フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
やられた~、ポワッソン・ダブリル!
パリいろいろ
ラジオフランスのストは未だに続き、最高記録を更新中。4月9日で21日目。その日は、一般のストもあって、なんだか街は静かなようなそうでないような。フランスのテレビ局TV5はISにハッカーされ、散々な日。4月8日はお釈迦様の誕生日。東京では雪が降ったとか。
お散歩編
水仙が咲き始めて、4月に入るとパリの庭師の仕事が目につくようになる。
遊歩道の池にはテープが張られて、係員が掃除をしている。まだ寒いのにご苦労様。
ここはバスティーユ広場から東のヴァンセンヌに向かうヴィアデュック・デ・ザールの上の遊歩道。昔の鉄道の高架を利用しているので、空に近い。見上げていたら、面白い建築を見つけた。
双子の塔
向かい合った3つの建物の上部の造りが芸術的。一つは外壁工事中ですね。この工事が期間は長いしお金もかかるから、家主はやりたくないけれど、壁面の石の落下の危険があるとみなされるとパリ市から警告されて、無視すると多額の罰金を払わなくてはならないから、ギリギリまで引き延ばしてあとは腹をくくって工事に同意。アパートを買う時には外壁工事がいつ行われたかを調べる必要があるのです。
道路に面した側の凝った装飾とは対照的なシンプルすぎる側面。元は別の建物があって、鉄道建設のためにバッサリ切られちゃったのか、建設時に線路側をきれいにしても仕方ないから何もしなかったのか。あまりにも対照的でこの美的感覚がよくわからない。
煉瓦造りの建物は、市の低所得者用のアパート。家賃が安い上に目の前が草木に覆われた遊歩道なんてうらやまし~
竹林もある
遊歩道のために建物が切られた?
公園の上を通る歩道橋は、ちょっと太鼓橋風
さて、2月に引き続き遊歩道の下を歩いてみた。
クリエーターのブティックが立ち並んでいるし、おしゃれなカフェのテラスでくつろぐのも気持ちがいい。
クリエーターならではのオリジナリティ溢れる内装を覗くだけでも面白い。この店は入り口のドアの上部が開いて、窓にもなる。木のドアなので重苦しい感じだし、入って良いのか悪いのか悩んでしまったけれど、田舎でこういうドアの民家を見かけたことがあるから、フランス人にはレトロ感覚なのかも。
お屋敷みたいに中央に階段がある店。お金かけて改造しているんだなあ。アールデコ調の螺旋階段のある店もあったなあ。
ここは生地屋さん。機織り機があるから、ここでオリジナルものを作ってくれるのかも。
こんな可愛いピアノが!欲しいけど・・・
でも、家賃が高いのか、儲からないのか、店の入れ替わりが激しいみたい。この前あった店がもうなくなっている。この店も閉店大売出しの広告。
その横には、路上生活者のテントが…。これもパリ。
パリ市は街路樹や花の育成もちゃんとしている。街路樹の下が枠で囲われていて、
ゴミ捨てちゃダメ、犬も入れちゃダメの表示。「パリ市内には10万本の街路樹があります」と。木が健康になるためには土が元気でないとダメなんだ。
ここのは綺麗にお花が植えてある。パリ市は街を綺麗にするためにがんばっているんだ。まあ、私たちの税金なんですけどね。
と感心しながら歩いていたけれど、気が付いたら鼻の中真っ黒!
公害も
満喫できる
パリ散歩
ああ、なんと美しいパリの夕焼け!でも、車の屋根越しというのがさみしい。これもパリの風物詩。
マリー・アントワネットが幽閉されていたコンシエルジュリーも、外壁工事が終わって綺麗になったけれど、一体いつまでこの白さを保てるのかしら。
何があったのか、警官が道路を封鎖している。多分何処かの国の政府高官が移動しているのだと思うけれど。
ちょっと渋滞すればクラクションを鳴らし、1センチでも前に出た方が勝ちと熾烈な戦いをする運転手。そんなところで頑張らなくても、と思うけど。
パリ市内の移動は、メトロと徒歩がいい。パリ市の貸し自転車ヴェリブも便利だけれど、自転車は車と同じ交通規則だから歩道を走ってはいけない。で、バスティーユ広場のような放射線状の交差点(「プラス」と言います)は車に混ざって横断するわけなので、なかなかスリリング。近年自転車を利用する人が多くなったし、運転手も気をつけているから、思っているほど危険ではないけれど、それでもやっぱり怖い。しかも道路は石畳だから、ガタガタと頭の芯まで響いてくる。
フランスにはこのプラスと呼ばれる放射線状の交差点が結構ある。凱旋門をぐるりと回るプラスが有名で、これはフランスが発祥らしい。時計と反対周りなので、左から来る車を気にしながら円周に入るわけで、バスティーユ広場は信号があるけれど、ないところもたくさんある。円周上にいる車が優先なので、左からわさわさ車が来る時は延々と待たなくてはいけなから好きではないのだけれど、このおかげで事故が減ったとか、渋滞が少なくなったという話をドイツで聞いたのには驚いた。ドイツ人が「フランスのおかげ」と言うということは、かなり効果的なのだ。
バスティーユまで来たから、少し足を伸ばしてシャーリー・エブド襲撃事件の現場近くまで行ってみた。ここは、犯人たちが事務所襲撃後、逃走した時に出くわした警官を射殺した現場。
