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ニュース・コラム

山田マミのやっぱり、パリが好き

山田マミのやっぱり、パリが好き

フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!

ダンスざんす

78歳の小島章司 パリで踊る

小島章司先生が、ノルウエーの若手振付家アラン・ルシアン・オイエンさんの「シミュレイクラム」に出演。若くしてスペインに渡ってフラメンコを極めた小島先生と、日本で女形を習得したオイエンさん。それぞれの半生を綴った作品で、上演時間はなんと2時間。6ヶ国語を話し、コンテンポラリーから女方まで踊れちゃうオイエンさんには目を見張ったけれど、78歳という年齢を感じさせない小島先生の踊りには脱帽。そして語られた半生にジーン。日本からヨーロッパまで直行便で12時間に文句を言ってはいけないのだ。1966年、小島先生は横浜港からナホトカ、シベリア鉄道を使ってスペインまで単身渡欧。2週間以上の旅だったのではないかしら。 インターネットがない時代に、しかも日本人などほとんどいなかったところで、一人前になるまでは帰国しないと誓って、スペイン舞踊を極めた姿勢には、頭が下がる思いでした。しかも現在も世界を回って踊っている!
着物姿はアラン・ルシアン・オイエンさん、男だけれど、すっごい美人で、淑やかな日本女性そのもの。立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花とはこのことでしょうか。オイエンさんの爪の垢でも飲んだら、私も少しは淑やかになれるのかしら…

上演したのは、シャイヨ国立ダンス劇場。

小劇場の改修工事を終えて、白を基調としたホールが眩しい。

しかし、1930年代の代物はまだ健在。

木製エスカレ—ター。この音がレトロ~

オペラ座バレエ団今月の演目は、バランシンの「アゴン」、勅使川原三郎の「グラン・ミロワール」、そしてピナ・バウシュの「春の祭典」
話題は何と言っても勅使川原三郎の新作

なぜかみんな色とりどりでした。

スピード感のある踊りも良かったけれど、諏訪内晶子さんのバイオリンが超すごい。テンポの早い曲を一音一音クリアーに、そして力強く弾き、その研ぎ澄まされた音色に聞き惚れた。ダンスも見たいが諏訪内さんの姿も見たいわけで、とても忙しい30分でした。

ピナ・バウシュの春の祭典は、舞台を作るスタッフの姿にまず感動。

踊り終えた生贄役のアリス・ルナヴァンは放心状態。3回目のカーテンコールでようやく笑顔を見せる。スタッフもダンサーも全身全霊で臨む作品のすごさに圧倒される。

パリは歩いて回るべし

つい安易にメトロだ、バスだ、タクシーだと乗り物に乗ってしまうけれど、歩くと面白い。

でも濡れた路面の落ち葉に気をつけて。転んで怪我する人が結構いるようです

マルシェに行けば、切り身に慣れた日本人には驚きの、魚一匹丸ごとどうぞ!頼むとあっという間に3枚におろしてくれます。

牡蠣に

ウサギさんもいます。もちろん本物。生きてませんけど。

今日はボジョレー・ヌーヴォーの解禁日だ。あいにく日本ほどのフィーバーはなく、さらりと過ぎた11月の第3木曜日 なんでこの人形がボジョレー・ヌーヴォーなのかわかりませんが、この店ではこういうことになっているみたいでした

私はゆっくり家で堪能。若いワインだから、期待はせず

お店はノエルグッズで溢れている

可愛い~!これ全部お菓子。

ガンガン音楽が鳴って、花火!しかし、お祭りではありません。デモです。どうりで警官がたくさんいるわけだ。
危険なデモもあるけれど、今日のはみなさんのんびりやってます。ここはデモの終着場ナシオン。マクロン新政権の政策に反対するデモで、大統領に就任後の9月からから、あちこちでデモが勃発。まあ、パリではほぼ毎日何かしらのデモがあると言われているけどね。

こういうのねえ・・・ちょっと恥ずかし、、、でも、愛なんだよ、愛!ってか?

