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山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、フレンチ生活を山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

2023年12月

フランスに食事のマナーはあるのか?!

不況だのなんだの言っても、やっぱりクリスマス時期は街全体が賑やか。イルミネーションも綺麗だけれど、

こんな可愛いサンタを吊るしている家を見るとほっこりする。まあ、パリでこれをやったらあっという間に盗まれると思うけれど、田舎に行くとこんな光景が見られます

さて、この時期は特に外食やお呼ばれが増える時期。驚きのマナー体験を少し。

フランスに住み始めてしばらくした頃、「フランス人はどんな食生活をしているのだろうか」という疑問が湧いてきた。一人暮らしならスーパーで日本食を買って「いつもの食事」となるのだが、フランス人は毎日何を食べているのだろうか?と思い始めた頃、30代のカップルからのお誘いがあって、ウキウキと出かけて行った。
ミックスサラダが前菜で、パブリカの肉詰めがメイン。結構軽めの食事だなあ。
そしてチーズの盛り合わせ+レタスの次はデザートだ。
デザートはフランス人には絶対に欠かせない一品。楽しみに待っていたら、なんとヨーグルトが出てきた。

え?夜にヨーグルト?

しかもヨーグルトの蓋をめくって、それをぺろぺろと舐めている。
この瞬間に私の中に抱いてきた「フレンチマナー」は音を立てて崩れたのだ。
大学卒業前に食事のマナー講座にお金を払って参加したのは無意味だったということか?

次に別の家庭にお呼ばれした時に、ナイフとフォークに悪戦苦闘していたら、「食べやすいように食べればいいのよ~」と言われ、周りを見れば指で骨の周りにこびりついた肉を剥がして食べている。無駄がないなあ、これじゃあ猫の餌にもならない。
それ以来私は堂々と箸を使うことにした。
レタスをフォークとナイフで食べるのはストレスの原因だし、魚も同じく。お箸の方が断然便利。

「食べて、食べて~」
おかわりすると喜んでくれる。美味しいからもっと食べたいのだと理解しているみたいだ。断ると「不味かったかしら…」になるみたい。
日本では「人前でガツガツ食べるな!」「女は少食が美しい」と言われて育ってきたので、人前では腹5部目でやめていたのだが、こっちは違う。とにかく「食え!食え!」なのだ。まあ、図に乗って食べまくった後、影で何を言われているかわからないけど…

それにしてもよく食べるフランス人。
知人を招待したら、1匹20センチはある鯖を平らげた後、さらに大きなイワシを3匹食べた女性がいた。
あるいは「コレステロールが高い料理は食べない!」と豪語していた人が、フォアグラや肉をおかわりしていたり。
この人たち、3日間何も食べていなかったんじゃあないかとさえ思ってしまう。

これを見て、私はなんとお上品に育ってきたのだろうかと自画自賛した途端に怒られた。
「頬張るな!」「ナイフで切ってから食べろ」

レタスをまとめて口に入れたら「頬張るな!」
餃子を二口で食べたら「ナイフで切ってから食べろ」なのだ。
だから握り寿司一貫も餃子もまんじゅうもナイフとフォークを使って小さく切ってお口に入れるのだ。ステーキなどは1センチ角に切って食べていた。

フランス人をカツ丼屋に連れて行った時は、一瞬固まっていた。とりあえずカツは切ってあるけれど、一口では食べられない大きさだ。ナイフもフォークもない。お箸しかないということは…?私が歯でかじって食べているのを見て、勇気を振り絞って喰らいついていた。(それ以来、この友達から日本食を食べに行こうというお誘いは受けていない)

しかし不思議なのは、バゲット(日本でいうフランスパン)のサンドイッチを80歳くらいの老人が食べている構図。
バゲットは厚みがあるから大口を開けないと食べられないし、皮がパリパリだから口の中が血だらけになる。それを歯をガクガクさせながら食べている。
勇気を出して聞いてみた。「大丈夫ですか?」
答えは、
「こういうものだから」

