(2016.8.1 update)
少女のような雰囲気と大人の気品を漂わせる青山季可。
舞台で大輪の華を咲かせる彼女は今、プリンシパルとして牧阿佐美バレヱ団をリードする。
Interview,Text : 林 愛子 Aiko Hayashi
続けられたのはバレエが楽しかったから
まず、第32回服部智恵子賞の受賞おめでとうございます。
ありがとうございます。先生方、ダンサーやスタッフの方々、バレエ団を応援してくださっている皆さまのおかげだと思っています。今年は牧阿佐美バレヱ団が創立60周年で、ずっとお世話になってきたのでご恩返しができたような気がしています。私は服部先生にお目にかかったことはないのですが、牧先生のご本にも、服部先生がいかにバレエのためにご尽力されたかということが書かれています。島田廣先生の舞台には私が小さい頃にも出演させていただきました。これまで大先輩の方々が受賞なさっている賞をいただくことができ、大変光栄に思っています。
もともとバレエは大阪で始められたんですね。
3歳から川上恵子先生のところで始めました。ありきたりなんですけど体が弱くて。今もたいして丈夫にはなっていないんですけど(笑)。最初はスイミング・スクールに通ったんです。水泳が苦手で泳げなくて。今でも泳げないんですけど(笑)。スイミングの向かい側にバレエスタジオがあってそこに母が連れて行ってくれました。
バレエを続けてこられたのは、好きとか、楽しさを感じたから?
やっぱり楽しかったんだと思います。
東京新聞の全国舞踊コンクールでも賞を獲得して天才少女と評判になりましたね。
出てみない?といわれて出場しました。私、たくさんコンクールに出ている印象を持たれているかと思うんですけど、実は東京新聞第二部(8才から13歳までの部門:筆者注)に3回しか出ていないんです
やはり目立ったからでしょうね。コンクールも今ほど多くなくて、そういうなかで踊りましたものね。身体の成長期、精神的には思春期なども経ながら踊っていらして、やめたいと思ったことはありましたか?
たぶんやめたいと思ったことはなかったと思います。でも初めて海外留学でロイヤル・バレエスクールに行った時は、もちろん顔の大きさとか身体の違いを感じたりして悩まなかったと言ったらうそになりますね。それと私は偏平足なので苦労もしました。足の矯正をされたり、ロイヤルにはフィジオみたいな先生がいらっしゃるので、インソールを入れて土踏まずの感覚を鍛えたりとか。あちらの方はみんな筋肉が強いし、訓練方法が違いました。
ドラマのあるバレエに惹かれて
日本だと中学生の頃になりますから、大変でしたね。
ロイヤル・バレエはドラマを大切にしているところが素晴らしくて、作品では「マイヤーリング」が一番好きです。ハプスブルグ家の実話をもとにしたお話ですが、とても惹かれました。いつか留学をしたいと思っていたら、牧先生のご紹介でデイム・メール・パークが、私の踊りを見てくださってイギリスに行くことが決まりました。コンテンポラリーの経験がなかったので勉強したいと思って。
留学中に最も苦労したことは何ですか?
精神的にも幼かったから、逆にみんなに助けられて。(笑)ホワイト・ロッジでの寮生活では、いじめにあうこともありませんでした。3年いましたが、中2になりたてで行ったので13歳のうちに行ったことになります。だから学校の勉強とか何にもわからなくて、落ちこぼれていました(笑)。
勉強とバレエ・レッスンと両方ですからほんとに大変。ところでロイヤルに行く前から、自分はバレエの世界でやっていきたいと思っていましたか?
漠然とは。でも向こうの少女たちが思っているようなシビアな感覚では常になかったと思うんですね。ホワイト・ロッジではイギリス人ばかりで、途中からウェールズとか南アからも来ていました。向こうはやはり、早くから仕事を探しに行くという感じで、強い目的意識を持っていましたね。
青山季可 Kika Aoyama
●出身地/大阪府 ●出身スクール/ 川上恵子バレエ研究所 第18期AMステューデンツ、橘バレヱ学校 英国ロイヤルバレエスクール卒業 ジョン・ノイマイヤー・ハンブルクバレエスクール卒業 ●おもな出演作品 「白鳥の湖」オデット姫/オディール 「眠れる森の美女」オーロラ姫 「くるみ割り人形」金平糖の精 「ドン・キホーテ」キトリ 「ジゼル」ジゼル 「ライモンダ」ライモンダ 「ラ・シルフィード」シルフ 「ロメオとジュリエット」ジュリエット F.アシュトン「リーズの結婚 ~ラ・フィーユ・マル・ガルデ~」リーズ 「三銃士」 コンスタンス など多数主演 「くるみ割り人形」クララ(10歳) 「ドン・キホーテ」キューピット(11歳) ●その他おもな経歴 東京新聞全国舞踊コンクール・バレエ第2部1位(’93) NHKバレエの饗宴2012 出演 平成24年度中川鋭之助賞(2012) |
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