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ニュース・コラム

山田マミのやっぱり、パリが好き

山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

今年もやられた、4月バカ

4月1日はフツーの日だとインプットされている私は、今年もやられました。ポワソン・ダブリル、人の背中にそっと魚の絵を貼り付けて、気がつかない人を笑い者にするというフランスの習慣。こんなに大きな魚を背中に貼られているのに、全く気付かず1日を過ごしてました。ツレが仕事から返って来るなり、「今日はどこかに出かけた?」としつこく聞く。何かと思ったら、魚が背中に!私を町の笑い者にしたかったらしい。出かけなくて正解だったけれど、気がつかない私は間抜けということか。。。

4月の大イベント、大統領選挙

当然ですが、誰が国を仕切るのかはとても重要なこと。フランスでは、政府が代われば法律も変わるわけで、不況や移民問題が噴出している今、今後のフランスの行方がどうなるのか、ラジオでは毎日のように熱い議論が流れている。フランス国籍のない人は投票権がないから、熱くはなれないけれど、極右が大統領になれば、滞在許可証は出にくくなるなあ、などと思っている。
日本のように宣伝カーはないから、街は静かで良いけれど、各地で党の集会が行われている。駅に行ったら、大統領選特別仕様の列車が。これには一体誰が乗るのだろうか。

フランスの4月

4月16日は復活祭。フランスでも宗教離れをして教会に行かない人は多いけれど、復活祭の象徴のチョコレートを買う習慣だけは皆守っている。この時期パン屋とチョコレート屋は大忙し。
高いなあと言いながらも「伝統だからね」と言って自分を納得させているツレは、
「5ユーロもしたのに、尻尾が欠けている!」と憤慨。でも鶏を割ってみたら、中身がちゃんと詰まった卵二つと魚が出てきたので落ち着きを取り戻した。
私はキリスト教信者ではないから、何も言わずに「いただきます」

暖かいというより暑いくらいの日が続き、あらもうスズランが咲いてしまう。5月1にちに合わせてくれないと、売れないんだけどなあ…

富士登山

安い航空券が出たので、急遽ツレと一時帰国。
「どこに旅行に行こうか」
「富士山」
日本一高い山に登りたい願望があるのは、フランス人も同じ。まあ、人によっては日本には富士山しかないと思っている人もいるような気もするけれど。
「4月はまだ山開きしていないから無理」
「なだらかな山だから登頂は難しくない、山開きしていなくたって登れるさ」
「甘い、危険だ、何人も死んでる!」
「高い飛行機代を払って行くのに、夢も叶えられないのか!」
「夢はわかるけど、危険は危険だ。」
必死で説得して、5合目まで登ることでようやく落ち着いた。ところが、4月初めのドカ雪で、5合目までの道も危ないという地元の観光局。せっかくここまで来たのに、東京にUターンかと気落ちする私の横で、スリルを味わいたいツレがムクムクと元気になり、登れるところまで行こう!というわけで、5合目まで登山道を歩いて登ることに。

富士山の天候はコロコロ変わる。天気予報を見て、この日しかない!と早起きしたものの、平日なので馬返しまでのバスがない。つまり、浅間神社から歩いて登るしかないということ。これはきついが仕方がない。空気が一変した浅間神社で無事の登山を祈り、歩きながらヒッチハイクを試みたが、誰も止まってくれない。日本人は冷たい。外人を乗せるのが怖いのか、いや、のんきに山登りをする人の世話をするほど暇じゃないということだろうか。ブツブツ言っても仕方がない。ポジティブに景色を楽しもう。
あら~、山桜が咲き始めている。キレイ~
わっ、最近熊が出没したとの立て看板!
げっ、今度は猿出没か。持っている食料を奪うらしい。春先はお腹空いているからね…
スリル満点の山道。しかも誰も歩いていないから、クマや猿に襲われても誰も助けに来てくれない。日本の携帯電話も持っていないから、そのまま放置されるのだろうね、などと引きつりながらジョークを飛ばし、やがてクマや猿どころか、心臓の爆発を心配するほどのきつい山道を無言で歩き、それでも「なーんだ雪ないじゃん」と言った矢先の三合目からは雪が残り、四合目からは雪山登山。雪装備して来てよかったと自分をなだめる横を、トレッキング中の短パン姿のお兄さんが走って追い越していった…
登山道には各所に案内板があって、過去の栄華を語っている。スバルラインができるまでは、皆この道を通って神様の山に登っていたのね。

吉田口から頂上へ登る山道は、当然閉鎖されている。道は雪で埋まってた。
達成感とともに5合目に着き、そこからスバルラインの5合目駐車場に行ってびっくり。サンダル履き、軽装の観光客でごった返している。アジア人が多いなあ。さっきまでの静けさは何?6時間かけてゼーゼー言いながら登ったあの苦労は何?みなさん車で一気に登り、イエ~ィと笑いながら記念写真を撮っている。
登山靴、リュックに杖持って顔を真っ赤にして瀕死の形相の私たちの浮いていること。観光局でも目立ったのか、偶然取材に来ていたNHK山梨放送局のローカルニュースにもちらりと登場する羽目に。 五合目観光局にはフランス語ぺらぺらの係員がいて、ツレは満足。

まあいいけど。
天気が悪くて下界なぞ全く見えず、残念。下り?もちろんバスで戻りました。

翌日、筋肉痛を和らげるためになんとなく山に向かって歩いていたら、こんなところに出ました。ポスターで見かけるこの構図。合成写真かと思ったら、そうではなかった。富士山バックに五重塔といういかにも日本!の写真スポットは、これまた観光客でごった返し。計画や目的を作らずに偶然出会った景色は、感慨一層でした。これが私がフランスで習ったこと。準備周到、5分刻みの計画をこなすことより、偶然の出会いの方が面白いこともあるということ。フランス人って、結構このタイプの人が多いような気がする。

山田マミ プロフィール

幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。