フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
1月1日 MEILLEURS VOEUX
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
1月とは思えない暖かい年末年始となり、本日クレルモン・フェランは15度です。しかも快晴!しかし昨夜の飲み過ぎで胃が重い。
アルコールを抜くべく、シュペーベスというこの地方では一番有名なスキー場に行きました。標高は1500メートルくらいしかないので、暖冬の今年はちょっと惨め。ご覧ください、スキー場は土で茶色になっています。
しかも、今日の山の天候は霧雨。おかげで雪はぐちゃぐちゃ。下界は快晴なのになあ。私はアルペンではなく、クロスカントリー。マラソンみたいで嫌がる人もいるのですが、森林浴ができるので気持ち良いですよ。とはいうものの、土がむき出るピストを滑るのは、あまり気持ちのよいものではなかったですね。
すでに春スキーの気分だったけれど、今年の初滑りはほとんど人のいない森の中をのんびりとマイペースでスキーができたので、満足の一日としておこう。
1月1日 値上げの日
今日から多くのものが値上がりしました。まず消費税。フランスではほとんどのものが19.6%(!高い!!)なのですが、一部5.5%のものがあります。レストランでの食事とか、スーパーで売っているお惣菜とか、生活の基本に当たるものは5.5%だったのが、今日からその一部が7%になりました。サイダーやジュースも7%です。ややこしいのが、冷凍ハンバーグは5.5%で、冷凍でないものは7%、材質によって5.5%だったり7%だったりと大変にややこしいです。
会社の倒産やリストラで失業者は増えるし、買い控えで経済が停滞する中での消費税値上げはきつい。しかも生活必需品の一部が値上がるのですから。地下鉄料金も国鉄も消費税分がしっかり値上がりしましたし、ガス料金も消費税とは別に値上がりしました。暖房が必要な時期の値上げはきつい。これに便乗値上げもあるだろうから、厳しい年になりそうです。そして、上がらないのは給料だけ。ますますお寒い懐具合。
ゴミを捨てても罰金です。1.2ユーロで買った缶ジュースを道路に投げ捨てると、35ユーロの罰金ですよというパリ市の広告。
運転する方も要注意。昨年駐車違反料金が25年ぶりに11ユーロから17ユーロに値上げされましたが、今年からは、運転しながらの携帯電話使用は35ユーロから135ユーロになり3点減点、速度違反レーダーの察知装置を車につけると1500ユーロの罰金、GPS以外の画面が運転者の目に入るところに設置すると、これも135ユーロから1500ユーロ+3点減点、等々。スピード違反の取り締まりだって、事故を防ぐためと言うのは建前で、罰金を取って金を稼ぐのが目的ではないかと思われるものが出てきました。今まではレーダーの手前に「レーダー注意」の表示があったのですが、この表示も最近一部が取り払われてしまいましたし 、最新のものは信号の横の小さな黒い箱。私はスピーカーかと思ってましたもの。それから、POLICEと書いていない普通の車にレーダーを取り付けているのがあって、私たちは路上駐車していた地味なシルバーの車の後部に取り付けられたレーダーに見事にやられました。年始早々いやな話だこと。
1月9日 クリスマスツリーの悲惨な運命
いつもこの時期に悲しくなるのが、道路に捨てられたクリスマスツリーを見ること。本物の木は枯れて葉が落ちるので、1月1日が過ぎてしばらくしたらさっさと捨てられてしまうのです。祭りが過ぎればただのゴミ。なんか、寂しいけど、仕方ないのかなあ。最近はそれでも環境問題を考慮して、道路に出しておくと専用車がクリスマスツリーを回収して、細かいチップにして森に返すのだか、処理するのだそうです。普通ゴミに出してはいけないそうです。
1月10日 暖冬
1月12日 フランス式道路清掃法
パリでは道路の清掃は水でジャーッとやります。ポンプ車からホースを出して、水圧で汚れを流すという方式です。道路には色々なものが落ちていますからねぇ。ものすごい勢いで水が出るので、これの跳ね返りを食らったら洋服が汚れますので、見かけたら道路の反対側に非難しましょう。ポンプ車は掃除をする人の歩調に合わせますのでのろのろ運転。当然後ろの車は詰まるわけですね。日本のように各個人がゴミを落とさないようにすれば、水ももったいないしこんな大掛かりな清掃法をしなくてすむと思うのですが、道路が汚れるおかげ、つまりみんながどんどんゴミを道路に捨てるおかげで清掃の仕事があるのだという人もいて、この辺りのフランス人お考え方がよくわからない・・・。
1月26日 バスティーユ劇場
