フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
ジョークはお手柔らかに
やっと暖かくなった。
4月中旬になってようやく花が咲き始めました。今年は長い冬だった・・・。東京ではあっという間に桜が散って、お花見は葉桜だったと聞いたけれど、こちらはまだまだ。寒さのおかげで花も長持ち。
家の桜はまだ3部咲き。この分だとサクランボが熟すのは6月になりそう。
こちらは春になると何でもかんでも一斉に花が咲いてしまって、季節感に欠けるのです。ヒヤシンスにチューリップに水仙。
暖かくなると雑草の季節でもあります。本当なのか冗談なのか知りませんが、パリ市は雑草の除草に羊を借り入れたとディレクトマタン紙に載ってました。後ほどぜひ効果のほどを聞いてみたいです。
自転車の季節にもなりますね。パリではパリ市の貸し自転車ヴェリブが人気で、フランス各地に広まっているそうですが、自転車人口が増えるに従って事故も多発。そのために自転車の規制も厳しくなりました。
ストラスブール市では、飲酒走行や信号無視は罰金90ユーロ、携帯をかけながらの走行、スピード違反、二人乗りは22ユーロの罰金。しかも罰金を45日以上滞納すると90ユーロ→375ユーロ、22ユーロ→75ユーロになるというから驚き。気をつけましょう。
また、カンヌの目抜き通りでは、制限スピードが10キロ!これじゃジョギングと同じスピードじゃん?
あ~あ、かわいそうな自転車。
タイヤが盗まれちゃって枠だけが残ってる。せっかく頑丈なチェーンをかけたのに、これじゃ意味もない。でもこんなに人通りのおおいところでどうやって盗んだんだろう。プロの仕業かな。
暖かくなるとおしゃれもしやすくなりますね。メトロで見かけた素敵な女性。歩きながら撮ったのでピンぼけです。
劇場に行こう!
今年のパリのダンスは4月がピーク。ほぼ毎日少なくとも3つのダンス公演が行われていて、どれを見に行こうかと財布の中身を見ながら頭を悩ますという日々が続きました。
○バスティーユ劇場
ロケット通りにあるバスティーユ劇場で上演されたカテリーナ・サーニャの作品ですばらしい踊りと啖呵を切ってフランス人をあっと言わせた小坂谷知夏さん。
フランス北部のルベーにあるカロリン・カールソン率いるCCNのダンサーですが、カテリーナに気に入られて踊ることになったのだそうです。この作品では、ヴッパタール舞踊団の高木賢二さんと良い味出して踊っていました。
おしゃれな店が建ち並ぶロケット通り。劇場の横のカフェにはこんな素敵な髪型のお兄さんが!
そして40番地にはアラン・デュカスのチョコレート屋さん!
ちょっと奥まったところにあるので、見逃してしまいそう。
○モンフォー劇場
何年かぶりで行ったモンフォー劇場(Théâtre Monfort)。
門をくぐって緩やかな坂道を下ると劇場の入り口。
公園の横にあるので驚くほど静か。パリにいることを忘れさせてくれます。
劇場内のカフェもレトロな雰囲気で素敵!
中庭も素敵なんですよ!
あ、ここの桜は八重桜だ。
○ラ・ヴィレット
ラ・ヴィレットと言えば科学都市というイメージが強いけれど、
広大な公園でくつろぐ家族でにぎわっています。メリーゴーランドもあるし、
子供は競馬の騎手になったつもりで走っていてかわいい!
運河も流れていて、パリとは思えない風景に憩うけど、人が多い・・・
4月18日からワークショップに参加した希望者が参加して、川俣さんの指導のもとに作り上げられ、8月下旬まで展示されると書いてありました。
大きなコンサート会場ゼニスもあるし、学校の体育館が2つは軽く入りそうな建物の中の地上階と地下に劇場があるし、サーカス小屋もあります。コンテンポラリーダンス公演も上演するけれど、私にはヒップホップやアクロバットサーカスのイメージが強いなあ。
今回は趣向を変えてサーカスを見に行きました。
開演時間になっても中に入れなくて、どうしちゃったのかな~
あっ、テントの屋根の上でのどたばた劇から始まるんだ!
