フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
ダンスざんす
CNDが明るくなった
パリのCNDは入り口のグレーの大きくて重い扉のせいか、暗いイメージがあったのに、久々に行ったら、あら?入り口がない!うろうろしていたら、ガラスの回転扉になっていた。
スタジオだったところは展示会場になっている。と言うことはスタジオが一つ減ったと言うことなのかしら。
オペラ座はソー・コンテンポラリー!
こりゃ驚いた。係員が踊りながら客を迎えるとは想像もしていなかった。
氷の間で、
グラン・フォワイエで、
月の間でも。ダンスだけじゃなくて歌も上手い。
倒れているわけではなくて、
床と一体化してるって感じ
地味~
わ~、もっと地味。廊下の突き当たりの、ほとんど人がいかないところで固まっている。気がつかない人も多かったはず。
これはティノ・セーガルの仕業。本公演前の1時間はこれでした。
この日は、セーガル2作品とジャスティン・ペック、ウイリアム・フォーサイスにクリスタル・パイトのコンテンポラリーダンスの一夜。
クリスタル・パイトの「シーズンズ・カノン」は総勢54人の大群舞のパワーに圧倒された。これに驚いていたら、ラストは再びティノ・セーガルの作品で、ダンサーが客席で踊り、最後はホールで歌って客を送り出してくれた。
今までにないオペラ座の一面に感動の一夜。ミルピエ前監督の言う通り、パリ・オペラ座はコンテンポラリーでは最高のレベルのバレエ団でもあることを見事に証明した感じ。
そして外に出れば、タンゴを踊る集団が。これはオペラ座の企画ではなくて、勝手にオペラ座前のテラスを利用して踊っている愛好家の集団なのだけれど、踊りづくしの一夜だった。
夢を与えてくれたジンガロ
馬を使った作品で有名なジンガロ。ヴェルサイユ宮の馬術アカデミーとの掛け持ちで大忙しのバルタバスだけれど、ジンガロ劇団の公演はやっぱりいい。9月から年末までの公演は、「On achève bien les anges」。天使をしっかり射止めちゃったわけであります。
ジンガロの団員かと思ったら違った。こんな着ぐるみがコートがわりなんて、しかもこれでメトロに乗って会場まで来ちゃうなんて、カワイイ~
早めに行ったのでまだ人は少ないけれど、開場前はごった返していました。ちなみに公演後にレストランで食事をするには事前予約が必要とのこと。
レストランがある建物が待合室になっていて、サーッと赤い幕が開いたら、楽団の演奏が始まった。
楽しい音楽にリズムを刻んでいたら、すーっと空に舞い上がった!
クレーン車が楽団を持って行っちゃった~
でもこれが入場の合図なのだった。
たくさんの天使たちの馬とのアクロバットに歓声をあげ、少しヨレヨレのおじさん天使に哀愁を感じ、それを吹き飛ばす陽気な楽団の音楽に体を揺らし、あっという間の2時間。夢をくれる作品は後味がいい。
山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。