バスティーユ劇場内のカフェも充実しましたし、隣は若者で賑わうカフェ。なんでこんなにたくさんの人が道路に立っているんかって?タバコです、タバコ。フランスでは屋根のある公共の場所での喫煙は禁止されているので、煙草を吸いたい人は雨が降ろうが雪が降ろうが槍が降ろうが外で一服しなくてはならないのです。この法律のおかげで、タバコの匂いが嫌いな人もカフェでゆっくりすることができるようになりましたが、外でコーヒーを飲みたい時にはタバコの煙に巻かれることになります。
1月27日 朝のマルシェ
1月27日 舞台衣装博物館
今日はパリから2時間半電車に乗って、ムーラン市にある舞台衣装博物館(CENTRE NATIONAL DU COSTUME DE SCENE-頭文字を取ってCNCS)を見学です。
もと兵舎だった建物を改造して2006年にオープンしました。明日1月28日から5月20日まで舞台装置の展示が行われています。年2回の特別展は、今までは衣装が中心だったのですが、今回初めて舞台装置に関する展示となりました。舞台芸術と言えばコメディ・フランセーズとパリ・オペラ座、そしてオデオン座から歴史が始まっていると言えるので、入り口にはこの3つの劇場の解説がありました。
展示の内容は撮影禁止なので掲載できませんが、特に演劇の舞台装置の仕組みや歴史を、模型とビデオで展示しています。バレエではジゼルやシルフィードで妖精が空中を舞うシーンの仕組みが解説され、なんと19世紀後半に既に演じられていたそうです。ゴムで吊るしてダンサーが空中を移動するのですが、裏話としてかなりの事故があったようです。また、ホリゾントに浮かび上がる映像は、映写機ではなく鏡の反射を利用したとか、お金のかかる装置をいかに工夫して使い回すかなど、とても興味深い展示でした。
これは雷の音を出す装置。
これも中に石が入っていて、ガラゴロ音がします。
この他にも雨や風の音を出す装置もあり、実際に触って音を出すことができます。
ちょっと楽屋を覗き見したら、こんな感じでした。
これが売店で、
クリスチャン・ラクロワのデザインによるカフェ。食事もできます。
博物館の建物から外を見るの図。
遠くに見える二つの尖塔は教会でしょう。小さな街ですが、ココ・シャネルが歌を歌ったカフェとか、遺言によりオーナーの死後100年閉鎖されていたブルジョワのお城が見学できるようになったとか、金箔付きのチョコレートで有名なお店などがあって、日帰りで見学するにはお手頃な街です。
この舞台衣装博物館にはパリ・オペラ座から5000点、コメディ・フランセーズから1500点、国立図書館から2000点、その他個人(レジーヌ・ショピノや故オディール・デュボックなど)からの寄付などを含めて約9000点の衣装が保管されています。19世紀に使われた衣装もあり、温度湿度が厳密に調整された保管庫で、専門家が念入りに手入れをしています。私が訪れた日には、日仏ハーフの女学生が研修生としてお手伝いしていました。衣装を扱うのもれっきとした職業なのですね。
現在は年2回の特別展を行い、この舞台装置展は5月20日まで、内装転換のために少し閉館して、6月16日から12月31日までは2011年秋にパリ・オペラ座で初演されたジャン=ギヨーム・バールの「ラ・ソース」の衣裳展が開催されます。この衣装はクリスチャン・ラクロワによるもので、とてもきれいで好評でした。実際にイザベル・シアラヴォラが着た衣装が展示されるのではないかと期待していますので、ファンは必見!
こうして見てみると、他のデザイナーに比べてラクロワってフランスの舞台衣装に深く関わっているのですね。ラクロワの衣装を見て、ラクロワがデザインしたカフェで休憩して、ラクロワづくしの展示になりそう。2013年からは常設展としてヌレエフの回顧展を開催する予定だそうです。
ちょっと難を言えば、この舞台装置展はすべてフランス語の表示ということ。でもラクロワ展とヌレエフ展は英語表示も予定しているそうです。
行き方:パリ・ベルシー国鉄駅からクレルモン・フェラン方面の電車で2時間半。料金は正規料金で片道47ユーロですが、往復割引があるのと、早めに買えば(乗車日の3ヶ月前から売り出されます)変更返金不可能の切符が片道15ユーロです。ただし座席限定なのでうかうかしているとあっという間に値段がつり上がります。SNCFの料金体系は複雑なのです。
MOULINS駅から3番のバスに乗ればCNCS正面につきますし、徒歩では15~20分。アリエ川(L’ALLIER)に向かい、REGEMORTS橋を渡ってすぐ。川に出れば建物が見えますのですぐわかると思います。
入場料は大人5ユーロ、12歳から25歳未満は2.5ユーロ、12歳未満と障害者及び付き添いの方は無料。
http://www.cncs.fr/
山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。