ふと横を見ればゴミの山。
テントの外まで行き届いたハチャメチャ劇のサーカスに子供も大人も私も!大喜び。公演あとには出演者たちがジュースやワインを振る舞ってくれて、楽しいひとときを過ごしました。ありがとう!
○クレテイユのアート館/Maison des Arts Créteil
8番線の終点のひとつ前なのでちょっと遠いけれど、メトロ2ゾーン内で行けるのがいい。私のお気に入りの劇場のひとつで、毎年春に行われるEXITフェスティバルはダンスも演劇も展示も音楽も斬新なものばかりで、必ず行くようにしている。夕方のの6時から真夜中まで全館アートしてます。
中に入ったらいきなりこれですもの。熱いです。
その横では木々の間で鳥がさえずり、
自然と近代の合成写真あり、
水が波紋を起こし、
白い煙が吐き出される。
目の光る犬が奇妙な動きをし、
地下3階の大ホールに広がる白い羽
鏡よ鏡よ鏡さん、私はいったい誰?あら~こんな顔になっちゃった・・・
暗闇に光る不思議な物体。
黒光りする液体はコールタールらしいけれど、チョコレートだといいな。
上から見た白い羽を下から見れば
慌ただしく回る赤いライトに中国のお祭りを連想し、
ぐるぐる回る戦車のおもちゃのBGMはコーラン
オカルトチックな短編映画。暗い廊下を一人で歩いているときから既に不気味だったのだけれど、部屋に入ってソファーでリラックスできるかと思ったらこの映像ですもの。ふむ・・・
外では雄叫び大会。この筒に向かって叫ぶと、自分の声がこだまして返ってくるんです。
テクノロジー満載の展示で、説明を受けてもさっぱりわからなかったりするけれど、参加型なので遊び気分で体験するのが楽しい。
ダンスも芝居もコンサートもあって、充実してます。
http://www.maccreteil.com/fr/exit/event/195/exposition-exit-2013
○ラ・ブリケトリー/La Briqueterie
パリお隣94県のCDCは悲願の新屋舎をオープンして、17回目のビエンナーレを開催しました。
昔のライター工場を改装して、レジデンスのできる劇場に!フランス人得意の外観は昔の面影を残したままなので、目印は大きな煙突。内装はあくまでもシンプルで機能的に造られています。
中庭は、お隣のマンションが客席にもなるように壁のないオープンスペース。自宅から公演が見られるなんて良いなあ。
屋外パフォーマンスもできるスペースもあります。
数日前にピクニックをするので開演1時間前に食べ物持ってきてくださいとのメール。よく意味が理解できないままサンドイッチを作って行ったら、ホールの大テーブルで見知らぬ同士がそれぞれの料理を交換しながら和気あいあい。
ビエンナーレ側からはビエンナーレ用のラベルが貼られた特別ワインと飲み物のサービス。やってくれるじゃん!
さてさてこのビエンナーレ、3月から4月にかけての1ヶ月間、94県のあちこちの劇場を使ってダンス公演が行われた。先ほど紹介したクレテイユのアート館でもブリケトリーでも行われたけれど、今までに行ったことのない劇場に行ける楽しみもある。
これはイヴリー劇場。小さな劇場だったけれど、地域に密着している感じで、この劇場の向かいには小さな屋外劇場も。
きっとここに子供たちを集めてお話を聞かせたり、人形劇をするのだろうなあ。
劇場内の公演は撮影禁止なので、ビブリオテック・ミッテラン駅で行われたジル・ヴェリエップのパフォーマンスを紹介。帰路を急ぐ通勤客にどこまで訴えられるか?
山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。