フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
TARINOF DANCE COMPANYパリで新作発表!
ヌーヴォーシルクの金井圭介さん、再びパリに
モンフォール劇場はサーカスのための小屋だったんだ
人気は衰えないピナ・バウシュ/ヴッパタール舞踊団
必見!イリ・キリアンのユーモアたっぷりの新作、BY モナコ公国モンテカルロバレエ団
http://www.dailymotion.com/video/x4aru0a_oskar-film-de-jiri-kylian_creation
モンテカルロバレエ団創立30周年を祝って、イリ・キリアンから粋な誕生日プレゼント。イリ・キリアン振り付け、モナコ公国モンテカルロバレエ団のディレクター、ジャン=クリストフ・マイヨーと長年彼のミューズで数年前に引退したベルニス・コピエテルス出演という超豪華メンバーによるビデオダンス。
マイヨーの踊りが見られるなんて!しかもコピエテルスがめちゃお茶目。これを振り付けたキリアン、最高~!
ピカソのパラード公開!
美術館の夜でダンス
5月21日はラ・ニュイ・デ・ミュゼ/美術館の夜。夜に美術館が無料公開されるイベントで、今年はダンスパフォーマンスに的を絞って出かけた。
まずはピカソ美術館でシルヴァン・デキュールのパフォーマンス。無料で入館できて、しかもパフォーマンスまで付いてくる。ありがたや~。しかし、人気スポットには早めに行かなくてはいけなかったのだ。長蛇の列で入館するのに30分以上かかってしまったから、3つあるパフォーマンスのうちの一つには間に合わず、2つ目は逃しちゃならないと階段を駆け上がると、芝生の庭に出た。美術館の中に庭があるとは知らなかった。あいにく小雨がぱらついているけれど、気持ちいいなあとポケーッとしていたら、妙な動きをしている人がいる。それがデキュールその人でありました。
ヌーヴォーシルクと言ってもいろいろあって、この人は道化系らしい。「 Malgré moi 」では、よろよろと歩き、走っては草むらに突っ込み、でもさりげなくアクロバットを入れているところが憎い。
3つ目のパフォーマンス「お前、何見てるんだ?」は、ミケル・バルセロの凹凸のある大きな作品をじっと見つめる大男(シリル・ミュジ)が、感極まって服を脱ぎ捨てて踊りまくるのを、オロオロしながら言葉をかけたり、真似しようとするシルヴァンが面白くて大笑い。
外に出たら地下鉄の通気口から吹き上げる空気を利用して、工事用のテープを結びつけている人がいました。フェスティバルとは関係ない、いつでも誰にでもできる街の中の小さなアート。こういう遊び心のある人がいるパリは面白い。
今度はポンピドゥー・センターへ。
夜10時半過ぎなのに、この長い列。タダほど怖いものはないけれど、タダだから雨が降っても並んで待つ!
やっと入館して、エスカレーターで5階へ。パリの夜景が美しい。
フランソワ・ステマーという気になる振付家の「 Un ado , une œuvre/若者、作品」がお目当。ステマーは、ティーンエイジャーを描く作品を作っていて、その描き方がリアルなのにポエムがあって気に入っている。
無料というのは本当に魅力的だけれど恐ろしく、夜11時だというのに館内はごった返しているし、係員に場所を聞いてもまともな返事は返ってこなくて、さすがオーガナイズの行き届かないフランスだと、むかつきながら廊下を走っていると、かすかに歌声が聴こえてきた。巨大ミラーボールの展示品がある小さな部屋で、二人の若い女性がアカペラで歌っている。部屋から出てきた二人の背中に「ついてきて」の文字。
カワユイ子好きだから、ついていっちゃうわよ~などとアホなことを呟きながらしばらく行くと、これ。
完成図は、これ。
次に連れて行ってくれたのが、
意味ありげな青年の立ち姿に、これから何が起こるのか、ワクワク。
背伸びしたところで青春のバカさ加減とエネルギーは抑えることができなくて、ええいっ、好きにさせてもらいますぅ~と踊りまくるあたり、好きだなあ。これが青春さっ。
二人のミュージシャンの音楽についていけば、最終目的地の地下ホールでのコンサート。終了したのが24時半。子供も元気に飛び跳ねていて、いろんな意味でフランス人ってすごいと思った。
外に出れば、
オーパーウオッチ「ゲンジ」
山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。