フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
フランスにもある嵐のような春一番
カレンダーをめくった途端に、春一番が吹いた。今日が3月1日だってことを知ってるのかな。
フランスには「春一番」という呼び方はないけれど、ここ数日、ほぼ毎日のように強風が吹き荒れている。もうこれで5日目くらいかな。秒速13メートルを記録したところもあったし、今日は雨と風で、春一番というより嵐だよ、こりゃ。
外を見れば、やっと咲いた桜の花がこの嵐に耐えている。頑張れ~
と、嵐で始まった3月だけれど、春はもうすぐそこ。
街角で黄色い花束を売る人を見かけたら、春の到来だ。ぼんぼりのように束ねられているのは黄水仙。なぜだか知らないけれど、みんなこの形にして売っている。道端でこうして売るのは違法だけれど、そんなの御構い無し。綺麗だから売るし、買う。それでいいんじゃない?
少し春めいたところで、映画ファン待望の春の映画祭プランタン・デュ・シネマ。
このポスターがある映画館では、映画が1本4ユーロで見られる。映画好きには嬉しい3日間!
ようやくうちの桜が咲きました!ここ数日異常に暖かくて、一気に咲いた。去年より2週間も早い開花。綺麗なお花をありがとう、そして、今年も美味しい実をつけてね!と、花より団子の私。
タンポポの花は可愛いし、綿帽子も可愛い、と気を許していたら、庭中がタンボボに覆われていた。放っておいたら来年はもっと増えるだろうから、どうにかしなくては。タンポポは薬草でもあるから、タンポポ茶を作ることにした。あら、タンポポのワインというのもあるらしい。♪これに挑戦する価値はありそうと早速調べたけれど、3秒で諦めた。花を1.2キロ集めろと。最初の1行であっさり挫折。なんでタンポポワインが希少価値なのか、よ~くわかりました。
今年も取れた、モリーユきのこ
暖かくなれば、外に出たくもなる。
久々にシャンゼリゼ大通りに行ったら、
これぞシャンゼリゼ大通りのスター的存在、騎馬隊のおまわりさん。カメラを向けられて、観光名物の一つになっている。
でも近づきすぎたらダメよ。特に後ろから。糞がボトボト落ちてくるから。
昔のシャンゼリゼは、高級プレタポルテが立ち並ぶファッションの街だったけれど、近年は車のショーケースが賑わっている。これがなかなか面白い。
ルノーのショールームは、古き良き時代を演出
お写真一緒にどうぞ~
ブースでは
もしもし、お相撲さん登場ですか。昔、こんなCMがあったのね
操作をすると、車が笑ったり怒ったり、不機嫌にもなる。なかなかカワイイ
シャンゼリセはコンコルド広場から凱旋門に向けて緩やかな登り坂。だから私はシャルル・ド・ゴール・エトワール駅で降りて下ることにしている。へへ、怠け者です。すると、あら、レペットが。チュチュのウインドウは目を引くから、行き交う人の写真スポットになっている。聞けば3月15日のオープンなんだって。ピザ屋の隣というのが気になるけれど、見つけやすくて良いかも。
気持ちよく散歩しているのに、これを見るとがっかりする。どこでも構わず立ちションをする男たち。公衆トイレは無料になっているのに、面倒臭がってちょいと失礼って道で用を足す。恥を知れ~と怒鳴りたくなる。
この大きいシミが人間様で、その向こうの小さなシミはお犬様。新鮮なのは踏みたくない。
フランスでは、困っている人を助けようという協会がいくつもある。
春のダンスざんす
オペラ・バスティーユの地下のアンフィテアトルで上演された「エベの祭典」。
ラモーの歌劇で、1770年以来の再演という歴史的公演。当時はビデオがあるわけでもなし、資料もたくさん残っているわけでもなし、どうやって250年の空白を埋めたのか知らないけれど、歌とダンスが見事にマッチした素晴らしい作品だった。
