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山田マミのやっぱり、パリが好き

山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

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*写真が満載のコンテンンポラリーダンスの本

本屋のダンスコーナーに行ったら、カラー写真をふんだんに使ったダンスの本を見つけました。これは、パリで活躍するダンスの批評家のフィリップ・ノワゼット氏が出版したコンテンポラリーダンスの本「Mode d’emploi Contemporary danse」。ダンスの本はいろいろあるけれど、フランスで発行されているものは、「読みもの」としての本が多く、辞書を引きながら頭の中でぐるぐる文章をこねくり回して理解しようとしているうちに、3行読んだら疲れて寝てしまうということの繰り返しばかりだったので、ダンスの本を読むことはあきらめていたのだけれど、 これだけ写真がたくさん載っていれば、斜め読みしてもだいたいのことはわかるし値段もお手頃。日本でも英語版をインターネットで購入できるそうで、talk about contemporary danceで検索すると出てきます。

写真は、パリのダンス界では一人者のローラン・フィリップ氏によるもので、動きが感じられる写真は何度見ても飽きません。

ダンスの解説は、項目別に1~2ページで簡潔にまとめてあるので、外国語の本挫折歴多数の私にとっても読みやすかったです。読まなくても、写真を見ているだけでワクワクしますね。

この写真、左側がアンジュラン・プレルジョカージュの「四季」で、右側がアラン・プラテルの作品。コンテンポラリーダンスの定義を語っています。

ここでは、クラシックバレエから派生したコンテンポラリーバレエを紹介しています。左側の写真はカロル・エルミタージュがロレーヌバレエ団に振付けた「RAVE」で、中央の写真はパリ・オペラ座でスキャンダル作品とも言われたジェローム・ベルの「ヴェロニク・ドワノー」。この作品は、感動的なロマンチックバレエ作品を支える群舞のつらさを語ったもので、バレエの実情がよくわかり、私は好きな作品でした。右側がこれまた話題になったマチュー・ボーンの「白鳥の湖」。王子が同性愛者だとしたら????

あら!勅使河原三郎さんではないですか!!こうして連続写真を見ると、彼のムーブメントが分析できますね。

最後の方では、30人の振付家の紹介もしています。
このページはローザス、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケールスマイケル

これは、ベルギーのシディ・ラルビ・シェルカウイ。

ニジンスキーから現代まで、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、アフリカ、日本を含めたアジア諸国のダンスや、現在のヨーロッパのコンテンポラリーダンスが形成されるまでの流れも解説しているので、今までの疑問が解決しました。というのは、雨後のタケノコのように色々なスタイルが出て来て、最近のコンテンポラリーダンスは何でもありの薄っぺらかと思っていたのですが、この本を読むとそこに至る流れや振付家の思想がわかるので、「なるほど、でたらめではないのだ」と感心すらしてしまいました。実際にこれを読んだ後に見たダンステアトルも、今までだったらダンスの振付けがない!とむっとしていたのに、なぜかすぅっと作品に入れて楽しめたのは、この本のおかげかもしれません。ヨーロッパのダンスを知るための必読本ですね。

7月1日はメトロ代金値上がりの日

今日からRATPパリのメトロとバスの料金が値上がりました。毎年7月1日から容赦なく値上がりします。6月中に7月分の月額定期を買っても値上がり後の料金になります。ただし、回数券は日時に指定がないので買いだめができますし、数年先まで使えますので、旅行中に余った回数券は捨てずに保管して、次回パリに来た時に使いましょう。磁気が通っているのでマグネットの近くで保管しないようにしてくださいね。使っていないのに改札を通れない場合は、「ボンジュール」と窓口の無愛想な係員ににっこり笑って説明して交換してもらいましょう。もともと磁気が上手く張り付いていない切符もあります。まあ、フランスですから・・・。それから、フランスでは会話の始めは挨拶からです。ボンジュールの一言があるかないかで相手の態度が大きく変わりますので気をつけて。

7月1日 モンペリエ・ダンス!南仏だあ!

