも。

興奮の一夜を終えて外に出れば、バスティーユの塔の天使が金色に輝いている。

トマ・ルブランってやっぱりすごい!

トゥールの国立振り付けセンターのディレクター、トマ・ルブランの新作を見て、すごいなあ、天才!
何がすごいって、まずはアイディア、そして振り付けと構成。
作品の途中に5つのご当地出演者を日替わりで入れるから、毎公演ごとに違う作品になる。最初はパリで見て、その1週間後にクレルモン・フェランで見たら、その違いがよくわかった。カンパニーダンサーが踊るパートは変わらないのに、日替わり出演者の短い5つのシーンが入ることで作品全体の雰囲気がガラリと変わる。作品って生きているのね!
構成も綿密で、ルブランって本当に踊りが好きなんだなあと思う。日本公演はまだ実現していないのが残念。

今月も104に来た~

まだ少し肌寒いからかなあ、練習する人は少ない。週末は混み合うのかも。

写真展が素敵だった

あ、伊藤郁女さんの公演が2月にあったのね。見逃していた。

歴史的建造物の中での公演を見に、マレ地区のフランス国立公文書館博物館に行って来た。

照明も何もないけれど、劇場とは違う雰囲気がいい。
ダンスと文学のコラボレーションシリーズのフェスティバル・コンコールダンス。
今日はエドモン・ルソーとシュロミ・トゥイザーがベルトラン・シェフェールの小説の朗読をBGMに踊った。本を読むことがめっきり減った私には、たわいのない日常を語る声が心地よかった。

外に出ればまだ明るいから、マレ地区お散歩~

こういう古い建物がたくさんあるマレ地区
この地区は外観を変えてはいけない規制があるので、看板とは違う店が入っている。

昔はパン屋、今はネスプレッソ

薬局は洋服のブティックに

大きなフィギュアで人目をひく犬猫グッズが充実のBHVアネックスのラ・ニッシュ

この通りにはユニクロもあるよ~

コロナ規制が解禁になって、たくさんの人が戻ってきた。
ピアノマンはいつもと同じ場所で、

ハープマンもいた

お天気が良いからヴォージュ広場は人でいっぱい。
でも、誰もマスクをしていない…

もうすぐ大統領選挙
マクロン再戦か否か?
フランス国籍がない私には選挙権ないから、遠目に眺めるだけ。
ポスターを破ったり落書きをすると罰せられますよ~

恒例の4月のイベント ポワソン・ダブリル

4月1日はエイプリルフールではなくて、POISSON D’AVRIL
POISSONポワソンは「魚」で、D’AVRILダヴリルの DEは冠詞。これが「4月」のAVRILとリエゾンしてダヴリル。
人の背中にそっと魚の絵を貼り付けて、物笑いにするのが4月1日の楽しみ。
背中に貼られたのに気が付かないまま電車に乗って、大笑いされた経験のある私は、毎年この日を楽しみにしている。いかにツレに復讐するか。
で、貼り付けられたのに気づかないふりをして、今度はその絵を貼り返してやった!
来年はこのまま外を歩かせたい。作戦を練らなくては。

恐ろし、フランスのおばん

花泥棒編
朝8時半、大きな袋を持った70代くらいのおばさん、散歩ついでにヒヤシンスを引っこ抜こうとした。
歩調は変えず、サラリと引っこ抜くやり方には年季が入っている。残念ながら土植え数年物のヒヤシンスの根は深く、サクッと抜けない。しかもツレがすぐ後ろに。
「何してるんだ」
「別に、花に触っただけよ」
と逃げるでもなく、悪びれるだけでもなく、堂々と面と向かって言い訳をする。

触っただけで茎が倒れて根っこが見えるかっつーの!

倒れたヒアシンス。
この柵の間から手を入れて盗もうとした。
頭に来たので、柵の間に網を張った。
これで3度目だ。大輪の花を咲かせていた椿に、植えたばかりのラベンダー。流石にバラは盗まれない。棘の効果だ。

横入り編
マルシェでは私より後に来たのに「私が先よ!」と怒鳴る。
レジに並べば「ちょっと聞きたいことがあるだけなの」と言って横入り。実際は店員に聞くどころが支払いのみ。
フランスのマダムは怖い。
と思ったら若者も負けてはいない。
長蛇の列に、何気なく横入りする人や、いかにも友達に会ったかのように見知らぬ人に親しげに声をかけて横入りする人、「そこのポスターを見たいのでちょっと失礼」と言って間に入ったまま動かない人。注意しても堂々と反論するから、最近は諦めている。

今月のびっくり

4月に雪!赤と黄色のチューリップが白い雪に映えて綺麗だけれど、花もびっくりしただろうなあ。

全ての店の棚からからマスタードが突然消えた!
ロシアのウクライナ侵攻が原因かと思ったら、辛子の生産国のカナダでの不作が原因。異常気象のせいだって。ちなみに日本のカラシと洋風からしは違います。洋風カラシのマスタードには、カラシの他に玉ねぎなどの野菜が入っているようで、メーカーによってかなり味が違う。

今月の1枚

原発ではありません。お城というか要塞だと思う。中世の時代、ここから敵を見張っていたのかと、タイムスリップした感じ。ドーンと迫力がある

山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、あっという間におばさんになった。パリジエンヌを長年やっていたが、環境を変えるのも一つの経験と、地方都市に移住。山が見え、庭のある生活は新鮮だけれど、やっぱりパリが恋しくなる。イベントはたくさんあるし、人はうじゃうじゃいるし、デモに暴動、スリに騒音とエキサイティング。我が身を守るには、ボケている暇はない街なのだ。時々出没するパリで再発見をして、やっぱりパリが好き~!
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