号外!アヴィニヨン・フェスティバル 山田マミの独断・偏見情報!!!
6月、7月分をすっ飛ばしてアヴィニヨン・フェスティバルの速報です。インもオフも28日まで。まだアヴィニヨンにいる方、参考にしてください。
★★★★★
*クリスチャン・リゾー「SKINAN GÖZE ÇÖP BATAR」
リゾーの美的センスが素晴らしい。構成もダンスも良くて、今年のベスト。21日まで。あ、終わっちゃいましたね・・・。でもどこかで機会があったら是非!
*ジョセフ・ナジ「ATEM」
ナジ独特世界に引きずり込まれた。小さな劇場での上演=客席数が少ない=満席。見れたことは超ラッキー。27日までSALLES DES FÊTES LA PASTOURELLE(アヴィニヨン郊外なので送迎バスあり)
★★★★
*ジェローム・ベル「DISABLED THEATER」
絶賛と酷評のまっぷたつに分かれた話題作。知的障害者と健常者の違いって何だろうと考えてしまった。彼は毎回問題を提起してくれる。15日まで
*オリヴィア・ローゼンタル「 LE VERTIGE 」
ヒッチコックの「めまい」に引っ掛けた構成が上手い。サーカスのクロエ・モリアとの見事なコラボ。SUJETS À VIF 15日まで
ウイリアム・ケントリッジ「REFUSE THE HOUR」
音楽と演劇と映像とダンスが入り交じるマルチ作品。いろんなものが出てきて楽しかった。演劇通には古い手法と見えたらしいけれど、私は楽しんだかな。13日まで
★★★
*ミグエル・モレイラとロムー・ルナ「THE OLD KING」
ここまでぼろぼろに潰されても生きていく強さは失わないことに人は感動するのかも。あまり好きではなかったけれど、会場はブラボーの渦。ロムー・ルナの身体能力には目を見張った。26日まで CLOÎTRE DES CÉLESTINS 22時開演
*ナセラ・ベラザ「LE TRAIT」
ミニマルダンスなのでつまらないと言う人もいるけれど、異様なほどに空間の広さを感じるのが不思議。14日まで
*ミチア・フェドテンコ「SONATA HAMLET」/SUJETS À VIF
二つの机を振り回し、よじ上り、台詞を吐き、踊る熱演。ミュージシャンとのコラボもよくできた秀作。SUJETS À VIF 15日まで
レジーヌ・ショピノ「VERY WETR !」
ショピノは踊らずがっかりするも、バカンス族が押し寄せる土地の現代の現住民族を紹介したのには考えさせられた。16日まで
*グレゴリー・マコマ「IN CREATION」
ちょっとおじさんのグレゴリー・マコマと坊主頭の若いダダ・マシロのおどけた演出がかわいい。それにしてもダダ・マシロはよく踊る。 SUJETS À VIF 26日まで
★★★★★
*ダニエル・ドベル「LA FILLE QUI DANSE」
好き嫌いはあるかもしれないけれど、足の指まで丁寧に振付けされた繊細な作品。秀作、の一言に尽きる。22日まで LA PARENTHÈSE
★★★★
*ダヴィッド・ドゥルオー「PETROLE」「FOSSILS」
35分と20分の2つのデュエット作品。「PETROLE」が好きだったなあ。ダンサー二人が素晴らしい!28日まで GRENIER A SEL 18時開演(要予約)
*マルヴェン・ゲルブとデヴィット・ブランスタッテー「NOTE BOOK」
フランス人とドイツ人のカップルが日本と韓国に住んで、その印象を連なった作品。ちょっと日本的でやっぱりヨーッロッパ的。日本人だからこの作品が良かったのかと思ったら、フランス人も同じことを言っていた。変にアジア引いきにならない所が良いのかも。21日まで HIVERNALES CDC
*パトリス・ビゲル「AU BORD DE LA ROUTE」
セルフポートレイトを交えたダンステアトル。とってもコンテンポラリーなダンサー達のシンプルなムーブメントの繰り返しが語りと映像を引き立てた。28日まで FABRIK’THEATRE 22時半開演
この劇場は城壁の外。歩いて数分だけれど、こんな所に劇場があるのかな?とちょっと不安になるけど、木に囲まれた庭はビストロ。噂によるとジャーナリスト達が食事や一杯引っ掛けに来るらしい。
*ペール・フォーラ「STRIPTEASE」
