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山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、フレンチ生活を山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

2022年8月

コロナの後は、カラカラ問題

フランスに入国する時の水際措置が8月1日から完全撤廃されました~!

フランスでのコロナ禍第7波は、8月3日現在終わったとのこと。
8月2日の統計では、新規感染者が54519人で37パーセントの減少で、入院者数は19792人で、重症患者は1180人。
まだまだ安心できないけれど、日常が戻るという実感が湧いてきた!
それなのに、日本は8月3日24万9708人の新規感染者って、まじ?

しかし、今度は水不足。
2ヶ月近く雨が降っていないから、あちこちで水不足。
今後雨が降らなければ、25日後には飲み水はなくなるという予報。冗談みたいだけれど、本当らしい。

乾燥しているから、あちこちで山火事が起こっていて、7千ヘクタールの森が消失したと。
フランスは原発に頼る国なのに、冷却水不足。水があっても酷暑で水温が上がって原発がうまく冷えないとの話も。ガソリン不足、ガスも在庫不足で水もなし。
この先どうなるのかと心配しても仕方ないから、とりあえず節約しているのに、何も考えずにガンガン使う人を見て、ちょっとむかつき。。。

我が家の畑で収穫したカブは長細かった。
なんで?
水を求めて地中深く根が伸びたということらしい。味は残念ながらスジだらけでスカスカ。

生活不安を煽るようなメディア報道を見た後にスーパーに行けば、

マスタード(洋カラシ)は相変わらずない。隣のマヨネーズはたくさんあるのに…

え?ハムやチーズもないの?
スーパーの棚は空っぽだ。食品もないの?
数日後には商品が並んだのでホッとしたけれど、このご時世、食糧危機は現実問題なのかも。

フランスのゴミ事情

フランスのごみの収集は日本とは少し違う。建物ごとに大きなゴミ箱が配られて、収集日にそれを道路に出すと、収集車が来て回収する。
リサイクルゴミと普通ゴミがあって、市によっては生ゴミ専用ボックスもあって、それぞれ1週間に1回の収集。

これは街の最新式常設ゴミ箱で、ここに家庭ゴミなどを捨てても良いのだ。ゴミは地下に溜まるらしい。それをどうやって回収するのか、まだその現場を見たことないけど。
このゴミ箱があれば、いつでもゴミを捨てられるのは便利。

それなのに、すぐ横の別のゴミ箱は溢れている。あと3歩進んでリサイクル用のゴミ箱に捨てれば良いのに、なんで分別しないで捨てるのかな。こういうの結構むかつくんだよね

日本ではゴミ収集車のせいで道が渋滞すると清掃員を怒鳴りつける運転手がいて、その度に清掃員が頭を下げると言う記事を読んだけれど、フランスは反対だ。
ゴミ収集車にクラクションを鳴らせば、清掃員が降りてきて「あなたたちのために働いているんだよ!」と怒鳴られるのがオチ。
思い通りにならないとムカつくフランス人だけれど、ゴミ収集車に対しては誰も何も言わない。タイミングが悪かったと諦めている。清掃員の皆様、街を綺麗にしてくれてありがとう!なのだ

日本の分別ゴミはややこしい。細かいし、週1回とか月1回とか。
この点フランスはもっと単純。
家庭のリサイクルゴミは全て一つのゴミ箱へ。分別などしません。
日本では「油などで汚れた紙は再生できません」と言うけれど、フランスでは家庭のリサイクルゴミ箱の中で混ざり合い、さらに収集車の中でさらにぐちゃぐちゃになり、綺麗だった紙類に他のゴミの汚れがついたりしているわけで、本当にリサイクルできるんだろうかと疑問が湧くけれど、誰も何も言わない。
だいたい日本のように細かい分別を指示したら、面倒くさがって誰もやらないと思う。瓶は綺麗に洗ってからとか、ラベルを剥がしてからとか、雑紙と新聞紙を分けるとか。絶対無理。
ただ、わかりやすいのは家電製品のリサイクル。電池や電球、プリンターのインクなどはスーパーや取扱店舗に回収箱があるし、小型電化製品は家電売り場に回収箱がある。これはわかりやすい。買い物ついでに捨てに行けるし。
と、一時帰国するたびに思う日本のゴミの分別の難しさ。

これは便利なリサイクル

携帯電話の普及でどんどん撤去されている公衆電話ボックス。
しかし、さすがフランス人、これをみんなの古本ボックスにした。
読まなくなった本を置いていくと誰かがそれを取って、また誰かが本を置いていく。いいね

建物だって再利用。元小学校を保健所の健康診断会場に。少しリニューアルして、各教室を診断会場にしていた。
もっと大掛かりな工事では、外壁を残して内部を完全リニューアルすることもある。建物を取り壊して新築する方が安上がりらしいけれど、地域によっては法律で外観を残すことが決められているからね。このおかげでいわゆる旧市街というのが残っているわけなのだ。

