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山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、フレンチ生活を山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

2023年8月

まだ8月なのにもう秋?

暑かったり寒かったり。天気がコロコロ変わるから、長袖の服はしまえない。夏らしくない夏。
やっと熱波が戻ってきた~!と言いながら、暑ければ暑いで文句を言い、寒くなればまた文句を言う。勝手なものです

ちょっと小旅行 ブルターニュに行ってきた

こんな民俗衣装を見たことあるでしょ。

ブルターニュはフランスの北西部にあります。

夏はあちこちの街でお祭りがあって、音楽が鳴れば自然とダンスが始まる

数人から始まったダンスが、あっという間にどんどん繋がって、最後には何重にもなった。簡単な動きに見えるけれど、3分から5分くらいの一曲を踊り続けると結構息が切れます

曲が変わるごとにステップも変わる。いくつものグループがあるのに、皆同じステップを踏んでいる。どういう規則でステップが決められるのかさっぱりわからないけれど、輪に入って見よう見まねで踊ってみる。小指を絡めて隣と繋がるとか、小さなアクセント入りのステップだったりして、結構難しい。腕を振るタイミングもあって、1曲踊ったら息が切れたけど、地元民は平気な顔をして踊り続けている。慣れなのかなあ

ケルト文化は奥が深い

この辺りには巨岩がいっぱい

昔の人がどうやって、何のためにこうして並べたのか、いまだに謎

フランス語とブルターニュ語で表示された標識
キブロン。これはまだわかりやすいけれど

ヴァンヌVannesはGwened
ここまで変わるとさっぱりわからない

ヴァンヌの街はこんな感じ

これは市庁舎。まるでお城

フランスの真ん中から下の地方は酷暑らしいけれど、北部は日中25度くらいで快適。
ただし海水の温度は18度で、ちょっと冷たい。長居は禁物

しかしその海は素晴らしかった。
砂浜は驚くほど白く、海水の透明度は高い。

湾になった入り組んだ地形ゆえ、波はほとんどないプールのような海なので、安心して泳げるのがいい。

たくさんの島があって、島巡りもできる。
ちょいと泳げば隣の島に行けそうなのだけれど、潮の流れはかなり早いみたい

海岸沿いにはセレブの別荘が続く

白浜に岩場、あちこちに小さな浜辺があって、すぐ近くで牡蠣の養殖をしている。

牡蠣の養殖見学ツアー。あら、養殖体験もできるみたい。
牡蠣が入ったメタル製のカゴを横に振っている観光客。
「牡蠣の養殖業者も色々考えるね、商売、商売」とツレ。

海辺の遊歩道脇の小さなレストランを見つけた。

海を見ながら採れたての牡蠣をいただく。めちゃうま~
1週間前にオープンしたばかりで、若い夫婦が頑張ってる

潮干狩りもOKということは、本当に綺麗な海なのだ。

特に気に入ったのがキブロン。突き出した小さな半島で、

ここへは電車で行けるし、

駅のカフェは可愛いし

駐輪場も充実しているので、パリから自転車を持ち込むこともできるはず。
貸し自転車屋もたくさんあるので、現地で借りるのもグー
しかも駅から海水浴場までも歩いていける人気の観光地だ。

「TSUNAMI」が来たら、こっちに逃げてくださいって。
「津波」は完全にフランス語になっている
昔は「Les grandes marées」だったのにね

ここで超有名な海鮮レストランへ行ってきた。
予約が取れなかったので、夜7時の開店に合わせて行ったのに、すでに満席。なんで?

7時に店が開くのではなく、7時からディナーを提供するということだったのだ。だから、一杯飲みながら7時になるのを待つというのが常連で、初心者はそんなこと知らないから、1時間の立ちんぼ待ち。海を見ながら待つというのも悪くないけれど、腹ペコには辛かった。

海の近くだから魚が豊富とは限らない。
ここも鮮魚はなく、甲殻類のプレート、貝類、蟹、魚のスープとスモークされた魚だけ。以前にコルシカ島に行ったときも港に一軒魚屋があるだけで、レストランで近海ものを頼んだら、「ない」とあっさり言われた。
海に近いのに、近海物の魚がないというのが不思議だが、どうやら地元民は自分の船で釣ってるらしい。

ツレははまぐり、私はverniを注文。このヴェルニという貝はこれまでに見たことがなく、どうやらこの地方の特産らしい。
美味しかったけれど、トマトソースとチーズが強くて本来の味が感じられない。
蒸し焼きとか酒蒸しとか、素材を生かした調理法で食べたかったなあ。日本の料理屋が恋しくなった瞬間。

さて、ブルターニュといえばクレープ。メインはガレットという蕎麦粉のクレープで、デザートは小麦粉のクレープ、そして飲み物はシードルというのが定番。

蕎麦粉は黒い小麦とも言われている。
ノルマンディー本場のクレープ初体験は観光地のレストラン。
レースのように驚くほど薄く(芸術的なというか、ケチというか…)、バターたっぷり感のパリパリしたクレープで、1枚食べただけでは満腹せず、必然的にデザートのクレープを頼んだのだが、この後郊外の小さな町のクレープ屋で、感動の一皿をいただいたのだった。

外側はパリッ、内側はしっとり、程よい厚みのクレープで、注文したソーセージは肉汁ジュワッの絶妙な焼き加減でチーズもたっぷり。
満腹感、充実感ともにバッチリ。お腹はいっぱいだったけれど、欲張ってチョコレートのクレープを頼んだら、これまたチョコレートたんまりで超満足。地元の有機栽培の農家から仕入れた材料で作っていると仕入れ先が黒板に明記してあった。メインのガレットと飲み物だけなら夜でも10ユーロとあって、地元民で満席。予約して正解。

ほとんどの家がこの形。とんがり屋根に窓。そこは屋根裏部屋なのだ。
私たちが宿泊した家もこんな感じで、寝室は屋根裏部屋。
可愛い!という第一印象とは裏腹に、ベッドから起きるたびに斜めになった天井に頭をぶつけて、眠気がぶっ飛ぶという毎日だった

出た~!ジャイアント・エレファント

10年ほど前になるかなあ、新聞で見たナントの巨大エレファントの写真。それがずーっと気になっていた。ようやく実現!

