藤井 修治 | ||
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2001年2月6日 | ||
先週の土曜日の朝。NHKテレビの「土曜オアシス」という番組で、フラメンコの小松原庸子さんが柿沼アナと萬田久子さんの質問に答えたりしていました(敬語略)。ほんの少しだけですが喜びの踊りと悲しみの踊りを誰にでもわかるように的確に踊って見せてもくれました。小松原さんの踊りはいつも楽しいし、この時のお話も面
白いので、ついひきこまれてしまい、土曜日の朝にはたいてい見ることにしている日テレの「途中下車の旅」を見るのを忘れてしまいました。 彼女が話し出すとテロップで小松原庸子(69)と出たので、お若くてお元気なのにも驚きました。でもテレビでいつも年齢が出るのはどんなものでしょうか。最近もデヴィ夫人がテレビに出るといつも(60)などと年が出るのはよくないと怒っていましたけど・・・・。 それはともかく、小松原さんは邦楽の家に生まれ、幼少時代からいろんな芸事を習い、とくにバレエを長く続け、長じては俳優座に入って役者になりました。小牧バレエ団ではあまりうまくなかったらしい(他人から聞いたんですヨ)。俳優座でもパッとせず、主役はあまり貰えなかったとか。ところが40年ほど前にスペインでフラメンコの舞台を見てコレダと思ってフラメンコを習い始めたそうです。以来ずーっと踊り創りつづけているとのこと。このことは十年ほど前に彼女が上演した「私はフラメンコを選んだ」という作品に描かれています。振袖姿の彼女がフラメンコを見てすっかり夢中になり、衣裳を着がえてフラメンコ一筋に生きるようになるという自伝的な作品でした。これはスペインでも好評を得て日本とスペインとの友好も深めたようです。 しかしそれ以前はずいぶん大変だったはずです。彼女はかつて文化庁の芸術祭に何回も何回も参加しても受賞できませんでした。文化庁もそろそろあきらめて欲しいと考えたようですが、20年近く前、ついに「ゴヤ~光と影」という作品で芸術祭大賞を得ました。紗幕にスペインの画家ゴヤのいくつかの名画が映し出され、舞台に照明が入ると絵と同じポーズをしていたダンサーたちが動き出すという演出がとられていました。芸術と娯楽と巧みにブレンドさせアピールしました。昔は相当不器用に見えた小松原さんは年を重ねながら心技体に大きく成長していたのです。彼女がフラメンコを選んだのが30才ごろとすれば、決して早くはありません。しかしそれまでいろいろなジャンルに挑戦し、多くの経験を積んだ上で一生の仕事を決めたのでしょう。決しておそくはなかったことになります。 彼女はおととしだったか、NHK教育テレビの「趣味悠々」という番組であの西田ひかるらをお弟子にしてフラメンコ舞踊の講座をつづけました。その教えかたをみて彼女の人間性がフラメンコ人口をふやしたようにも思ったりもしたものです。 彼女は先日の番組の最後に座右の銘を求められ一気に「それでも学ぶ」と書きました。この言葉はゴヤが 最晩年に描いたデッサンに書き込んであったそうです。 電車のなかで見廻すとオジサンも若い人もマンガやスポーツ新聞を読んでる人が多い。悪いとはいいませんが向上心がないんじゃない?受験勉強がきつかった反動かな?学校卒業したら本など一切読まない人も多いらしい。よく生涯学習とかいわれますが、こんな言葉を聞くとかえって勉強したくなくなる気もわかります。しかし「それでも学ぶ」はわかりやすく納得できます。この言葉を書いた老ゴヤにも、これを選んだ小松原さんにも感心。ということで、このところ疲れ気味の僕ももう少しがんばろうと思った土曜日の朝でした。小松原さん、ありがとうございました。 |
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