フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
来た~寒波~!
世界最大級の短編映画祭
この寒波の中、クレルモン=フェランの国際短篇映画祭に行って来た。クレルモン=フェランってどこじゃって、フランスのど真ん中、パリから真下に下ったところで、ペットボトルのお水でおなじみの、ヴォルヴィックの地方です。
あら、フィリップ・ドゥクフレの作品によく出ていたエリックが写ってる。
世界最大級の短編映画祭で、今年が40回目。毎年14万人が来場するという有名な映画祭で、街は賑わい、15会場のほとんどが満席。朝10時から夜10時15分まで7回の上映会があって、3.5ユーロの入場券で1回に4~6本が見られる。1本40分以下だからね。前売り回数券はもっとお得。でも、買う必要なし。というのは、少し早めに会場に行って、入場券売り場の前でウロウロすると、余った券を売ってくれる人が必ずいるからね。購入した金額で転売すれば違法じゃないから、問題なしで、私たちは2ユーロの券を7枚ゲット。超お買い得!
見終わって会場を出ると、もう次の回を見る人の列がずらっと並んでいて、アビニヨン演劇祭を思い出した。劇場のホールはごった返している。
階段の踊り場には、巨大クッション。ここで一休みできるのはありがたい。映画を一日中見続けるのは、疲れるのだ。
映画には疎いし、500本弱の作品があるから選びようがない。そこで、行き当たりばったりで見ていたら、偶然日本からの出品作に出会った。
笹井歳春監督の「戻る場所はもうない」。干し柿を作る農家で暮らす兄と妹の、平凡で静かな日々が、この農家に来た研修生の失踪事件をきっかけに崩れていくという話。少しずつ事件の真相が見えてくる作風で、若年アルツハイマーに侵された妹と、それをそっとかばう兄の姿に、暖かくも残酷な心理が見え隠れする。
すごく良い映画だったのに、上映順が悪かった。前の作品が、警察への痛烈なパロディ(ベルギーのセバスチャン・ペトレッティ監督の「État d’alerte sa mère」)で、たった6分の爆笑作品だっただけに(ちなみに、笑いの部門で受賞した)、たった10秒で頭を切り替えることは不可能。しかも静かな田舎の風景とゆったりとした時間の流れを感じさせる映像から始まったから、なおさらのこと。これは運が悪かったとしか言いようがない。良い映画だっただけに残念。後でネットを見たら、昨年秋の第11回田辺・弁慶映画祭のコンペティション部門で、主演したルー大柴さんが男優賞を受賞、作品も「明日への期待賞」を受賞していた。フランスで良い映画に出会えるとは、ラッキー。
もう1本、日本からエントリーの板橋基之監督「お弁当」を見に行ったら…
この程度の列だから大丈夫だろうと、5分ほど寄り道して戻ったら、列がこーんなに長くなっている。
たったの5分の違いで、この長さ。しかも会場45分前。マジで人気の映画祭なのだ。
「みなさん、この線より後ろに並んでいる人は、入れる可能性がありません」と繰り返す係員。でもね~、なんとかなるのがフランスよ、などと周りのフランス人と笑い飛ばしていたのだが、係員のいうことは正しかった。外からは見えなかったのだが、建物の中にすでに長い列ができていて、なんと目の前でアウト。「あと一人だけ、頼む~」「残念だけど、ダメ」消防法で立ち見はダメなのだ。グワ~ン
どうしても見たい場合は1時間前から列を作らなくてはならないらしい。この寒さの中、映画を見るのも一苦労。
この映画祭は、国際舞台への登竜門だそうで、応募料は無料という太っ腹の映画祭。入賞すれば賞金も出るし、海外配給や制作出資などの商談ができるマーケットもあるという。グランプリに輝けば、アメリカのアカデミー賞短編部門の応募資格がもらえるとか。映画祭へのスポンサーがばっちりついているので、これだけのことができるのだ。さすがフランス、映画の国だけある。
毎年一番寒い時期に行われる映画祭、でも中身は熱い!