パリから3時間半TGVに乗っただけなのに、こんなに気候が違うものでしょうか?電車を降りたとたんに肌に感じる南の風。からっとした暑さが何ともうれしい!でも炎天下は歩きたくない!!!まあ、帽子なしで歩いたら、30分でくらくらするでしょうね。でも、パリの長い冬を乗り切った後は、やっぱり太陽の光りを浴びたいで~す!

駅から数分歩くとたどり着くモンペリエの中心街のコメディ広場。

そして、モンペリエ・ダンスの本拠地にやって参りました。

今年の夏のモンペリエ・ダンスフェスティバルは、6月22日から7月7日まで。 モンペリエ・ダンスの本拠地アゴラは10年をかけて改装され、屋外劇場の他に室内劇場、大スタジオ、小スタジオなどがあり、レジデンス出来る設備も整いました。そして、マチルド・モニエ率いるCCNモンペリエもこの敷地内にあります。モンペリエ・ダンスでは、夏のフェスティバル以外にも年間を通してダンスの公演やワークショップが行なわれているので、モンペリエを訪れる機会がありましたら、是非立ち寄ってみてください。

実は、モンペリエには別の楽しみもあります。海です!駅の裏から海岸行きのバスが出ているので、お手軽に海にいけるのです!地中海ですよ~!そこで見つけたおいしいレストラン。

ぎっしり詰まったイカのファルシーに舌鼓。

前菜のサラダとメインのイカのファルシーとデザートの3皿。これで12ユーロは安い!

7月8日 オペラ座ガルニエ「天井桟敷の人々」公演

パリ・オペラ座ガルニエ宮で行なわれたジョゼ・マルティネス振付けの「天井桟敷の人々」を観に行きました。ガルニエ宮の中に入ると、そこは既に物語の舞台。このあと道化さんは観客と写真を撮ったりいたずらしたりと、開演前から大活躍。ガルニエ宮に入ったとたん、そこは古き良き時代のパリなのです。

この作品は、休憩中にも大階段でオテロの踊りがあるので、第一部が終わったら早めにホールに出て、場所を確保しましょう。

7月9日 パリ市庁舎前のお庭

環境問題が騒がれている今日この頃。パリの市庁舎前にはジャルダン・エフェメールが出現。今年は草木ではなく、街路樹の成長過程を展示していました。

こんな芸術的な木にもなるわけですね。日本庭園みたいですけど。

この小さな木が、写真のような大木になるには何年かかるんでしょうかしら?

あ!一角に長蛇の列を発見。いったい何が???

ふ~ここまで進むのに30分。

あともう一息、それが長い!係のおっさんは一生懸命説明しているのか、ナンパしているのか?話し好きのフランス人だな、参ったな。

おお!とうとう来ました私の順番が。

おじさんが盛んに言っていた通り、指定の場所から見ると、中央の芝生の小山がまんまる地球に見えるのです!

ちょっと横にずれたらまんまるではなくなり、

地上に降りたらただの緑の芝生。しかも横に長く広がっている。
ちょっと感動。

7月14日 今年もやっぱりアビニヨン演劇祭!

今年もやっぱりアビニヨン演劇祭!
これがアビニヨン中央駅。城壁のすぐ前にあります。アビニヨンTGVという駅は、これではありません。中央駅から数キロ離れたところにあり、フランス版新幹線TGVだけが止まります。そこからアビニヨンの街まではバスかタクシーを利用しないと来られません。パリからアビニヨンTGV駅までだと本数も多く、2時間半で到着。バスを利用して街まで来るのに都合3時間を見れば良いでしょう。パリから直通でアビニヨン中央駅まで来ようとすると、TGVの本数が少ない上に3時間半かかります。時間を節約するか、乗り換えの手間を省くか?私はアビニヨンTGV駅を利用することが多いです。バスもすぐに来るし、乗ってしまえば15分、1ユーロちょっとなのでまあいいかなっと。

でも、中央駅から出ると目前にアビニヨン演劇祭が待っている!という感じも捨てがたいのだ。

これがアビニヨンの貸し自転車、去年より充実したのかな?

