フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
3月1日 冬のアビニヨンのダンスフェスティバル
アビニヨンのフェスティバルは夏だけかと思ったら大間違い。冬にもあるのです。これは、CDC Hivernales/イヴェルナル主催のダンスフェスティバル。今年で34回目を迎えました。会期は2月25日から3月3日までの1週間。
このところ2月とは思えないほど暖かく、今日は18度!
確かに人は出ているけれど、見てください、このすっきりとしたガードレール。
ポスターが一枚もない!夏とは大違い。
そして今更ながら気がついた、アビニヨンの歩道は狭いのだ。
窓の鉄柵がせり出しているから、まともに歩道を歩けないから車道を歩いていると、後ろから車が来る。結構車が走っているので、歩きにくい。まあ、夏の人混みよりはましかな?
人がいないといろんなものが見えてくる。
これがアビニヨン市の市庁舎
アビニヨン中央駅から法王庁へ向かい、法王庁の手前のHORLOGE広場にあります。この前で大道芸が繰り広げられているので、こんなにすっきりと建物を見たのは初めて。でかいですね。
市庁舎の前にはいつも通りのカフェレストランが、広場にテーブルを出していますが、夏よりくつろいでいる感じ。
そして法王庁前へ
法王庁前から裏手へ回る小道。おそらく昔はこの中にマリア像があったのだと思うけれど、冬は何もなくて、夏はもちろん大道芸の人の舞台となります。
そこからさらに進んで、昔のイヴェルナルのスタジオへ。
看板にはまだCDCと元のディレクターのアメリー・グランの文字が残っていますが、ここは既にCDCのものではなくて、ジャズなどのコンサートが行われているようです。
ここから階段を上って法王庁の中庭へ。街が一望できるのですが、良く見たらサボテンが岩に張り付くようにして群生していました。
ああ、ここは南なのだなあと実感。
この法王庁の横と言うか裏というか、高台にある公園には洞窟のような奇岩があります。
上まで上ると、あ~気持ちがいいっ!
こんな奇岩があり、
岩の間から木が生えている。自然石なのか、人工なのか???
ありゃ、裏側に水道管が。
と言う事は、なんだ、人工石なのか・・・。でも良くできているのですよ。
蝶もひなたぼっこ。
近寄っても動かず、のんびりと背筋を伸ばしているみたい。蝶もストレッチするの?
これが奇岩洞窟の正面
この公園内にある葡萄畑。まだ芽吹いてはいないけれど、ちゃんと手入れされていますね。
そして、アビニヨン橋
あ、川の向こうに城壁が見える。別のお城かな。今度行ってみよう。
あら、裏側に降りる別の通路を発見!早速行ってみよう。Tour de chienと書いてある。そこに見えるは「お犬様の塔」か。
今降りてきたところを振り返ると
アビニヨンは古い街です。あちこちの建物の壁にマリア様が。
ちょうど引っ越しをしている人たちに会いました。
昔の建物は階段や入り口が狭くて家具が通らないし、もちろんエレベーターはないのでこうして長—いはしごをかけて引っ越しをするのです。
噂によると、この引っ越しシステムはかなり高いらしいけれど、それ以外に方法はないので仕方がないと言う事みたいです。
本当に古い建物が多くて、情緒はあるのですが、石が落ちてきそうで怖い。
騙し絵もあったりして
戦争で壊されたのか、自然に壊れたのか。教会の鐘がむき出しになっている。そして、その鐘は現役で、ちゃんと鳴っているのです。
そして、アビニヨン中央駅付近に戻ってきました。あら、自転車小僧達だ。
私はいつも歩いていますが、こうした小型の乗り合いバスBALADINEバラディーヌも走っています。環境を考えて公害のでない電気自動車。でも、電気を作るには原発が必要?
もちろん夏のフェスティバルの間も運行しています。道順は決まっているのですが、手を挙げればどこからでも乗れて、どこでも降りられるそうです。金額は1行程が50サンチーム、1ユーロの半額です。安い!疲れた時にはどうぞ。
ここは、Teinturiers通り。
石畳の歩行者専用道路です。夏のフェスティバルの間は、ここを歩くのが困難。と言うのは、カフェのテーブルが出るわ、道で物を売っているわ、人はたくさんいるわで前に進む事が困難なので、急ぐときはこの道を避ける事をお勧めします。
冬は人がいなくて、こんなに素敵な通りだったと気がついた。
シャペル・サン・クロワ。歴史的建造物。今まで気がつかなかった・・・。
この通りには数台の水車があります。
苔もはり付いて、年季の入った水車。
これは今は動いていない水車。骨組みだけが残っています。
暖かくなるとやっぱり出てくる路上の売人。夏はわんさか出ます。
おや、台にしているのは15世紀の石ではないか!!!良く見れば石がごろごろ転がっている。これって、歴史的に重要なものじゃないの?