今年のプログラム表はこちらをクリック
http://my.clermont-filmfest.com/01_festival/08_programmes/cata_virtuel18/mobile/index.html#p=4
日本人の活躍がさっぱりわからなかった、平昌オリンピック
マイナス20度の中での開会式で始まった冬季オリンピック。もちろんフランスでも話題は持ちきり。でも、そっちの朝10時はこちらの夜中の2時で爆睡中。テレビは実況中継をしているけれど、徹夜してまで見る気はない。朝起きてテレビをつけると、韓国ではナイター試合になっているから、フィギュアスケートは録画でしか見られない。しかも、国別対抗、フレンチファーストだから、日本人の活躍などさっぱりわからん。メダルを取ってくれないと映らない。取ってくれても、さらりと流されて終わり。それでも、羽生結弦選手の演技はオンエアーされた。素晴らしいものは誰が見ても素晴らしいのだ。宇野昌磨選手も見れた。しかし、それ以外の日本選手の活躍は、ほとんど映らないから、ネットが頼り。ネット、ありがたや~
フランスではなんといっても、バイアスロンのマルタン・フォルカードが超人気。
期待通りにメダルを取って、団体競技でもフォルカードばかりが取り上げられて、他の選手の影が可愛そうなほど薄くなっている。これはあんまりだ!と憤慨するツレ。
ところで、このフォルカード、金メダルを取った15kmのマススタートでは、スタート直後に転倒して時間をロスしたにも拘らず、金メダル。そのゴールでの首位争いは熱かった。
ドイツ選手とほぼ同時にゴールイン。写真判定で数センチ足先がゴールに達してたフォルカードが優勝。こんなのあり?たった数センチの差による、金と銀の重みは大きい。ドイツの選手はさぞ悔しかったことか。
公表された写真を見て、お~ 見事なグランスピリッツ!スキーヤーも体が柔らかくなくてはいけないみたい。これはピンボケ写真ですが、はっきり見たい方は、下記のURLをクリックしてくださいね。ちょっと驚きです。
https://sport.francetvinfo.fr/les-jeux-olympiques/jo-2018-martin-fourcade-remporte-la-mass-start-et-devient-le-sportif-francais
パリのお散歩
メタボを解消しよう!
「メトロ、ブロ、ドド(メトロに乗って、仕事をして、うちに帰って寝る)」だけの1日を過ごすパリジャンの健康のために、少しでも体を動かそうという気遣いを発見。オペラ座近くの歩行者用道路にあったオブジェは健康器具なのだった。
これと、
これは、ハンドルを持って足を乗せて、前後に動かすだけの簡単なものだけれど、慣れない私はコツをつかむのにちょっと時間がかかってしまった。
これはウエストを細くするためのものかしら。
仕事の合間のストレス発散には良いかも。でも、これをやっている大人を見たことがない・・・
シャンゼリゼ大通りにあるアディダスの店内は、驚きの広さ。この前行ったときは、店員がサッカーボールで遊んでいて、それでもちっとも邪魔にならない。それほどのスペースを取れるという贅沢な空間!
地下ではサッカーボールを転がして遊べるエリアも。
広い店内って、気持ちがいい!
あら?クリスマスの飾りがまだ飾ってある?あ、そうか、もうすぐ旧暦の新年だから、中華街ではお祭りの準備なのね。
テロを防ぐためなのか、エッフェル塔の敷地に入るのに荷物検査がある。自由に散歩できた昔が懐かしい。
写真を撮っていたら、「Do you speak English?」とか、「写真撮りましょうか~」などと言いながら寄ってくる人多数。危険危険!ぼったくられないように、ひったくられないように気をつけねば。
どうやらパリが水浸しになることは避けられるみたいだ。アルマ橋のズアーブ兵の像は、パリが水没するかどうかの目安になっていて、1910年の氾濫の時には、セーヌ川の水位は、像の肩まで来ていたとか。1月は肘近くまであった水位が下がってる。このままいけば、パリは無事だ。雨よ、降るな~!!!
でも、まだ河岸の散歩もペニッシュでのコンサートもお預けだ。
ビジュアル的には、川幅が広がって綺麗なのだけれど、そんなのんびりしたことを見ている場合ではないのだ。
そうなんです、パリにはカモメがたくさんいるのです。海から登って、セーヌ川の魚を食べているのかと思ったら、市場の残骸を漁ってた。特に魚屋のスタンドが人気です。
山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。