フランス・パリ在住の山田マミさんが、現地発信の最新ダンス情報をタイムリーにリポート!
ダンスだけでなく、ワイン、フェスティバル、市場などなど、パリっ子たちの日常生活も、
山田マミさんによる独自の視点でお伝えします。動画によるダンス映像の配信も見所です!
大雨、雪、そして地震
11月1日と11日は祝日。祝土日を混ぜ込んで、いかに有効に休みを取るかに関しては、世界一機転が効くフランス人。
ツレはなんと10月31日から11月17日までほぼ半月分の休暇を取った。7日の有給休暇が18日連続の休みになる。こういうことに関しては用意周到だ。この能力をもう少し日常生活にも応用してくれるとありがたいのだが…。
まあとにかく、バカンスをとってウキウキと田舎の家に来たわけです。ところが、毎日雨。チョロチョロどころか土砂降りの雨。これが嵐になった。名付けてアメリー。名前は可愛いが、被害は膨大だった。
11月2、3日。日本では台風、アメリカではサイクロンというけれど、こちらではトンペット、嵐なのだ。台風並みの強風と雨で、家屋浸水(こちらでは床下がなく、土の上にいきなり家を建てるので、床下浸水はなくて、いきなり床上浸水)、土砂崩れ、建物崩壊が相次いだ。国鉄の南部と北部2カ所で線路の土手が崩れて、列車は見通しの立たない運休に。
あら大変と言っていたら、寒波が来て山では雪。スキーができるくらい積もったらしい。異常気象もほどほどにしてほしいと思っていたら、追い討ちをかけたのがフランス南東部のモンテリマーでの地震。ヌガーが有名なところだ。
11月11日マグニチュード5.4。地震多発地域ではないから対策などしていないし、築200年くらいの家がザラだから、何軒かの家屋は倒壊し、さらに800家屋が倒壊の危機ありで、教会もやばい。近くに原子力発電所があるものだから、「フクシマの二の舞になるのではないか」と不安を煽り立てる情報が飛び交う。
フランスは日本に比べて自然災害は少ないと安心していたけれど、そうも言ってられないようだ。クワバラ、クワバラ
11月17日の雪に、スキーができる!とツレは喜んでいたが、あっという間に消えた。今年は暖冬なのだ。
転んでもただでは起きないフランス人
フランス人の多くがそうなのか、ツレがそうなのかわからないが、結構コスパが高いと思うことがある。有給休暇を始め、利用できるものは最大限に利用する。ハイキングだってそうだ。なぜ秋なのか、それは秋の味覚のくるみや栗を拾い、雨上がりの2日後ならキノコ。食材探し付きのハイキングは気合が入る。
今年は雨が多かったおかげで、きのこがわさわさ生えている。雨は好きではないが、きのこは好きだ。
「近眼なんだ」と言う割にはメガネもかけずに、10メートル先の草むらや落ち葉からちょこんと頭を出しているキノコを発見する能力は天才的だ。こっちは慣れない山道歩きで、景色どころかキノコを探す余裕など全くなく、ひたすら転ばないように足元見ながら前進するのみだ。
本物そっくりな毒キノコをちゃんと見分けてくれるので安心だ。昔は薬局に持っていけば見分けてくれたものだが、近年キノコ識別試験が廃止されたとかで、見分けられる薬剤師は貴重な存在となった。
これはもちろん毒キノコ
お盆は菊を買って
ドロテ・ジルベール自叙伝発刊記念サイン会
目の保養とは、このことか!ため息つきっぱなしのラクロッシュ宝石展
20世紀前半にパリやロンドンで一斉を風靡したラクロッシュの宝石展。ヴァンドーム広場近くにある宝石学校での開催。
ラペ通りに店があったそうで、この界隈はブルジョアが行き交う通りだったのだ。
とにかく作業が細かい!大きな虫眼鏡を用意してくれているので、それで拡大して見る。全て手作業だろう、これだけ美しく、気品に満ちた装飾品にため息が漏れるばかり。
年代的にジャポニズムが流行った頃のものがあった。ブレスレットなども素敵だけれど、時計も見事。こんなものに囲まれての生活をしていた人がいたわけね〜。
この学校では、このような宝石展を行っているので、目の保養にぜひ!通常は入場無料です。
https://www.lecolevancleefarpels.com/fr/news/exposition-lacloche-joailliers
ボジョレーヌーボー
11月の第3週目の木曜日はボジョレーヌーボーの解禁日だという認識はあった。しかし、すっかり忘れて当日の日本のネットニュースを見て「あ、今日が解禁日だったのだ」ということに気づく。運悪く雨が降っていたので、街中のおしゃれなバーに行く元気が出ず、「週末のお買い物の時に買おう」と言っていたのだが、これまたすっかり忘れて買い物を終え、家に帰って気づく有様。我が家では存在感薄いボジョレーヌーヴォーなのだった。
山田マミ プロフィール
幼少よりダンスを始め、80年代はアメリカに没頭するが、今は亡きダンス・ア・エックスでローザスの「オットーネ・オットーネ」を観て、ヨーロッパの歴史の深さに圧倒され、フランスに移住。しかし、言葉の壁に阻まれ、英語圏への脱出を計画。ところがその矢先、腹ぺこで歩いていた私に「ヴォワラ、マドモアゼル」と林檎を差し出してくれたおじさん。レストランに仕入れる林檎が1個足りなくなってもいいのかしらと心配しつつも感動!もしかしたらフランス人ってすっごく優しいかも?脱出計画は一挙に吹っ飛び、フランス定住を即決める。住んでみたら奥が深いフランス生活。1年が2年になり、あっという間におばさんになった。パリジエンヌを長年やっていたが、環境を変えるのも一つの経験と、地方都市に移住。山が見え、庭のある生活は新鮮だけれど、やっぱりパリが恋しくなる。イベントはたくさんあるし、人はうじゃうじゃいるし、デモに暴動、スリに騒音とエキサイティング。我が身を守るには、ボケている暇はない街なのだ。時々出没するパリで再発見をして、やっぱりパリが好き~!