フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
月初めの日曜日は、歩行者天国~!のシャンゼリゼ大通り
毎月最初の日曜日は、シャンゼリゼ大通りが歩行者天国になるのだった。知ってはいたが、忘れていたから、地下鉄を出ようとしたら、入り口が閉鎖されていて、あれ?
鉄の頑丈なシャッターが降りていて、完全封鎖のメトロ、フランクリン・ドゥ・ルーズベルト駅。
地下通路を延々と歩いて、やっとの事で外に出たら、わおっ、歩行者天国じゃん!と、疲れは即座に笑顔に変わった。
律儀な信号は、無駄に働いている。今日くらい休めば良いのに。ご苦労さん。
休めないのはポリスも同じ。
シャンゼリゼ大通りに通じる道は、すべて閉鎖。
おかげでパフォーマンス集団は金稼ぎに没頭できる。
ちなみにこちらの投げ銭は、1ユーロとか、それ以下の小銭がほとんどです。
ダンスざんす
6月は、ダンスがいっぱい!
モナコ公国モンテカルロバレエ団の「ル・ソンジュ」。
「真夏の夜の夢」をもとにした、ジャン=クリストフ・マイヨ振り付けの夢物語。たくさんのシーンがテンポよく展開して、めっちゃ楽しい時を過ごしました。
〜フェスティバル・ジュン・イベンツ〜
ミリアム:グーフィンクの新作「 Évaporé 」に出演した竹内梓さん。踊り終えて、笑顔です。クリエーションに参加できて、すっごく嬉しい!と。見応えありましたよ〜
フェスティバル・ジュン・イベンツは、ヴァンセンヌの森の中にあるアトリエ・ド・パリ、カロリン・カールソンさんが芸術監督を務めるCDCN(国立振付開発センター)主催のフェスティバル。気候の良い時期に、森の中の劇場に公演を観に行くのが気に入っている。
フェスティバル・ランコントル・コレグラフィックの最終日に上演されたミレーヌ・ブノワ「ぎこちなさ」。出演していたのは、舞踊家の日置あつしさん。
無音で、「三番叟」と「鶴の声」を踊ったのには驚いた。日本人にはない感覚で、伝統芸能を追求するミレーヌ・ブノワさん。京都のヴィラ・九条山に滞在して創作した作品でした。
公演後にはトークがあって、日本滞在の感想が興味深い。日本人が教会の鐘の音をと聞いて「おお、ヨーロッパだ」と思うのに対して、お寺の鐘を聞いて感動するフランス人。聞きなれない、見慣れないものはすべて新鮮に映るということですね。
〜振り付けコンクール ダンス・エラルジー〜
2年ごとに開催される振り付けコンクール。エラルジーというからには、ダンスの定義をどこまで広げられるかが問われるコンクールだと思っている。今年は演劇要素は強いものの、振り付けがある作品が多くて面白かった。6月中旬の週末2日間に渡って行われるうち、初日の準決選の土曜日に観に行くのをお勧め。朝11時半から夕方5時半まで、18組を見るのは1日かがりになるけれど、ファイナルに進めなかった8組に面白いものがあるからね。
この作品は爆笑ものだった。題して「クリトリスバレエ」。タイトル通り、女性の性器の装置をバックに、タマタマちゃんやクリクリちゃんが飛び出す漫才みたいなダンス。お笑いだけれど、構成はしっかりしていて、よくできていると思ったのに、審査員の方々のお好みではなかったらしく、ファイナルには進めなかった。
サッカー選手でもあるナターシャ・ステック振付の「フランス対クロアチア」も面白かった。サッカーの動きを少し変えれば、ダンスになるのね。ファイナルには進んだけれど、入賞せず。
みなさ~ん、今後の活躍を期待していますよぉ~!
もちろん日本からの応募もできるので、興味のある方は是非。 出演条件は、10分以内の作品で、3人以上が舞台にいること、それだけ。興味のある方は、ぜひ。次回は2020年の予定です。
フェスティバル・モンペリエダンス
毎年楽しみにしているフェスティバル・モンペリエダンス。お気に入りの街だし、何より南の開放感が好きだから、中旬を過ぎるとウキウキしてくる。今年も美味しいプログラム。悩んだ結果、どうしてもアクラム・カーンを見たくて、27日に到着。
ああ、この南独特の強い日差しが嬉しいが、ちょっと暑すぎかも。
フェスティバルはソルドと時期が重なるので、ついつい散財してしまう。ホテルからモンペリエダンスの本拠地まで、商店街を通り抜けなくてはならないのがよくないのかもしれない。パリとはちょっと違った雰囲気の店が物珍しく、すうっと吸い寄せられてしまう。
今年は初日からすでに50%引き、しかもさらに10%割り引きますよの甘い広告。でも、疑ってかかれでございます。50%まで割引するといえど、全商品が半額ではないし、さらに10%の割引をゲットするには条件がある。それを店内でよく確かめてからレジに向かいましょう。
可愛い小道に入ると、絵葉書やカードが道の両脇に。カード専門店だったのだ。
モンペリエの中心街は、こんな小道がくねくねしていてなかなか楽しい散歩道。でも、登り下りがあるので、歩きやすい靴で回るのが良いです。
ユニクロ健在
先生に連れられて、社会科見学の子供達。今日はどこへ行くのかな
人が集まる企画は必ず警察に届け出をしなくてはならないのがフランスの決まり。今朝のオープンクラスには、ポリス自転車隊が到着。
余談ですが、団体旅行の集団写真撮影も、警察に届けなくてはならないそうで、撮影を阻止された学校があったらしい。修学旅行の記念撮影が危害を及ぼすとは思えないけれど…
風邪防止のマスクをしていればテロリストと疑われるし、日本の常識は通じないことがあるのだ。
オーレリアン・ボリーのオープンクラス。歩くだけだったので、つまらなかったという人も。でも、見ていると面白い。幼児を抱いたお母さんも子供も参加できて、家族向けのクラスだった。
青いシャツを着て背中を向けているのが、オーレリアン・ボリーさんです。
平日の朝にフェスティバルの本拠地で行われるトーク。今朝は元オペラ座エトワールで、現在スペイン国立ダンスカンパニー芸術監督のジョゼ・マルティネズさん。スペイン名の名前を加えて、ジョゼ・カルロス・マルティネズでフランスに戻ってきた。
祖国で安泰の地位獲得かと思っていたら、とんでもなかったらしい。苦労の連続で、やっとここまで来たという話に驚いた。就任してみたら、レパートリーなし、次の公演予定なし、しかもダンサーはトウシューズをすっかり忘れている…。スペインとフランスは陸続きなのに、文化は違うようで、クラシックバレエというのはほとんどないらしい。スペインにフランスのバレエを根付かせたいというマルティネズさん。忙しすぎて5年も踊っていないから、もうダンサーとして舞台に立つことはないし、当分新作は作れないだろうという言葉に、会場から「残念~」の声が。まずはバレエ団を立て直すことが第一と頑張って、来シーズンは世界ツアーも予定されている。でも、パリはまだだそうで、これまた残念~!