振付・演出は、コンテンポラリーの中堅トマ・ルブラン。オペラのファンらしき隣のおじさんは、最初のうちはダンサーが踊り始めると、舞台から目をそらして楽団を見たり、プログラムを読んだりして全くダンスに興味がなかったのに、最後には舞台に目が釘付けになっていて、超満足のご様子。歌詞がわからなくても、ダンスや装置がちゃんと語ってくれているので、置いてきぼりにならずに最後まで観れたのも、ルブランの巧みな構成によるもの。コーラス隊が一糸乱れぬユニゾンを披露してくれたのには驚くばかり。これだけの仕上げを4週間のリハと、最後の1週間の音合わせだけで仕上げてしまうとは!「目の下にクマができたよ」と笑顔のルブランさん。
オペラはよくわからないと思っていたけれど、こういう小さなスペースだと、よく見えるし、オーケストラはすぐ横にいるからこれまた丸見えで、親近感を感じながら気張らずに見れたのが良かった。
アンフィテアトルでの上演ものは、オペラ座のHPのMENUからACADEMIEをクリックすると出てきます。
最近お気に入りのクリス・ハーリング率いるリキッド・ロフトの「ディープ・ディッシュ」。グロテスクでエロティックな作品だった。
舞台で起こっていることが、小型カメラで大写しになると、別物になることの面白さ。果物や野菜がこんなに色っぽいとは知らなかった。もちろんダンスと野菜たちが映像でコラボして、これまた不思議な世界を作る。最後に仕掛けを見ていいですよ~との案内があったので近づいてみると、いたいた、ワイングラスの底でゆらゆらするピンク色の小さなイソギンチャク、数ミリのエビのような形をした生き物、噴水のように湧き上がるグラスの水。なかなか凝っている。(MACクレテイユ劇場にて)
もう一つのエキサイティングな公演は、シャイヨー国立劇場での「メカニカル・エクスタシー」。クラブ・ギ & ロニによるなかなか過激な作品だった。
だいたい夜10時開演というところが怪しい。しかも劇場ではなく、ホールロビーで。行ったらやっぱり。ホールの照明は落とされ、奇抜な格好をした人たちがウロウロしている。唐突に客にマニキュアを塗ったり、一緒に写真を撮ったり、脅かしてみたり。臨時の飲み物販売カウンターができているところを見ると、踊って歌って、ノリノリの一夜を過ごそうという狙いらしい。そうこうしているうちにギュイ~んとギターがなって、会場はクラブと化した。長細いホールの右と左のステージで、代わる代わる繰り広げられるセクシーで激しいダンス。それに歌と演奏、照明だってギンギン。強いリズムに乗って、こちらも踊らにゃ損々。
そして、11時になったら、カーテンを開けて、エッフェル塔のシャンパンフラッシュを見せてくれる。
さすがシャイヨー劇場、気がきくじゃん。もちろんこれでさらにエキサイトして、真夜中過ぎまでガンガンのディスコ大会。国立劇場でこーんなことをしてくれるなんて、おっしゃれ~
パリ・オペラ座では、バランシンの「真夏の夜の夢」。
超面白かった。わかりやすいし、振付構成はさすがバランシンと唸らせるだけのものがあるし、ラクロワの衣装は品のある豪華さで、ガルニエ宮にぴったり。この作品がオペラ座のレパートリーに入ったのは嬉しい、何度でも見たい気分だ。
妖精の女王役のアバニャート、そして今年スジェに昇進したばかりのポール・マルク(写真右)が、アバニャート相手に堂々と、そして何より繊細で品があって、テクも超抜群の踊りを見せてくれたのには、心が弾んだ。このままいけば将来はエトワールかも!
2部でディヴェルティスマンを踊ったカール・パケットとセウン・パク。これも見事で、特にパクのしっとりとした踊りには惚れ惚れ。
あ~素敵な一夜で、超満足。
山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。