1493と言う数字が見えますね。
これって結構怖いです。しかも反対側を見たら、足が出てる。
この人、石に閉じ込められちゃってるのですね。お尻だけ見えるのは、どうしてでしょうか?拷問かと思ったのですが、口元は笑ってますものね。Mですかね?
荷を引く馬。当時を物語っていますね。
これも怖い
芸が細かい
夏は人混みと、物売りが石を占領しているので、全く気がつきませんでしたね。アビニヨンの歴史散策は面白い!
唯一ガードレールに張り付いているポスター。もちろん、イヴェルナルの宣伝です。
今回いくつかの公演が行われたジラ・ソル劇場
ここは夏にはいくつもの公演会場ができて、ごった返す場所。
冬には何もない。ちょっと寂しいな。
犬の塔の近くにあるコンセルバトワール。
ここでフェスティバルの間、ワークショップが開かれていました。
ここはランベール・コレクション。現代美術館で、ここでも公演が行われました。
フェスティバルの期間中、様々なワークショップが開かれました。最終日にはその成果を披露すべく、参加者による公開パフォーマンスが区役所で開かれ、これはタンゴのクラス。もちろん一般の人も参加できます。
これは、コンタクトインプロビゼーションの発表。見ている人が1からの数字を言って、誰かと声が重なったらまた1からやり直し。100まで数えきったら終わりだそう。でも私が見ていた30分の間、50近くまでしか行かなかったので、最後はどうなったのでしょうか?それと、何かの数字を言った人がチューリップの花をもらえるみたいでしたが、規則がいまいちわかりませんでした。たぶん40と言う数字を言った人だと思う。こちらは一般人の飛び入り参加はできませんでした。
イヴェルナルでは若手振付家を育てるコンクールも企画しました。題して、オクリット/Oclites。2日間で7カンパニーが参加。10分以内の作品を見せて、審査員賞と観客が投票する観客賞を競いました。
審査員賞に輝いたカンパニーパルクのダンサーにお話を伺いました。
今回上演したのが「STÜCK」、9分の抜粋でしたがすごく面白い作品で気に入りました。3人の全く違うタイプの男性が、クールというかひょうひょうと踊り、関わり、時にぼーっとしながら作品が進みます。ぜひ全編を見たい!9月のリヨンのビエンナーレで見られるかな?あ、その後は10月に別の作品だけれどパリのエトワール・デュ・ノールでありますね。こちらを期待しますか。
詳しくはこちら http://www.compagnieparc.com
これが今年のイヴェルナルのプログラム。公演会場が12カ所、ワークショップ会場が7カ所、チケット販売所などが明記してあるので、アビニヨン初心者にもわかりやすい。夏とはまた違ったアビニヨン。楽しんできました!
あ、もうすぐ大統領選挙の一次投票だ。宿のポストに投げ込まれていた社会党のフランソワ・オランドのチラシ。アビニヨンはフランス人のお金持ちが多いから、右派なんですよね。極右も多いらしい。
3月5日 今年はやっぱり寒い冬だった
3月6日 福島の特集がテレビで放映された
もうすぐ東北大震災から1年が経とうとしています。この震災は自然の脅威と、人災という放射能の怖さを世界中に示しました。毎日のように1年後の日本の様子がメディアで流れ、テレビでも特集がありました。おそらく日本で流された報道を基にフランスでコメントを加えて作り直したものだと思います。
誰もいない道路を牛が1頭歩いています。
管元首相のコメントもありました。
大国が原発なしで経済成長ができるのかどうかというのが関心の的のようですが、事故以来、日本人の一人一人が節電に協力して、現在は30%の節電が実現し、これは1970年代の電気消費量と同じだと報道されていました。そして、各家庭や企業が自発的に節電に協力しているという事がフランス人には驚異的なようです。
また、自主的に引っ越しをした人には援助金が出ないというレポートに、キャスターは目を丸くして驚き、立場を忘れて声も出ない様子。フランス政府は震災直後にエアーフランス2機をチャーターし、フランス国の経費負担で希望者を全員非難させたのに比べると、日本政府の対応はフランス人の常識では考えられないもののようです。
フランス側の特集が良かったのは、日本の映像を垂れ流しにするのではなく、そこにフランス側のコメントや独自の取材で集めた資料も交えて報道しているところでした。
ニッポン、がんばれ!
3月6日 騙し絵展
少し前のA NOUS PARISを見ていたら、こんな写真が。
裸の身体に洋服の絵を描いて、いかにもジャケットを着ているみたい。その横に写っている家具も、Tシャツもキャベツもみーんな騙し絵。騙されたい方は、パリの装飾博物館へどうぞ。この展示は2013年11月15日までやっているとホームページには書いてあるけれど、本当かな?
MUSEE DES ARTS DECORATIFS/ 107 RUE DE RIVOLI 75001 PARIS
3月8日 パリ・オペラ座
パリ・オペラ座のダンサー、ジョシュア・オファルトが昨日のラ・バヤデール公演の後にエトワールに任命されました!
詳しくはこちら
山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。