藤井 修治 | ||
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2003年7月29日 | ||
先日、銀座の王子ホールという小さいコンサートホールでギリシャ悲劇による不思議な公演を見ました。王子ホールが委嘱した「イピゲネイアの犠牲」という作品で、チラシには「世界で最初にあなたが体験するライブハウス型オペラ、今この空間でドラマが生まれる」とか、「銀座発信の新音楽エンターテイメント、ギリシャ劇 エレクトラ、第1話」とかいう宣伝の文句が並んでいましたが、実際はギリシャ劇を一度解体していろんなジャンルの芸術の要素を巧みに統合した舞台でした。ヨーロッパ文化は古代ギリシャに源を持つものが重要な比重を占めています。日本でも古くからギリシャ神話は親しまれていますし、大きな銀行の正面の巨大な柱はギリシャの神殿の柱がルーツなのは御存知のとおりです。またまた私事になりますが、僕の子供時代、父の書斎に当時は日本で唯一の世界美術全集が並んでいました。父がいない時に忍び込んでは各巻をのぞいたのですが、その3冊目が古代ギリシャの巻で、その中のギリシャ神話の神々の彫刻群に魅せられては古代のギリシャに遊んだものです。裸だからだろうって? そうかも・・・。その後、あの三島由紀夫が名作「仮面の告白」の中で真実の告白をしているのを読むと、彼も父親の書斎でこの全集のルネサンスの巻を開き、イタリアの画家ギト・レーニの描いた美青年の肉体に矢が刺さって血が流れている「聖セバスチャンの殉教」という絵を見て、めくるめく思いをして精通した(ワカリマス?)と書いています。彼が12歳の時かな? 僕もこの絵を見たんですがあまりピンと来ませんでした。僕が天才三島と違って凡才だからでしょうか。この画像はベジャールのバレエ「M」にも出てくるので御存知かも。
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