ピクニックにたまごサンドを持っていったら、義父はパンを剥がしてナイフで一口大に切り、そこにたまごサンドの中身を載せて食べていた。これならサンドイッチを作る意味ないじゃん!とムカつく私

フランス人はお上品なんだかそうでないのかさっぱりわからん
でも、確かに頬張ってはいない…ナイフとフォークで小さく切って、ダメなら指を使って、でも頬張らない。だから食事中にぺちゃくちゃお喋りしても唾を飛ばさないし、食べ方が綺麗に見えるのかも

これで驚いていてはいけない。「食後にお片付けを手伝うよ~」と台所に入ったらさらに驚愕の光景が。。。
流しに2つのおけ。一つには洗剤が入ったお湯、もう一つには熱湯に近い温度のお湯。そこにお皿をドボン、ドボンとつけて皿洗いは終わるのだ。3秒で終わる食器洗い。早い!しかし…
「ゆすがないの?洗剤が残っているんじゃないの?」
「大丈夫、お湯の中にレモンとかお酢を数滴入れてあるから殺菌してる」
でも、残留洗剤は?いや、聞いても無駄だ。。。見えないものは信じないから

友達にこれを言ったら、「あら、私の友達は洗剤液につけるだけよ」と。

脂ギトギトの皿を洗った後にワイングラスをその汚いお湯で洗えば、脂がグラスにこびりついてヌルヌル。でも気にしない。だって、「洗ったから」

こんな驚きは続々とある。

「木のまな板は洗っちゃいけないんでしょ」
ネットにも「洗う必要はない、レモンを数滴垂らして拭けばOK」と出ている。

「洗剤だけでは食器の汚れは落ちないから、布巾で拭かなくてはならない」
(こすらなきゃ、皿の汚れは落ちないと思うんだけどなあ)
しかも、その布巾でテーブルに落ちたソースを拭き、時には顔も拭き、しかも1ヶ月以上洗ってないんじゃないの?

面倒なことは避けたいフランス人。30年ほど前にフランスに来た時、多くの持ち家には食洗機が常備されていたのには驚いた。食洗機が当たり前だから、手で洗う場合も、上から洗剤を振りかけて、じゃあーっと水を勢いよくかけて終わりにする人もいる。

だから食洗機のない我が家では、ツレにも招待客にも、絶対に皿洗いを手伝わせない。

ノエルのバカンスはスキー

夏は海、冬はスキーが定番。
2000m級の山並みが目の前に広がる景色は壮観!

今年はサヴォア地方のクールシュベルCourchevelというアルペンスキーの高級リゾート地に行ってみた。

街路樹の木はサパンだから、装飾すればそのまま巨大なクリスマスツリー

下を見ればスパ

セレブは一軒家を借りる
窓にカーテンはなく、中が丸見えだけれど、誰も気にしない

街は山の斜面に位置している。かなりの傾斜だ。街の移動はどうするか?
なんと、長~いエスカレーターが24時間動いているのだ。こんなに長いエスカレーターを初めて見た。しかも無料。さすが金持ちの街だ

ちなみに私たちはここには泊まらず、山を下ったフツーのスキーリゾート地に宿泊。
無料バスが出ているので、多くの人が安い地域に宿を取り、スキーをしにバスに乗って上に行くという感じだった。
金をかけずにバカンスを楽しむのが上手なフランス人なのだ

山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、あっという間におばさんになった。パリジエンヌを長年やっていたが、環境を変えるのも一つの経験と、地方都市に移住。山が見え、庭のある生活は新鮮だけれど、やっぱりパリが恋しくなる。イベントはたくさんあるし、人はうじゃうじゃいるし、デモに暴動、スリに騒音とエキサイティング。我が身を守るには、ボケている暇はない街なのだ。時々出没するパリで再発見をして、やっぱりパリが好き~!
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