観光電車も走ってま~す。

これが演劇祭の事務所のある場所です。オフの事務所は別のところなので間違えないように。

中に入ると、広い敷地に驚きます。

中庭では日替わりで振付家や演出家との対談も企画されているので、朝早めに行ってスケジュールを確認しましょう。

駅から法王庁へ向かう道は歩行者天国となっています。この日の気温は28度。昨年は酷暑でしたが、今年は冷夏で結構過ごしやすいですね。

恒例のポスター合戦

道路に落ちても誰も拾わない、可哀想なポスター達。

アビニヨン演劇祭には、演劇祭の正式演目と、OFF公演がありまして、今年のオフ参加作品は1100公演を超え、プログラム(無料)はこんなに厚いんです。持って歩くのも大変だし、この中から探し出すのも大変。そうすると、街中に貼られたポスターや呼び込みを見て決めるとか、誰かに聞く、うわさ話に耳を傾けるのが一番手っ取り早いです。

これがプログラムの中身。写真入りで紹介されているのでわかりやすいです。インデックスも充実している良くできたプログラム。無料なのに優れもの。ありがたや~。

最近のダンスは、ダンステアトル的なものが多くてちょっと欲求不満。踊りらしい踊りが見たいなあと思っていたら、路上パフォーマンスでバリバリ踊っているグループを発見。

これだけ踊ってくれると、ダンスを知らない人でも楽しく見れますね。アビニヨンのお客は正直ですからつまらないとすぐに席を立ってしまいますが、このパフォーマンスでは、人がどんどん集まって来ていました。それにしても固い石の上で踊るのは大変だろうなあ、腰にくるだろうし、バレエシューズは一発でダメになるだろうし。本当にお疲れさまでした。

短い作品でしたが台詞をバックに踊っていたのが印象的。ひと味違うヒップホップ。

楽しく路上パフォーマンスを見た帰り道、お店のショーウインドウで見つけたダンサー達。

これは、フォーサイスの作品。
古い教会で行なわれたダンスというより動く展示作品。パフォーマンスより教会の建物に興味が引かれてしまった。

今年の目玉パフォーマンスは、朝4時半開演のローザス公演。アビニヨン市内に宿泊している人はよいけれど、遠くに泊まっている人は足の確保に頭をひねる。徒歩、自転車、相乗りタクシー。でも、こんな時間に本当に人が来るのだろうかという心配は全く無用。城壁が見えてくる頃から、ぞろぞろと歩く集団に出会い、法王庁の前に行ったら、この人だかり!

フェスティバル側も親切で、セルフの暖かい飲み物を用意してくれていました。ありがたい!夏だというのに冬の出で立ち。今年は7月に入って急に寒くなりまして、特に明け方は冷え込むので暖かい格好をしていくようにとの友人からのアドバイス。中では毛布の貸し出しもありました。

照明は自然の灯りだけという作品で、最初はほとんどダンサーが見えなかったのに、時間と共にダンサー達が見えてくるというのは面白いものです。これはカーテンコールを終えたところです。

そうして外に出てみると、

革ジャン来ている人も多くて、今年は寒いのです。今朝7時過ぎ。

商売商売!会場から出て来た客を狙って朝食販売するカフェ。抜け目ない。コーヒーとオレンジジュースとパン・オー・ショコラ(チョコレートパン)という簡単な食事。フランス人の朝食は、とても簡素。パンと飲み物だけ。でも、絶対に甘くなくちゃダメなのです。だからチョコレートパン。でなければ、パンにジャム。なんでも糖分は頭の働きを良くするので、目が覚めるのだとか。ふ~ん。

これは、ブノワ・バー振付けの「カナッペ」という作品。オフ参加です。とても楽しい作品の上に、アペリティフ付き!ウエイター役の人(多分この人が振付家?)が最初にアペリティフをお客に提供し、公演中にもおつまみを配るので、時々意識はおつまみに行ってしまう・・・というのは冗談だけれど、楽しい公演でした。
オフは思いがけない場所を公演会場とすることもあるので、面白いですね。これは広い敷地の一角を囲って作った青空劇場。雨が降ったら、中止か延期になるので予定は余裕を持って。

厚く覆われた雲。
空は広いですが、雲に押しつぶされそう。これが7月とは寂しい・・・。オーイ、夏はどこだ~?

山田マミ プロフィール

幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。

 
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