フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
日本の観光局が頑張っているのか、航空会社が頑張っているのか、メトロでもテレビでも「日本へ行こう!」の広告が目を引いている。動画版はすごくよくできていて、古きと新しきが入り混じる日本を上手く演出していて感心する。あいにくネットで見つけられなくて紹介できないのが残念~。
メトロの駅や通路は色々な広告があってなかなか楽し。
これはオペラ座の広告。セレブ感が出てる!
そのオペラ座ガルニエ宮でのウエイン・マクレガー振付「Tree of codes」のカーテンコール。オペラ座からはマリー=アニエス・ジロ、ジェレミー・ベランガール、セバスチャン・ベルトー、リディ・ヴァレイユ、ルーシー・フェンウィック、ジュリアン・メイザンディの6人と、マクレガーカンパニーの9人のダンサーによるコラボレーション。エネルギッシュな踊りと、色彩豊かで鏡や照明などを使ったトリック的な演出が面白かった。高瀬譜希子さんも素晴らしい踊りをしていました。(写真右から3番目)
それにしてもジロの足の長さには惚れ惚れしてしまう。
1月に荻窪のアパラタスでのアップデイト公演を終えてすぐにフランスに渡って、2月1日から3日までナントでのラ・フォルジュルネでバイオリニストの庄司紗矢香さんとコラボして、9~10日はマルセイユ近郊のマルティーグのサラン劇場で新作の「Sleeping Water」、そして23日から3月3日まではパリのシャイヨー劇場でまた別の新作「Flexible Silence」を発表した勅使川原三郎さん。これが終わればとんぼ返りで日本に戻ってオペラ「魔笛」を演出して、それからアパラタスでのアップデイトダンス、両国シアターX、世田谷パブリックシアターと、8月まで予定がぎっしり。さらに、秋にはパリ・オペラ座への新作振付が待っている。1ヶ月の間に3つの新作を作って、しかも勅使川原さん自身も踊っているわけだし、こんなこと言っては失礼だけれど決して若くないし…。どうしてこんなことができるのだろうかと思って、 「時差ぼけはないんですか」と愚かな質問をしたら、にっこり笑って「フランスに来た時はないのですが、戻った時に少しあります」という返事に妙な安心感を覚え、
「こんなにたくさんの新作を作って、しかもご自身で踊られて、疲れませんか」というさらなる愚問にも
「踊っていれば疲れないです」とにっこり。
「じゃあ、飛行機の中でも踊っているんですか」
「いやいや、それはないですけど、絵を描いています」
ふ~む、飛行機の中でここぞとばかりに映画を見まくって寝不足でぐったりしている私とはレベルが違うのだった。
フランス三面記事
混乱極まる大統領選挙
アメリカのトランプ大統領の発言が物議を醸しているけれど、フランスもそれどころではない。4月にフランスの大統領選挙があるからだ。
5人の候補者を簡単に紹介すると、
サルコジ政権で首相を勤めたフランソワ・フィヨン氏(63歳)。このダンディーな顔のおかげか、敬虔なカトリックだからか、サルコジ元大統領率いる右派の代表者選出選挙では、圧倒的支持率で当選。この勢いで突き進むかと思っていたら、過去の架空雇用が発覚。妻と子供に高給を払っていたと報じられて、それでもフランスを救えるのは自分しかいないと強気の発言を繰り返している。振り返ればサルコジ氏をはじめ、サルコジ政権のほとんどの官僚が賄賂や汚職漬けの金まみれ政権だったわけで、どの国でも政治とカネの縁は切れないものなのね。
そのサルコジ氏は大統領予備選で惨敗してがっくり肩を落とした後ろ姿に、もうマスコミを騒がすことはないと思っていたけれど、弁護士としての腕を振るい、さらにはフランスのホテル業最大手のアコーホテルの取締役顧問に任命されたとのニュース。いくら元大統領でも仕事をしなけりゃ生活できないわけで、いつまでも話題の人であり続けるツワモノ。
現オランド大統領の社会党代表に選ばれたブノワ・アモン氏(49歳)。(フランス語はHを発音しないので、ハモンではなくアモンと発音します)首相を務めたヴァルス元首相が破れて、オランド大統領に批判的なブノワ・アモン氏が選ばれるとは、 オランド政権の面目丸潰れ。国民全員に一定額を支給するという夢のような公約を立てて、そりゃありがたいけれど、実現不可能と多くの人は見ている。
