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幕あいラウンジ バックナンバー

うらわまこと
 
Vol.22 21世紀には 
  『平和と文化、そして愛』を」
2001年 1月15日
 

 いよいよ21世紀。といってもとくに何かが変わるというものでもありません。12月31日から1月1日になるのも、1日から2日になるのも同じこと。
 ただし、このように年号や年月日、そして時刻は、歴史や記録、あるいは予定、計画にはなくてはならないものです。これらのない生活は考えられません(あまり時間に追われる生活も望ましくはありませんが)。また、これをきっかけとして、意図的に何かを始めたり、やめたり、あるいは何かを願ったり、祈ることもできます。これは人間の知恵といえるでしょう。この意味で、21世紀、すなわち西暦2001年1月1日は、たんなる新年ではなく、センチュリー(世紀=百年紀)どころか新しいミレナリー(千年紀)の始まりですから、タイミングとしては絶好ということもできます。
 といっても私たちの人生はせいぜい百年ですから、考えられることは世紀単位 がやっとです。したがって、21世紀に何かを考えるとしたら、その前に20世紀はどういう世紀だったかを総括しておく必要があります。
 ある新聞社のアンケートによると、20世紀はいい世紀であったという人は40%、悪い世紀であったとする人は25%、どちらともいえないという人が35%でした。たしかに百年というのは私たちにとっては長い期間ですから、いいこと悪いこといろいろあったと思います。ただ、私はどちらかといえば悪い世紀だったといわざるをえません。
 その最大の理由は戦争です。戦争は絶対だめです。それから経済です。もちろん、戦争と違って経済はある程度必要です。しかし、行き過ぎた経済思想、言い換えるとお金や物が第一の思想は、人々から人間らしさを失わせるだけでなく、自然を破壊します。すさんだ世の中、地球環境の悪化は、戦争と同じくらい恐ろしいものです。
 で、私は21世紀には、「平和と文化、そして愛」が実現されることを祈ります。
 ここでいう文化とは、人の心、精神の面を大事にすることです。これによって争いを避ける知性や、自然や人に対する愛が生まれます。  しかし、現実には、競争社会、情報社会は進み、人間らしい心遣いや触れ合いはますます少なくなることが予想されます。
 そこでとくに重要になるのが芸術です。私は芸術に次のことを期待します。まず人間を、その素晴らしさを描いて欲しい。もちろんたんなるきれいごとではなく。人間がいかに悩み、問題を抱えながら、それに立ち向かうか、そこにいかに人間同士が理解し合い、力をあわせるか。このような作品は人に感動を与え、人の心を豊かにし、勇気づけるでしょう。
 そんなの古いよ、21世紀の芸術はもっと時代の空気を描き出し、斬新な感覚で表現法を追求するものでなければならない、という意見が多いかも知れません。
 それも大事でしょうが、人間不在の作品だけは作って欲しくないのです。  だれにでも理解できる、人間の素晴らしさが実感できるような舞台づくり、これが21世紀に求められるバレエ、ダンスではないでしょうか。
 それには、舞踊家も批評家も、芸術家である前にまず、社会における自分の役割をきちんと理解した「人間」、あるいは「市民」であって欲しいと思います。




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