いい加減なようできっちり構成された作品。最後に手の内が明かされて大いに納得。21日まで HIVERNALES CDC
★★★
*フレデリック・ウンガとジェロームフェロン/CIE ÉTANTDONNÉ 「TU」
お気に入りのカンパニー。確かこの作品は以前に見たはずだけれど、ダンサーを減らしてタイトルを変えて再構築したらしい。好きな作品だったけれど、昔の構成のほうが好きだったので今回は3つ★。19日まで CONDITION DES SOIES
*カミーユ・オラニエ「L’ANGLE MORT」
シンプルなダンサーの、シンプルなムーブメント。このシンプルさが新鮮。12日まで CONDITION DES SOIES
*デルフィーヌ・ドルチェ「PROJE D.I.」
照明とコンピューターで加工した実況ムーブメントがよくできている。25日までの 奇数日 THÉÂTRE DE L’OULLE 12時半開演
*マニュエル・シャバニ「POINT DE VUE」
携帯電話と小型カメラを駆使した作品。携帯電話でここまでできるか?!26日までの偶数日 THÉÂTRE DE L’OULLE 12時半開演
*タチアナ・ジュリアン「DOUVE, PRÉMIERE FIGURE」
感情がこもっていて熱い作品。朝10時にはちょっと重かったけれど、タチアナ・ジュリアンはダンスが本当にうまい。12日まで CONDITION DES SOIES
*ジュリー・ニオッシュ「HÉROÏNES」
注目されているダンサー。好きだけれど、前の作品のほうが良かったな。15日までLA PARENTHÈSE
*ティエリー・バエ「JE CHERCHAI DANS MES POCHES」
前半が可笑しすぎるので後半少しだれた気がするが、まあ楽しく過ごせるダンステアトル。21日まで HIVERNALES CDC
*ハーマン・ディフュイ「ALL OF ME」
青春まっただ中の女の子ってこんな感じかな?開けっぴろげで悩ましくって、繊細で図太くて。そんな彼女が微笑ましい。22日まで LA PARENTHÈSE
*コレクティフ 2 TEMPS 3 MOUVEMENTS「ET DES POUSSIÈRES」
さすがサーカス出身者。怖いもの知らずのムーブメントにちょっとびっくり。21日まで HIVERNALES CDC
*カリーヌ・ポンティエ「LAMALI LOKTA」
バリバリのフレンチコンテンポラリーダンス。上手いダンサー達を見ているだけで満足してしまう。21日まで HIVERNALES CDC
*クレモンス・パヴァゴー「ODETTA CHANTE」
すごく新しいものがあるわけではないけれど、なんか好きだった。ダンサー達の間に無言の会話があったのと、きっちり踊ってくれたからかな。28日まで LAURENCE THÉÂTRE 15時40分開演(この劇場には大小の2つの舞台があるので、間違えないように)
*コレット・プリウ「AU-DELÀ …DE」
何年も人質に取られたイングリッド・ベタンクールの手記を基にした作品。心理描写は的確だけれど見ていてつらい。26日までTHÉÂTRE DE L’OULLE 11時開演
*セリーヌ・シュナイダー「REGARDE-MOI !」
若い女性の心境を描いたダンステアトル的作品。悪くはなかったけれど、城壁の外だとお客さんが来なくて、ちょっと残念。15日まで STUDIO THÉÂTRE AVIGNON TEMPS DANSE
*ジル・シャンベ「LIEBE LIBERTÉ」
若い女性4人のバリバリ踊るコンテンポラリーダンスを見たいのならこれ。28日まで THÉÂTRE GOLOVINE 16時半開演
これは演劇なので番外編。
「LE PAPALAGUI」
脚本エリック・シュールマン、演出アッサン・カッシー・コヨテ。演劇だけれど、写真が出てくるのでだいたいのことは想像がつくし、マリ人のハビブ・デンベレの訛りのあるフランス語がいい味を出している。ヤドカリも人間も身体を誇示する努力は惜しまない?28日まで CONDITION DES SOIES 14時25分開演
山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。