エマニュエル・マクロン(39歳)。マカロンではありません。オランド大統領に可愛がられていたのに、政治団体をぶち上げて大統領選に立候補とは、アモン氏に続いてオランド大統領はダブルパンチを食らったことになった。マクロン氏が官僚時代に提案した法律のおかげで、フランスの商業地区の店舗は日曜日の営業が許可されて、コンビニが当たり前、日曜日はお買い物の日と思い込んでいた私には便利になってありがたがいと思う反面、いざ自分が日曜出勤となると恨めしく思う。
極左のジャン=リュック・メランション氏(65歳)。穏やかで良いと思うけれど、カリスマ性があるかどうかは少し疑問。現在ニュースでは、フィヨン氏とル・ペン氏のスキャンダル問題でほとんど話題にならず、どうしているのかしら~
自国優先をスローガンに、フランス版トランプと言われる極右政党フォン・ナシオナル代表のマリーヌ・ル・ペン氏(48歳)。トランプ氏が大統領当確となってすぐに祝辞を送ったとか。移民問題が大きくなって国民意識が右翼化する中、かなり勢力を伸ばしていて、決選投票に残るだろうとの予想も出ている。党の発展のためなら実父さえも訴える怖いもの知らず。これまた架空雇用が発覚したけれど、これは欧州議会のことで、フランスの大統領選とは関係ないと強気の姿勢を崩さない。あー言えばこういう、こう言えばあーいうの、それはそれは弁の立つ人で、その頭の回転の速さには感心する。ぼーっと聞いていたら「なるほど!」と思わず納得してしまいそうになる。
4月23日が1回目の選挙で、トップの二人が5月7日の決選投票に臨むことになる。ちなみにフランス国籍を有する18歳以上の人に選挙権が与えられている。
なんで?フランスって~!
私は子供の頃から学校でも家でも外から帰ってきたら手を洗い、うがいをするように言われてきた。食事をする前にも手を洗い、お金はいろんな人が触って汚いからお金を触ったら手を洗えとも言われてきたけれど、フランスに来てこの教えが正しかったのかと疑問を持つことしばしば。
フランス人はほとんど手を洗わないような気がする。メトロの手すりにつかまった後でレストランに着いて、手も洗わずにパンをちぎって食べている。パン屋でも売り子は素手でパンを掴み、ケーキも掴み、その手でレジをして、次の客にパンを手渡している。肉屋も同じ。家で調理するものならともかく、ハムやパテなどそのまま口にするものも平気で素手で掴んで、客からお金をもらい、にっこり笑ってメルシー。チーズ屋も然り。それなのに誰も病気にならない。レストランではウエイトレスは客が帰った後のテーブルをシュッシュっと洗浄液や消毒液を吹きかけて机を拭き、横で食べている人の皿に噴霧が入ろうが御構い無し。客も目に見えないものは気にしないとばかりに、美味しそうに頬張っている。カフェバーに行ってビールを頼めば、洗浄液がぴゅっと出て、ブラシが勢いよく回転する機械で2秒洗っただけのグラスに注ぐから、なんとなく洗剤の味が残るビールが嫌でカフェに行かなくなった。洗剤の味がするとフランス人に言っても、「あらそう?感じないけど」。
今年の冬はインフルエンザ大流行で、ラジオからは健康保険庁の「手を洗いましょう」などというメッセージが頻繁に流れているけれど、うがいをしましょうとは誰も言わないし、うがいをしていると変な顔をされる。「こいつ頭おかしいんじゃないか?」
マスクをしたら日本人か中国人とバレてスリやひったくりに狙われるか、顔を隠して悪いことをするテロリストに見られてしまうから危険だ。
どうしたら自分の健康を守れるのか、悩んでいる。
金粉入りのおすまし~
知人の結婚式の引き出物の金粉入りの松茸のおすまし。「どうだ、これが日本の高級文化だ!」とばかりに出したら、「金を食べるの?体に悪いんじゃないの?」とあっさり却下。それ以来、もったいないから一人で飲んでます。
無料新聞ディレクトマタンの表紙を飾って大々的な宣伝をするユニクロ。
パリではありませんが、2月の終わりの朝7時11分。夕焼けみたいな朝焼けが綺麗だけれど、世の中まだ暗い。日の出は日本よりず~っと遅い。
山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。