石造りだから100年前の建物がたくさん残っているけれど、メンテナンスは必須。昔住んでいたアパートは、倒壊の危険があるとパリ市から警告を受けて、大家が慌てて工事をしていた。罰金がものすごく高いらしい、そういえば、危険建築に指定されたアパートに住んでいた友達は、取り壊しで追い出されていたなあ。確かに石造りの古い建物が崩れ落ちることが時々起こっている。恐ろし…
石造りといえど、梁などには木材が使われていて、工事現場で驚くほど大きくて見事な梁を目にすることがある。昔の技術ってすごいなあと思う。ノートルダム寺院がよく燃えたのは、たくさんの木材を使っていたから。マクロン大統領の公言通り、火災から5年後にはリニューアル工事が終わるらしいけれど、現場は休みなしに働いて大変みたい。ただ、昔の工法での再建なので、多くのものが手仕事となって、廃れかけた職業や技術が見直されているとも。

バカンス~

猫も杓子もバカンスですが…
8月12日気温40度、体感温度42度!
あまりにも暑いので翌日海に行こうと計画。
ところがいきなり気温25度、体感温度25度の曇り空で寒い。

せっかく来たのだから、寒いけれど海水浴を楽しもう!
う~ん、海に入っている方が暖かいかも。

これは水道橋。昔の人はこんな大きなものをよく作ったと思う。今は使われているのかなあ。
こういうの、結構あちこちにあります。

塩田のあるグリュイッサンに来た~

南仏のオクシタニ地方の地中海に面した街グリュイッサンは不思議な街だった。
海に近いように見えて、いざ海水浴場に行こうとすると中心地から4キロも歩かなくてはならないのだ。
目の前にあるのは海ではなくて、池なのだと。ずいぶん大きい池だこと!

海に行くにはこーんな畦道を延々と歩かなくてはならないのだった。
前日に車で行ったら、四輪駆動の車が必要なほどの凸凹道で、パリ・ダカール気分。前の車は車体を擦り付けてしまったのか、オイル漏れしながら走ってた。車を壊したくないので、翌日は覚悟して歩いた。両側は生植物を保護する池だった。
たどり着いたところは監視員のいない砂浜で、ほとんど人がいないし、波が荒かったので、翌日はいわゆる海水浴場に行くことにした。

あまりの暑さに途中でダウン。それでもなんとか砂浜にたどり着いたけど、また気が遠くなった。
海が遠い。砂浜が長すぎる…

海水浴場近くの家は全て高床式。
高潮に備えてなのか、1階に船を置いて2階が生活空間だったのか。今はリゾート用の貸別荘になっているみたい。

ここには塩田があって、特産の天然塩が買えるのだ。

旧市街に聳え立つ古城に登ると、地形がよくわかる

海と陸が入り組んだ地形で、間の前に広がるのは池。日本人の私が抱く池のイメージとはスケールが違う…

シャトーを取り囲むように細い道が続く旧市街にとった宿は、昔の漁師の家を改築したそうで、1階は自転車置き場、螺旋階段を登ると寝室と洗面所、3階がサロンとバルコニーという狭い土地をうまく活用した家だった。ホテルと違って家具付きの家を借りると、そこでの生活感が感じられるのがいい。

ウルトラ・トレイユ・デュ・モンブラン

もちろん私は参加しませんが、毎年8月末に行われる ウルトラ・トレイユ・デュ・モンブラン。
https://hashirou.com/article/page/utmb-2022

モンブランを取り巻くフランス、スイス、イタリアの山岳地帯を走る大会で、こんな過酷な競技に誰が参加するのかと思ったら、1万人参加のところに2万2千人の応募があったと聞いてたまげた。日本人も結構参加しています

ウルトラ・トレイユ・デュ・モンブランの中にはいくつかのカテゴリーがあって、最も過酷なのがUTMB。今年は171km走破。累計標高差約1万mを46時間30分以内で走るべしとのこと。
走行距離が一番短いのが15km。それでも累計標高差は1300m。これを4時間以内で走れと。標高差の少ないコースもあるし、16~22歳が参加できるコースや、3才から13才までが参加できるコースもあるとのこと。3才で参加?と驚いたけれど、400mコースからあるそうで、ちょっと安心。

フランスも忘れない八月十五日

8月15日が近づくと放映される原爆に関するドキュメンタリー。

エノラゲイ、キノコ雲。アメリカ側と日本側の映像を交えたドキュメンタリーで、原子爆弾が開発された過程や、原爆が落とされた後の関係者の言葉も語られる。被爆者の坪井直さん、川本尚早さんなどの言葉が胸に突き刺さった。

「戦争なんかしちゃいけないんだよ」折免シゲコさんの言葉
「勝ったとしても、それは多大な犠牲のもとに成り立っている」マギー・マランさん「Y aller voir de plus près」より

山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、あっという間におばさんになった。パリジエンヌを長年やっていたが、環境を変えるのも一つの経験と、地方都市に移住。山が見え、庭のある生活は新鮮だけれど、やっぱりパリが恋しくなる。イベントはたくさんあるし、人はうじゃうじゃいるし、デモに暴動、スリに騒音とエキサイティング。我が身を守るには、ボケている暇はない街なのだ。時々出没するパリで再発見をして、やっぱりパリが好き~!
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