フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
高橋萌登さん、ランコントルに出演!
5月から始まっている国際ランコントル振り付けフェスティバル( Rencontres Chorégraphiques International de Seine-Saint-Denis、昔のバニョレ国際振り付けコンクール)に、久々に日本からの出演となった高橋萌登さん。6月1日~3日までル・コロンビエ劇場で自作のソロ「きぼうがどうとか」を上演。
ボソッとしていたかと思うと、いきなりシャープに踊り始めて、そのギャップが面白くて。自分でギターを爪弾いて歌ったり、しゃべったり。日本語なのにちゃんと伝わったようで、圧倒的な拍手をもらっていました。このあとのイタリア公演もがんばって!
ジョゼ・マルティネズの名作「天井桟敷の人々」
ガルニエ宮に一歩入った途端、そこはもう犯罪通りで、物語が始まっているのだ。ワクワク。それにこんなに間近にダンサーが見られるなんて!コーフン。
この作品は休憩中もぼーっとしていてはいけない。大階段でオテロのダンスがあるからだ。1幕が終わったら速攻で大階段付近に行くべし。今回はちょっと出遅れた…
大階段でのパフォーマンスの最中にも、別のダンサーが廊下で踊っていたりする。いいなぁ、この感じ。
気分台無し。
6月のパリのダンスフェスティバル、JUNE EVENTS
モンペリエ・ダンスフェスティバル
今年はストライキもなく、無事に始まったモンペリエダンス。
下駄とマスクでピルエット
モンペリエ・ダンスフェスティバルでのこと。トラジャル・ハレルの新作「モンペリエの幽霊がサムライと出会う」の客入れ中に、一人のダンサーが下駄を履いてマスクをしてピルエットの練習をしていて、思わず笑ってしまった。マスクも日本人特有のものだと認識しているあたり、なかなか鋭い。
ちなみにマスクをしている人は顔が見えないので、フランス人は「怖い」という。確かに目しか見えないから、マスク集団を見ると誰が誰だかわからない。フランスでは犯罪につながるとして、目しか出さないニカブ着用は禁止になっているので、いつかマスクも着用禁止になったりして。まあ、目的は全く違うから大丈夫だとは思うけれど…。
これは、トラジャル・ハレルのカンパニーメンバーによる朝の無料レッスン。歩くことをベースに、腰や肩の位置をずらしたり、リズムを変えることで、動きが百変化。簡単なことなのに手品を見ているようで、目から鱗のレッスン。
翌日は、フィア・メナードのレッスン。「挨拶の仕方を変えよう」がテーマで、ただ握手するのではなくて、手をゆっくり回したり、二人で回りながらボンジュールと言ったり。遠くから見ていた人がいつの間にか参加していて、見学者なし、というのも珍しい。誰にでもできて、気持ちの良い動きというのがいいからかな。
これもインパクトありましたね、ダヴィッド・ヴァンパクのレッスンは、体のあらゆる部分をシェーク。手も足も、目も舌もお尻もXXXも、とにかくシェーク。1時間のレッスンで、途中参加は認めるけれど、途中退出は認めないと、なかなか厳しい。朝10時から、しかも30度を越す炎天下での1時間シェークはきつい。でも面白いことに、ヴァンパクに煽られて揺れていると、思わぬ動きが自然に出てきて、ちっとも飽きないし、疲れを感じさせない。これが指導力か!と感心。
誰にでもできる動きを楽しく、これが今年のモンペリエダンス無料レッスンのテーマだったみたいで、楽しかった~。こりゃええわぁ~♫
ライムント・ホーゲの作品に出演の上野天志さんと石川勇太さんにばったり。
オペラコミック劇場の幕には1888年と書いてある。そんなに古くからあるんだ~
入ってびっくり。思わず用をたすのを忘れてしまった。トイレが落書きだらけ。小さな箱を除けば、落書きセットが入っている。つまり、ご自由にどうぞ、というわけなのだ。これはなかなか楽し。これはモンペリエ郊外のグラモンにあるトレーズ・ヴォン(Treize Vents)劇場。いいね!
劇場ホールはアートスペース
改装中のシャイヨー劇場
まだ6月の5日なのに30度!
この日差し。まいったなぁと思っていたら、とんでもない。その後も気温は下がらず。下旬には38度になった!珍しく風も吹かず、夜になっても気温は下がらず、汗が落ちる。体温より高い気温だ。風が吹いても熱風の中にいる感じ。日本の夏を思い出したけど、日本はこれに湿気が加わるからもっと辛いか。
でも、フランスはクーラーが普及していなくて、もちろん我が家にあるわけがなく、アンティークな小型扇風機がよろよろと風を送っている。映画館に行けば涼しいけれど、メトロに乗って行く気はないので、近くのスーパーの冷凍食品売り場へ直行。水を買うのに30分をかけて身体を冷やす。ふぅ~。なぜフランスはクーラーが普及していないかって?こんなに暑くなることは滅多にないし、去年は7月まで寒かったし、夏といっても暑いのは1ヶ月、長くても2ヶ月くらいだし、夜になれば気温が下がるので快眠できるのが普通だから、あまり必要性がないのだ。2003年の酷暑以来、公共機関や事務所ではクーラーを設置するところが増えたけれど、一般家庭ではそこまでしない。
こう熱くちゃ寝られないから、真夜中までカフェが賑わっている。まるでスペインだ。
山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。