さてと、メトロのボン・ヌーヴェル駅近くに来たので、オペラまで2駅だから歩いてみよう。メトロの駅の間隔は短いから、サクッと歩けるのです。

パリはさすがだ、街自体が綺麗、というか綺麗に見せることを知っている。特に夜のイルミネーション。クリスマス用なのか、1年中こうなのか、建物が青くなったり赤くなったりしていました。ちなみにこれはクレディリヨネ銀行の本店。まあ、銀行はどんなに不況でも潰れないから、ライトアップにかかるお金など、へっちゃらほいなのでしょう。

潤っているところはすごいなあと感動しながら、セレブなラ・ペ通りを通ってヴァンドーム広場に入って、あらま、巨大な水道管がごろり。工事中かと思ったら、アートだった。オスカー・トゥアゾンの作品で、タイトルは「水道管」。そのまんまじゃん。FIAC参加作品

これはヴァンドーム広場にあるルイ・ヴィトンの店。太陽サンサンの装飾は、まるでルイ14世。世界をヴィトンが照らすってことでしょうか。ここも潰れない会社ですね。
さてと、せっかくだから高級店が集まるサントノーレ通りをウインドショッピング。もちろん見るだけ。フォーブルグ・サントノーレに入ったけれど、慣れないセレブ街に疲れたので、人通りの少ない道に左折したら、おお、ここは憧れのクリヨンホテルの横じゃないですか。中に入りたいけれど、こんな服装じゃあダメなので諦め、コンコルド広場の端から公園に入ったら、

テアトル・ド・ラ・ヴィルの看板?劇場は現在改装工事中なので、エスパス・ピエールカルダンを借りているのでした。

ちなみにこれが現在の姿。工事のシンボルカラー黄色と黒のストライプで正面を飾って、オシャレ~

向かいのシャトレ劇場も工事中で、活気のない広場が寂しい。早く工事が終われば良いのにな。

何かと金のかかる秋

また来た~請求書!!! 所得税、住民税に固定資産税の請求書。9月の新学期に何かとお金がかかった家は火の車。燃える秋なのだ。所得税一年分まとめて秋に来る。だいたい1ヶ月分の税引き前の給料くらいが納税額。還付などありゃしない。社会保障料はこれとは別で、給料から毎月自動天引き。年金、失業保険、家族手当や住宅手当、それに健康保険などだ。これが結構高くて、給料が最低賃金(税込月額1480.27€)の人の手取りは1149,07€。つまり331€(おおよそ4万3千円)の社会保障料を自動的に払っていることになる。高い!働き盛りで、職もある健康な独身者は全く恩恵を受けないけれど、一瞬先は闇、明日は我が身で、いつ恩恵を受けるかわからないし、少なくとも医療費は、個人で掛ける生命保険と合わせれば、ほぼ100パーセント戻って来るから文句は言えない。が、偽造証明書で補助を受けている奴を見ると殴りかかりそうになる。私の税金を食い物にするな~!
マクロン大統領は住民税をなくすと言ったけれど、ちゃんと請求書が届いた…。嘘つき~。いや、いろいろ条件があるらしい。

日も短くなって、どんよりとした空に覆われる暗い冬の訪れとともに、懐には寒風が差し込み、家計は火の車。この火を消防署は消してくれないから、がっくり肩が落ちるだけなのだ。
そこに追い打ちをかける値上げ予告。タバコが11月13日から値上がって、2年後には1箱10€を目指すとか。喫煙者は、日本からタバコを持って来た方が良いかも、です。そして、郵便料金は来年1月1日から値上げ。利用客が減ったので、値上げだそうで、大体10サンチームくらいの値上げらしい。郵便局の切手は、ネットで買って自宅で印刷すると少し安くなるけれど、金額が印刷されただけじゃ、味気なさすぎ。綺麗な切手が貼られた手紙を受け取った時の嬉しさを、忘れたくないなあ。

