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山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、フレンチ生活を山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

2022年5月

5月に猛暑?!

5月なのに30度!
来るはずの氷の聖人は来なかった。4月の寒波が氷の聖人の仕業だったのかも。
インドの50度越えよりはましだと思うことにして、朝から雨戸を閉めて熱波をシャットアウト。ツレは扇風機を回し、私はうちわでひたすら我慢。原始的な生活してます。

クーラー?我が家にはそんな贅沢品はありません!
ここ数年の猛暑でクーラーの売れ行き好調で、室外機を見かけるようになった。
知り合いの電気屋が「ダイキンがいいよ」と。アフターサービスがしっかりしているからだって。

手動のかき氷器を日本から持ってきたので、得意になって出したものの、冷たすぎると言って不評。キンキンに冷えたコーラを出したら、冷たすぎると言って返された。そういえば、昔はビールを注文すると生ぬるだったのを思い出した。冷たいものには不慣れなフランス人が多いのだ。

この暑さはいつまで続くのだろう。

涼みに山に登れば、同じことを考えている人でごった返し、

海へ行ったら、まだ水が冷たくて泳げない。砂浜で焼けこげるだけだった。
家でじっとしているべきだったのだろうか。

ダンス見ながらパリ散歩ぉ~

パリ・オペラ座では「マッツ・エックの夕べ」で、演目は「カルメン」、「アナザープレイス」と「ボレロ」のトリプルビル。踊り手が変われば作品がガラリと変わって、新たな発見があるのが面白い。
「カルメン」の主役はマリーヌ・ガニオ、唯一エトワールのユーゴ・マルシャンがドン・ホセを、そしてフロリアン・マニュネがエスカミーヨ

この3人を支えたM役のオニール八菜とジプシー仲間のアドリアン・クーヴェ

第2キャストはレティツィア・ガロニ、シモン・ル・ボルニュ、イダ・ヴィキンコスキ、フロロン・メラック、タケル・コストで、エトワールのいない配役。
若手を押し出すパリ・オペラ座なのだった。

「アナザープレイス」は、ステファン・ビュリオンとリュドミラ・パリエロのデュエット。
以前に見たオーレリー・デュポン版とは全く異なる印象で、踊る人によってこんなに作品が変わるのかと、新鮮な気持ちで見た。
ビュリヨンはもうすぐ引退なので、これが見納めかな。

そして「ボレロ」。若者VS 老人で、「今時の若いもんは‥」とか「爺さん何やってんのかな」というような会話が聞こえてきそうで、クスッと笑ったり、ちょっとしんみりしたり。日常が走馬灯のように流れる構成にエックの世界観が感じられる。
エックが引退する時に全ての作品の上演権を封じ込めたけれど、その後取り消したのか、こうして見られることが嬉しい。やっぱりエックの作品は後世に残すべきだと思う。

ああぁ、今夜は運が悪い。前の席に背の高い人が座った。これじゃあ何も見えないよ~

舞台がそのまま玉手箱になったようなジェームス・ティエレの新作「ルーム」をクレルモン=フェランのコメディ劇場で。
ジェームス・ティエレ団長の指示に振り回されながらリハーサルが進んでいくというストーリー。ティエレもすごいが、その脇を固める出演者も個性派ばかり。ダンスとサーカスと音楽が飛び交い、舞台そのものが玉手箱のような驚きの連続だった。
ジェームス・ティエレはチャップリンの孫ですよ~

すっかりファンになったカミーユ・ボワテルの新作を見に、テアトル・ド・ラ・シテ・アンテルナシオナル(国際大学都市劇場)へ。
八百屋舞台のたくさんのオブジェには想像を超える仕掛け。歌舞伎の衣装をアレンジした出立ちのボワテルがこけていく姿に大笑い。

パリのテアトル・ド・ラ・ヴィル(パリ市立劇場)はまだ改装工事が終わらないらしく、いまだにシャンゼリゼにあるエスパス・カルダンを借りている。
ダンスを見るには良い劇場とは思えないけれど、

座席は気持ちがいい。ゆったりとしていて気を緩めると寝てしまいそうだ。ただ、私には座席が高くて足が床に届かない。。。

マリー・シュイナールの「ラディカル・バイタリティ」は面白かった。過去の作品の抜粋をつなげたもので、シュイナールのお茶目なセンスが盛りだくさん。大いに楽しませてもらいました。

劇場の廊下ですれ違った女性。出演者かと思ったら一般客だった。水着と間違えそうなトップスに薄手の光沢のある薄い生地のボトム。まだ5月なのに真夏の服。
今年の流行りは露出度高し。日本でこんな服を着たらどうなるのだろうかと想像してしまった。