遠くから像発見!

早く近寄りたいけれど、島に渡る橋は遠い…

のっしのっしと歩き、鳴き声をあげて鼻から水をぶちまける。瞬きだってする精巧なゾウ。
大人も子供も水を被ってはキャーキャー言いながら楽しんでいる。その横でツレは「水は大切にしないといけないのに」と興醒めなことを言っている。確かに水不足だけれど、この暑さ、ミストがわりにはちょうどいい。
このゾウに乗れるのは50人だけなので、予約は必須。遅くとも1週間前には予約しないとダメです。

横の建物は、機械仕掛けの動物たちがいるギャラリー・デ・マシーン。有料です
ホームページでは予約を勧めているけれど、並べば誰でも入れる感じだ。

精巧にできた動物たち、本物みたいに動くのがすごい。蝶、蜘蛛、不死鳥にカメレオン、ナマケモノ…
中ではインストラクターが機械の動物の説明をしてくれて、運の良い一般客は機械に乗って動物を操作できる。

わ~すっご~い!とはしゃいでいたら、ツレが「これって子供向けでしょ」と、また冷めたことを言う。
「あたしゃおばさんだけど、めっちゃ楽しいよ。あんたは楽しくないの?」と聞いたら「楽しい」と。ならそんなこと言わないでよ!

ナントは毎年「住みたい町」ランキングで上位に入っている市。

公園や緑のスペースがたくさんあって、テーブルやベンチがあるからくつろげる。

噂に聞いたジャルダン・エクストラオーディネールJardon Extraordinaireには、滝がある。

スケールがでかい!

街を展望するには、この階段を登らなくてはならない…

しかし、ゼーゼー言いながら登れば良いこともある。
上の出口から、道路に貼られた緑のテープを辿っていくと、市内の観光スポットを回ることができるのだ。地図を見る必要はないからわかりやすいし、迷うこともない。
子供の遊び場や、ちょっとした運動ができる遊具があるし、町のあちこちに置かれた彫刻は、町が依頼したイベントで制作されたものを、壊さずに街中に展示しているとのこと。

文化が充実した憩える町なのだ

フランスのトイレ改革

このところフランスの公衆トイレが充実している。
大都市に限らず、村にも公衆トイレがあることがわかった。小さな町の場合は、市庁舎や役場のそばにあることが多いみたい。
清潔で、トイレットペーパーも(補充していないこともある)、手洗い用の石鹸も水も乾燥機もある。しかも無料!
昔は有料だったし、壊れていたり、汚かったり。男は立ちションするから、街がおしっこ臭かった。
そこで市長は考えた。無料にすれば良いのでは?
その通り!無料で綺麗なら、立ちションはしない、普通はね。
日本がお手本なのではないかと思う。まあ、日本のウォシュレット付きの最新型公衆トイレには程遠いけれど。
ちなみに便座が暖かいとか、ウォシュレットはフランスではほとんど普及してません。気持ち悪いって。
だいたい、便座がある公衆トイレというのは少ないっす。
何でって?壊されちゃうか盗まれるから。
便座も蓋もなければ、お掃除簡単だし、、、

フランスにもすけべ虫はいる!

夏といえば蚊。アジアの大型で凶暴な蚊がデング熱を振り撒いているとのニュース。
しかし私はすけべ虫の攻撃におおわらわなのだ。蚊よりも小さくてすばしこいヌカカ。
ハエの一種だけれどバンパイアー。網戸も潜り抜け、下着の中まで入ってくるからすけべ虫と言われるらしい。
フランス語ではCeratopogonidesセラトポゴニデ。集団で襲ってくることが多くて、急にチクチクして猛烈な痒みが襲ってきて、見れば腫れ上がり、夜中でも痒くて目が覚めてしまう。やっとかさぶたになってもまだ痒く、これが半年以上続くこともある。
庭で刺されるから、トコジラミ(南京虫)とは違う。ハエだから、蚊取り線香は効かず、日本で話題のオニヤンマくんも効果はないだろう。
ハッカ油を試してみたけれど、あっという間に乾燥して臭いが消えてしまうので、面倒くさがり屋には向かないことがわかった。だから諦めて刺されっぱなし。解決法があったら教えて~

山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、あっという間におばさんになった。パリジエンヌを長年やっていたが、環境を変えるのも一つの経験と、地方都市に移住。山が見え、庭のある生活は新鮮だけれど、やっぱりパリが恋しくなる。イベントはたくさんあるし、人はうじゃうじゃいるし、デモに暴動、スリに騒音とエキサイティング。我が身を守るには、ボケている暇はない街なのだ。時々出没するパリで再発見をして、やっぱりパリが好き~!
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