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うらわまこと
 
Vol.18 「情報とは- 
  「月」も「ダンス」も情報を発信します
2000年11月13日
 

 皆さんは「情報」ということばから何を連想しますか。多くの人は「コンピューター」や「インターネット」を、あるいは「メール」を思い出す人もいるでしょう。たしかに、情報化社会などという時は、このようなものを生み出すIT(インフォメーション・テクノロジー=情報技術)が重要な役割を果 たす社会を指すことが多いようです。
 「花」や「月」はどうでしょうか。情報という点からは、「コンピュータ」も「花」も本質的には変わりはないといったらどうでしょうか。しかし、それは「情報」をどう理解するかによって決まるのです。  厳密にいうとコンピュータやインターネットは情報そのものではありません。これらはメディアとかツールといわれるもの、つまり情報を伝える媒体であり道具なのです。そして「花」や「月」だけでなく、存在するものすべてが情報の媒体、道具になりうるのです。
 では「情報」とはどういうものでしょうか。私は「情報とは「知らせ」であり、それは人に何らかの感情を起こさせたり、行動をとらせたりするもと(源泉)になるもの」と考えています。つまり、人(だけではありませんが)は情報を受け取ることによって、「楽しい」とか、「悲しい」、「おいしそうだ」、「大変だ」、あるいは「儲かるぞ」、などなどの感情をもち、それにしたがって何かの行動を起こそうとするのです。もちろんその反応の程度や内容によって情報の重要度、すなわち情報の価値は変わります。
 簡単な例をあげてみましょう。「今夜、雨が降る」という知らせを聞けば、出かける予定の人は、「雨か、いやだなあ」と思いながら傘などの準備をします。この知らせはTVやラジオ、あるいは新聞などのメディアによってもたらされるのです。「ブランド品のディスカウントセールがある」、これも「情報」ですし、「日本の経済成長率が00%」とか「アメリカの大統領が00氏に決まった」もそうです。人々はこれらの「知らせ」を受けるとなんらかを感じ、またなんらかの行動を起こします。
 このような知らせと比べると、「花」や「月」はたしかに少し違います。というのはこれらは、だれかに知らせようとする意思がないからです。しかしこれらを見て「美しい」、「可愛い」、「ロマンチック」、「行ってみたい」などと考えれば、そしてさらに「花屋」や「宇宙飛行士」になろうという気になれば、「花」も「月」も立派に情報を伝えているということなのです。具体的な行動でなく、心が豊かになるとか、意欲がわいてくる、これも立派な反応です。さらに花が美しいのは、蝶や蜂などの虫に花粉を運んでもらい、種を発展させるために意図的に情報を発信するためであると考えることもできます。
 いずれにしろ、情報には新聞やTV、インターネットなどをとおして伝えられる、意図的に送られるものと、花や月のように受ける側の意識によって決まるものがあるのです。しかしここで大事なのは、どちらの場合でも、情報の価値を決めるのは送り手と受け手の両方であるということです。送り手は重要な知らせをできるだけ受け取りやすく送るべきですし、反面 いくら重要な知らせを伝えても、美しいものがあっても、受けるほうがそれを理解しなければ、私たちの人生にとって価値あるものにはならないのです。
  さて、ダンスの話です。振付者、そしてダンサーは、作品や肉体の動きをとおして、つまりそれを媒体、道具として、観客になにかを伝えるものでなくてはなりません。一方観客は舞台で演じられているものによって、なにかを受け取り、なにかを感じるのです。実際に、伝えたいものが的確に表現され、それがきちんと受けとられているでしょうか。




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