シャトレ劇場の近くの公園にダンスの写真がずらりと並んでいた

あら~、パリ・オペラ座のセウン・パクとポール・マルクじゃん

チュイルリー庭園からルーブル美術館を眺める。この広大な景色が好き~

5月8日は1945年の第二次世界大戦の勝利を記念する日で祝日。日本はまだ戦争終わってないんだけど…
ジャンヌ・ダルクはフランスの救世主の象徴で、明日8日のセレモニーに向けて旗が立ち、右翼団体がここで演説することもある。

今話題のお花カフェ。生花をふんだんに使った装飾が人気でいつも満席。店員もピンクのコスチュームで花の精

市庁舎前では「ヨーロッパの日」のイベント

コンサートもやってる

アベス劇場(パリのテアトル・ド・ラ・ヴィルのアネックス)や、サクレクール寺院があるアベス界隈。メトロのアベス駅の出口を出たところの広場は、憩いの場所。
下町風情が人気で、映画のロケ地でも有名になったし、パリのバゲットコンクールで優勝したパン屋が2軒もある。

日も長くなったし、気候も良くなって、

カフェのテラスは満席

アベス劇場での公演は、ぺリーヌ・ヴァリの「クラウド」
地球環境問題をテーマに、子供がメインの作品。プロでもないのにめっちゃうまい。
ここ数年ダンスのプロでない出演者の作品が増えているように思う。

アベス駅は地下深いところにホームがあるので、エレベーターで上に上がるのをお勧め。足に自信のある方は階段で。ただし、螺旋階段なのでちょっと目がまわる。

アベス駅の外に出て、アベス劇場と反対方向に行けばサクレクール寺院

観光列車も走る観光地=スリが多いので気をつけてね

ピガールかバルベス駅に向かう道にはたくさんのブティック
この辺りは生地屋が多いことでも有名

中華スーパーもある~

深田晃司監督の映画「本気のしるし」がフランス上陸。
フランス語のタイトルは、Suis-moi, je te fuis

劇場が展示会場にもなっているクレテイユのメゾン・デ・ザールMaison des Arts。

公演がある日は早めに行って展示を見て、時にはカフェで一休み。お気に入りの劇場の一つ。

今回はニコラ・ヘンリーNicolas Henryとヴィック・ミュニズVik Munizの展示会。

これはIT廃棄物で作られた世界地図。世界はゴミだらけなのよね~

劇場は市庁舎のすぐ横。そこにはウクライナの国旗

ちょっと小旅行~ロワイヤン~

大西洋岸にある町ロワイヤンは観光客で賑わうセレブの町だった。

海岸に面した通りには邸宅がずらり。リッチな避暑地なのだ。

白い砂浜が延々と続いていてめちゃ気持ちがいい

ビーチを離れて少し遠くに行ったら、えび漁なのかな、海に突き出した小さな小屋。ということはこの辺でエビが釣れるのかと思って試したけれど、収穫ゼロ…

そこで市内の市場に行ったけれど、ちょっと高め。スーパーは肉も魚も高い。やっぱりここはセレブの避暑地か!
しかし、探せばある。知人に聞いて住宅地にある魚屋に行ったら長蛇の列。生牡蠣6個で3,45ユーロ。安い!しつこく聞き出すべきなのだ。Googleマップでも高評価。

パン屋に行ったら薔薇の花をくれた。なんで?
今日は5月29日。母の日だったのだ。なぜか父の日は日本と同じ日なのに、母の日は5月の最終日曜日。なんでだろう

5月1日はスズランの日

今年はちゃんと5月1日に咲いてくれた。
5月1日は、誰もがスズランを売って良い日なので、通りのあちこちに花売りが出る。
小遣い稼ぎに売りに行こうかと思ったけれど、全く売れなかった記憶が蘇ってあきらめた。売りたい方、競争率高いので、場所取りは早めに。それと、花屋の近くで売ってはいけませんよ~、法律で禁止されています。

5月16日から電車やバスに乗るときのマスク着用義務がなくなった。でもコロナウイルスはまだウヨウヨしているから、やっぱりマスクはつけたいなあ。

外出中に無性に甘いものが食べたくなって、スニッカーズ得用袋を買った。ところが、どう頑張っても袋を開けられず諦めた。
日本だったらさくっと袋は開けられるのに、こっちではム~リ~。なんで?
あ、厳重じゃないと店内で勝手に開けて食べちゃうからか。。。
そういえば昼頃になると毎日のように停電になるスーパーがあって、10分後くらいに明かりがつくと中身が空っぽになった袋が散乱していたという話を聞いたことがある。これも文化の違い…

山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、あっという間におばさんになった。パリジエンヌを長年やっていたが、環境を変えるのも一つの経験と、地方都市に移住。山が見え、庭のある生活は新鮮だけれど、やっぱりパリが恋しくなる。イベントはたくさんあるし、人はうじゃうじゃいるし、デモに暴動、スリに騒音とエキサイティング。我が身を守るには、ボケている暇はない街なのだ。時々出没するパリで再発見をして、やっぱりパリが好き~!
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