フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
パリのお散歩
天気はカレンダーを知っているのだろうか。6月になったらいきなり暑くなった。
衝撃的なパリのノートルダム寺院の火災から2ヶ月。ヤジ馬見物でシャトレ駅から歩いてみました。
駅を出て最初に目についたのが、市立劇場テアトル・ド・ラ・ヴィル
まだ改装工事中。いつになったら再開するのだろう。
おお!川向こうに見えるのは、ノートルダム寺院。すっきりした感じがするのは、尖塔がないせいかな
橋を渡りながら下を見れば、
あれ?パリ・プラージュはもう始まっている?
振り向けば、工事中のシャトレ劇場
橋を渡りきってシテ島に入れば、花市場
花市場を抜けると、警視庁。滞在許可証の更新はここなのだ。緊張しながら行った記憶が蘇る。
あ~残念、警視庁の音楽隊のコンサートが終わってしまった。さっきから軽快な音楽が流れていたのに、花市場を冷やかしていたのがいけなかった。
暑い。人だかりは、無料の飲料水をペットボトルに詰める人の列。水分補給は必要だが、いちいち水を買うのも面倒くさい。というわけで、街のあちこちにある無料の飲料水をいただくのだ。
パリにはこのような飲料水のみ場がいくつかある。もちろん安全。地方には、泉の水が常時流れているところがあって、通常は飲んでも問題なし。飲料用でないところは、X印で表示してあるのが普通。
どんなことになっても観光地は人であふれていました。工事のため、寺院前の広場は立ち入り禁止なので、遠くから眺めるだけ。
ノートルダム寺院、一周の旅でした。
水飲み場に並び、トイレにも並ぶ。パリはやたらと並ぶことが多い。
ここにも馬がいたのね。犬のフンを道路に置き去りにすると罰金取られるけれど、馬のフンは罰金の対象にならないのだろうか。。。
犬のフン、落書き、タバコの投げ捨て、罰金取られます。
天気も良いし、せっかくだから、先ほど見たパリ・プラージュらしき場所に行ってみた。
川の横の木陰でランチ、パリのど真ん中とは思えない環境だ。
ここなら静かに本を読めるなあ。
人に優しいパリになったのは素晴らしいけれど、主要道路を奪われて、運転する側にとってはムカつく光景。このせいで、さらなる渋滞が発生しているはず。まあ、パリ市の目標は、車を減らすことだから、仕方ないか。
川べりの散歩道はどこまで続いているのだろうかという好奇心に任せて歩いてみた。小さな川にぶつかって、道は高架の下を左に折れている。ほとんど人はいなくて、ちょっと不安になったけれど、そのまま歩いていたら、サンマルタン運河に出た。バスティーユの近くだったのだ。
信号がある。そうか、船が通るのだった。これが超長い。高低差のある運河を船が通るときには、水の高さを調節するから、かなり時間がかかる。しかし、イライラしてはいけない。パリという大都会だけれど、ここはのんびり景色を楽しもう。
船が行き過ぎると、橋がぐい~んと動いて、向こう側に渡れるのだ。リパブリック近くの動く橋は見たことがあったけれど、ここにもあったのね。
花の咲く遊歩道を歩いて、
公園で日光浴をする人を眺めて、気がついたらパリの東の端まで来ていた。6キロくらい歩いたらしい。途中で一杯ひっかけながらののんびり散歩。パリって歩くと楽しい街なのだ。
再びシャンゼリゼ大通りの歩行者天国
月の第一日曜日は歩行者天国になるシャンゼリゼ大通り。
凱旋門までスカーっと、あら?なんかいつもと違うなあと思ったら、信号機がない!土曜日の暴動で、信号機が引っこ抜かれたりしていたから、予防のために外したのかな。
信号機があったはずの場所に行ってみたら、これ。取り外し可能なのだ。よくできているものだ。
ロン・ポワンのあたりかな、警察の青い車がずらりと並んで車の侵入を阻止している。シャンゼリゼ大通りに入る道は全て警察の車で塞がれていて、警官が荷物検査をしている。あたしゃ昼の弁当を買いに出ただけなのに、行きも帰りも荷物検査でうんざりするが、このおかげで安心して歩けるのかと思うと、おまわりさん、ご苦労様、ということになる。
とうとうシャンゼリゼ大通りに自転車専用レーンが完成。ツールドフランスに参加した気分になって、凱旋門まで登ってみたいが、石畳は凸凹だから、振動でお尻から頭まで痛くなることを覚悟すべし。昔自転車で登って死にそうになったので、私はパス。
ちなみに歩行者天国の日は、メトロ1号線のいくつかの駅の、シャンゼリゼ大通りに面した出入り口は閉まっていることがあるので注意してね。
花より団子、音楽よりご飯
6月21日の夏至の日は、音楽祭なのに、大都市以外は静まり返っていた。田舎でエネルギーを持て余した若者たちが、ギターでもかき鳴らしてくれるのかと思ったら、どうやら田舎には老人と子供しかいないようで、いつも通りの何事もない平穏な1日で終わってしまった。
せっかく田舎に来たのにこれじゃあつまらないといって、ツレが見つけたのが「鶏のつるし焼き祭り、コンサート付き」。
行ってびっくり、見事に鶏が吊るされている。
真ん中で丸太を焼いて、その両脇に並んだ鶏。焼き加減は紐の長さで調節するとは、なかなかよくできている。
焼けたものから紐を短くして火から離し、全部が焼きあがったら丸太にシートをかけて、火を弱めて保温状態にする。なかなか手が込んでいる。吊るされた鶏は、音符みたいで可愛い。
この丸焼きにありつくためには、横のチャペルでのコンサートを聴かなくてはならないことを知らされていなかった私。まあ、これが田舎の音楽祭なのかなあなどと思いながら、お預けを喰らった形で音楽を聴き、終わった途端に外に出て鶏を確認。うまそうだ。1匹丸ごともらえるのかと思ったが、好みの部分を聞かれることもなく、盛られたのが手羽の部分でほとんど肉なし。しかしここは日本人、文句が言えない。愚痴をツレにぶつけながら、おかわり自由のパンでお腹を膨らまし、美味しくないケーキで食事を終わらせた頃、鶏肉が余ったとかで、「お代わりいりませんか~」早く言ってよ!
教訓:慌てる乞食は貰いが少ない
山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、あっという間におばさんになった。パリジエンヌを長年やっていたが、環境を変えるのも一つの経験と、地方都市に移住。山が見え、庭のある生活は新鮮だけれど、やっぱりパリが恋しくなる。イベントはたくさんあるし、人はうじゃうじゃいるし、デモに暴動、スリに騒音とエキサイティング。我が身を守るには、ボケている暇はない街なのだ。時々出没するパリで再発見をして、やっぱりパリが好き~!