亡くなった42歳の警官アーメド・メラベさんの写真が飾られている。パリの日本人向けフリーペーパーのOVNIによると、腹部を撃たれて苦しみながら「もう撃たないでくれ、シェフ」と嘆願したのに、無情にも近づいて脳天を打ち抜いたという。「シェフ」という言葉から、クアシ兄弟と同じパリ郊外の移民だとわかりながら(しかも同じ93県出身)、おそらくイスラム教徒だということにも気づいていたはずなのに、なんと残酷な。
本当はもっと大きな写真があったのだけれど、心無い人によって剥がされて、近くに捨てられていたというニュースを思い出して、さらに暗い気持ちになった。
フランスは犬を連れている人が多い。 特にこのような小さな犬は人ごみで踏んづけそうになって慌てる。ちょろちょろしていてじゃっかわしい。かといって大きな犬は怖い。
猫も多いけれど、猫はつないで散歩しないので目立たない。
タクシーがわかりやすくなった。
客が乗っているのだか乗っていないのだかわかりにくかったパリのタクシー。流しのタクシーは禁止で、タクシー乗り場からしか乗れないという規則があったからなのだけれど、最近は緑のランプが空車、赤が満車あるいは車庫に帰る車とランプが表示されるようになってわかりやすくなった。これは日本のタクシーを見習ったのだとか。
メトロ編
1号線のオテル・ド・ヴィル駅の構内では写真の展示がしてある。
古き良き時代、いやいや、60年代の熱かった時代だ。
これは68年の紛争時の写真。警官と衝突したデモ隊が、石畳の道路の石を剥がして投げつけた。その痕跡がはっきり見える。
ポンピドウセンターが出来たころの写真かな。
モード写真
帽子なのか、髪型なのか、インパクトあります。
これは市庁舎の中で行われているエクスポの宣伝でもあって、この階段を上れば市庁舎の無料のエクスポが見れますよ、と親切な案内。ちなみに展覧会の入り口は裏側にあります。
質の良い展覧会をしているし無料なので、長蛇の列になっていることもある。会場が小さいために入場制限をしているのと、入り口での荷物検査に時間がかかるので、余裕を持って行ってください。
パリのメトロの中で日本語を聞くとほっとする。これは1号線。
特に1号線は観光地を通っているのでスリがわんさか。最近中国語が追加されたところを見ると、中国人観光客も狙われているのね。路線によって言語が変わるのに気がついて、ほお、地下鉄側もしっかり市場調査してるじゃん。
どんなに遠くからでも日本語ならすんなり耳に入ってくる。目もしかり。
パリのメトロは電気で走っているから、電気が止まると電車は止まって暗くなる。これが頻繁にくる。だいたい数分で終わるので、慌てないこと。
地下鉄の線路には高圧線が通っているので、落ちたら感電死します。マジ。絶対に線路に降りないでくださいね。
アート編
パリ・オペラ座バレエの芸術監督バンジャマン・ミルピエのL.A.ダンスプロジェクトがシャトレ劇場であった。オペラ座やりながら自分のプロジェクトもきっちり。すごいなあ。
シャトレ駅の近く、リヴォリ通りにアーティスト村がある。無人の建物をアーティストたちが不法占拠して、すったもんだの末にパリ市がこの建物を買い上げてアーティスト村にした。こういうところ、パリ市ってすごいな~と思う。
入ってすぐに圧倒される階段。
ドアは解放されて、小部屋が改造されて、所狭しと道具や作品が置かれている。
夕方7時に行ったら、ある部屋でアーティスト達がパーティしてた。声をかけたら「ボンソワール」と返ってきて、すでに顔見知り友達感覚。この開放的なところがいいなぁ。フランス人、ドイツ人、ポルトガル人に韓国人。日本人もいた。インターナショナルゥ~!
ゲイジュツなのか、ごちゃごちゃなのか、わからん。
天窓からの空が見える最上階。こんなところで仕事ができるなんてうらやまし。しかもパリの中心地。
真剣に作品に取り組んでいるアーティストがいたので、そそくさと部屋を出たら、こんなオブジェが。御恵みを~って書いてあったから、コインを1枚入れてきた。
下を見ればこれだもの。
無料見学が出来るので、立ち寄ってみてください。リヴォリ通りの59番地。午後1時から夜8時までで、月曜日はお休みです。
http://www.59rivoli.org/main.html
コンコールダンスというダンスと文学がコラボレーションするフェスティバルの会場となった区の図書館に行ったら、ホールに昔懐かしいポスターを発見。
手前は、1979年9月にテアトル・ド・ラ・ヴィルで行われたアルビン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアター公演のポスター。
わ!この作品で一躍世界のスターになったカロリン・カールソン。
これはローザスの「レイン」初演かな?
今ではヒップホップの第一人者、ムラド・メルズキ率いるカンパニー・カーフィグの若かりし頃。懐かし~
公立の区の図書館のロビーに古いダンスのポスターがあるなんて、館長さんはダンス好きなんだろうなあ。コンテンポラリーダンス愛好者として嬉しい~!
104(ソンキャトル)に行ったら
入り口にでーんと、これ。Niki de saint Phalleの作品。かっこいいなあ。
中に入ることもできるのだ。
館内の廊下には、シャルリーをイメージした絵が貼られていた。
山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。