一年中秋!の私の食欲

慣れとは怖いもので、最初はおお!?と思ったことでも、それが日常になってしまえばなんの疑問も持たなくなる。
日本人の友達が泊まりに来た。3日もいれば、こちらの生活習慣バレバレで、
「太ったなあ、たった3日で。昼も夜もフルコースだったし」
「は?」

フルコースを毎日出したつもりはない。前菜は野菜のポタージュ、あるいはサラミを数切れ、メインは肉か魚とご飯かパスタ、その後はチーズとレタス。そして果物かヨーグルトなどのデザートで締める。別に高級レストラン並みの食事を作っているつもりはない。

長さ30センチ弱の羊のモモ肉をオーブンで焼いただけのシンプル料理。(食後の残骸写真ですみません)でも、日本の食事に慣れた人から見れば、この量がフルコースということに気がついた。
「昼からワイン飲んでるし…」
「あら、フランスではワインは味噌汁がわりの食事の共だよ」

そうか、人はこれをフルコースと呼ぶのか。やはりこんな食事をしていたら太るのは当たり前か。去年のズボンが入らなくなったのは、当然の結果だったのだ。この前一時帰国した時に、やたらにお腹が空いていたのは、一生懸命働いたからではなくて、単純に私の胃が肥大していたからなわけ?脂っこいものに慣れた胃には、さっぱり系は腹持ちが悪いと言うことらしい。
日本人の友人を呼んだ甲斐があった。フランス人には当たり前の食事でも、日本生まれの日本人には、危険な食事だと言うことを気づかせてくれた。ありがたや~

「あら、電子レンジないの?自動食器洗い機もないの?」
「あ…、無ければないでどうにかなるし…」
「ご飯どうやって温めてるの?ふかしてるの?食器洗い機もないのなら、洗い物が多くて大変でしょ」
確かにそうだ。毎回ものすごい量の鍋やら皿を洗っているけれど、それが当たり前になってしまった。日本にいた時は3種の神器だったのに。
思えばフランスに来た当時、今から25年前、オーブンはあっても電子レンジがある家は少なかった。電子レンジは超高かったし、すぐ壊れると聞いていたから、買わずに今日まできた。食器洗い機は当時から確かに普及していたね。フランスでは、いわゆる「専業主婦」はブルジョアくらいで、夫婦共働きが普通だから、疲れて帰ってきて食事の用意をするのがやっとなのに、さらに食器を洗うなんてとんでもないわけ。でもこれは持ち家のある人で、借家で引越が多い身には必要ないから、今まで考えたこともなかった。しかし、世の中一般はそうでないらしい。ふうむ、ちょっと考えてみよう。

パリは北京化するか?

パリの貸自転車戦争が熱い。独占市場だったヴェリブの存続危うし。

公道ならどこにでも乗り捨てられるのが売り物の貸し自転車 Gobee.bikeに続き、黄色い自転車のoBikeが出たらしい。まだ見たことないけれど。

元祖貸し自転車屋のヴェリブは、電動自転車で対抗の構えで、現在駐輪場を改修中。

ノエルの準備が始まった

巨大なクリスマスツリーの飾り付けは、クレーン車。スケールでかいっ

観覧車も組み立て中。これはパリではありませんが。。。

オペラ座ガルニエ宮のショップのクリスマスツリー

寿司キットはいかが?

簡単で素早くできるのが謳い文句の寿司キット。海苔3枚、寿司用の米200g(くっつく米ということ。タイ米では握れない)、わさび、醤油、生姜、巻き簾、箸2膳、寿司の作り方解説書が入っていて、6.52€。魚とエビ、そして生野菜を用意することと書いてある。これで作った寿司を見て見たい。でも食べたいとは思わない。だって、全ての魚が生で食べられると思っている人が多いからね。以前、フランス人の家に招待されて、イワシのおろし身で作った寿司が出てきてたまげた。生食用と調理用の違いがわからない人がほとんどだもの。怖くて食えん。

山田マミ プロフィール

幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。