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藤井 修治
 
Vol.11 民俗芸能の楽しみ  
2000年8月1日

何年ぶりかで沖縄に行って来ました。ちょうどサミット期間中だったのですが、こちらはお偉くはないので、サミット(頂上)でなくボトム(底辺)といったところでしょうか。のんきにバカンスしてきました。
沖縄本島の南端で、グラスボ-トというのに乗り込んで、舟底にはめ込んだガラス越しに海の底のサンゴやカラフルな魚を見たのですが、船酔いで昼食の沖縄そばも喉を通 りませんでした。でも呑気で最高の気分でした。
滞在中に感心したのは、観光スポットで見たエイサ-というダンスです。三線(さんしん-沖縄の三味線)の弾き歌いの民謡に乗って若い男女が太鼓をたたきながら激しく動きます。バレエのジュテ・アントゥ-ルナン(回転跳躍)のような活溌な動きを散りばめた元気いっぱいの踊りは、見る人にも元気をくれます。案内してくれた沖縄の友人も、小中学生時代に学校で習っていたとか。沖縄ではいつでも見られるもののようです。
宴会で泡盛を飲みながら老若男女が三線の早弾きに合わせて即興的な手振りで踊るのをテレビでよく見るのですが、これはカチャ-シ-というそうです。庶民の交流の場での最大の楽しみのようです。
芸術祭の公演などで上演される琉球舞踊は、宮廷風の祝賀の踊りや、恋の哀感を情緒的に描くもの、そしてメッセ-ジ色の濃い創作など、芸術的に構築され、洗練を加えたものが多いんです。そんなわけで、まばゆい陽光を避けて風通 しのよいベンチに座ってすぐ目の前で見たエイサ-には、土の香り海の匂いが濃く、すっかり魅せられてしまいました。練り上げられた舞台芸術を上に見て、地域的な民俗芸能を下に見てしまう傾向があるようですが、これは間違いです。両者には別 のよさがあるのです。
音楽や舞踊を語るとき、われわれはついつい西欧圏のものを中心に考えてしまいますが、世界中には実にいろいろな音楽や舞踊があります。
日本ではスペインの民族音楽や民族舞踊が広く親しまれています。おなじみのスペイン国立バレエ団の華やかな舞台も最高です。しかしタブラオという居酒屋で演奏され踊られるフラメンコの魅力には抗しがたい迫力があります。ハンガリ-の国立の民族舞踊団の公演にも魅了されますが、レストランで飲んだり食べたりしながらジプシ-バンドの演奏を聴けば生きててよかったなどと思います。インドの音楽や踊りもすばらしい。日本に近い東南アジア諸国の歌や踊りはさらにストレ-トにこちらの心に迫ってきます。でも現地に行くのは大変です。
7月末に東京渋谷を中心に「ワ-ルドフォ-クロリア-ダ」という催しがありました。4年に一回結成されて世界を廻って文化交流を行うのだとか。面 白いだけでなく勉強にもなる企画でした。一例としては、輪になって踊る「輪踊」は世界中から16カ国のグル-プが集ったとのこと。それぞれの共通 点や違いを見ればいろんなことがわかるはずです。こんな有意義な催しなのに外来の大バレエ団のほうに観客が集中して空席が目立ったとか。居ながらにして世界中を廻れたのに、僕もコンク-ルの審査などで見られなかったのです。残念! そのかわり時には日本の各地の民俗芸能を見たりしたらどうかなと思ったりもします。花鳥風月のほかに各地の伝統芸能をも楽しむことができたらいいな。手始めにうちの近所の神社で今月末に行われるお祭りのお神楽にウン十年ぶりに行ってみようかな。新宿区なのにまだ残っているらしいのです。皆さんも自分の町の芸能を点検して見てはいかがでしょうか。




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