日本では、公開トークとなると、きっちりした服を着て、椅子に背筋を伸ばして座り、女性は膝を閉じて慎ましやかに、という構図なのだと思うけれど、こっちでは、服装自由で足組んで質問しちゃう。国民性の違いをいつも感じます
フェスティバル主催の屋外無料公演もお見逃しなく
今日は、地元のファブリス・ラマランゴム振り付けの「 A New Wild Blossaom」をファーブル美術館の前庭で
昨年亡くなったトリシャ・ブラウンの回顧展は素敵だった。
トリシャ・ブラウンはモンペリエによく来ていて、踊りながら絵を描く「イッツ・ア・ドロー/It’s a draw」を見たのが最後だったかな。その時の絵を、モンペリエダンスはちゃんと保存していた。えらい!
ブラウンの言葉と、
デッサン
ずっとこの空間にいたくなるような、気持ちの良い展示だったのは、ブラウンの気さくな人柄が表れていたからかも。
今年のフェスティバルのお目当ては、アクラム・カーンのソロ「クノセス」。何しろこれがカーンが踊る最後のソロなのだから。
いつものキレの良いカタックダンスかと思いきや、そのシーンがぶっ飛ばされて、戦争風景になった。天国から地獄へ。いつになく重いテーマだったけれど、たった一人で大舞台を埋めた存在感には圧倒された。写真を撮りたかったのだけれど、総立ちのカーテンコールで、私の背からは何も見えず、諦めました。。。来日公演もあるはずなので、ぜひ!
バットシェバ舞踊団は、オハッド・ナハリンの振り付けではなくて、ポルトガル人の若手マレーネ・モンテイロ・フレイタス振付の「 Canine Jaunâtre 3 」。
予想はしていたが、事前に様子を聞いておいてよかった。踊らないバットシェバ舞踊団を見たのは初めてだったから。
ダンサーたちが歌い、踊るラストは、踊らない作品からの解放感爆発という感じで、盛り上がっていて、やっぱりダンサーたちは踊りたかったのかな~と。
政治的な問題のために、公演は厳重な警備の下に行われ、近隣一帯は完全封鎖。切符を持っていなければ、歩行者も通れない。荷物検査も厳しかった。会場の横を走るトラムウエイも運休で、帰宅に困る人がいたのではないかと心配しながらも、トラムの音が気にならない公演というのは良いものだなあと思いながら見ていた。
パリのお散歩
嵐に襲われるフランス
5月下旬に始まった、激しい雷雨は、フランス全土に及んでいる。と言っても局地的で、雹が降って壊滅状態となったワイン畑から5キロ離れたところでは、一滴の雨も降らなかったとか。各地の被害は膨大で、保険会社の電話はパンク状態。嵐に関係なく起こった我が家のトイレの水漏れは、いつになったら修理しにきてくれるのだろう。電話が繋がらない…
小劇場でダンス公演を見ていたら、雷の音に混じって、金属を叩くような激しい音。トタン屋根だから、雨の音がダイレクト。ノイズ音がベースの作品だったので、嵐だとわかりながらも、生演奏っぽくて効果バッチリ。この作品の30分間だけの雷+豪雨とは、神が仕組んだものなのか?と思うくらいのグッドタイミング。踊っている本人はどう思ったのか知らないが。。。
そういえば昔、イタリアの古い劇場の袖にいたら、豪雨のためにいきなり壁が崩れたなんて話を思い出した。雨で天井が落ちたという知人が二人もいたし、床が傾いていて、物を落とすと必ず一方向に転がっていく家に住んでいる人もいるし、こちらに住もうと思っている人は、日本のような完璧設計の家ばかりではないことを、知っておくべきかも。
夏至の日は、音楽祭
山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、、、あっという間に13年。住めば都のフランスはパリで、納豆と豆腐を食べ、中華街でベトナム麺をすすり、日曜日はマルシェで季節の野菜と魚を買い、時に日本のカボチャを育て、楽しく過ごしております。