(2012.7/5 update)
イキイキと輝いて、踊る喜び、楽しさを伝えるのは高い水準の表現力と技術を持つ子供たち。
”かやの木芸術舞踊学園”は常に観客の心をとらえる作品を発表し続けている。その学園長として舞踊界を牽引する平多宏之氏に児童舞踊の魅力を聞いた。
コンクール経験が指導者・創作者としての自信をもたらした
もともとご両親のご理解も得て、先生は踊りと親しんでいらしたから。
はい、そうです。たまたま一回、都内の町田の教室へ小坂先生という方についていきました。
小坂先生がご主人の転勤で九州へ行かれて町田の教室はどうするか、となった。
「まだ早いけど、いいか」と新しく入ったばかりの私を指名してくれて、私は上を目指していたから「はい、やらせてもらいます」。吉祥寺ではそこの先生がショウダンサーを目指して辞めることになって、一気に2カ所で教えることになりました。幼時コンクールが昔あった時に私も出させてもらったんですが、あんた早いよ、先輩も出していないのにと言われました。でも運良く、町田も吉祥寺も生徒たちが入賞した。すると人間って不思議なものでそれが自信につながるんですね。
次の年から児童舞踊に出させてください、というと正於先生がいいよ、と。教える側がこれだと納得して、感応できて、そして子供たちの教育になる。
私は人間形成に児童舞踊っていうのは最高の基幹であると思います。
東京新聞のコンクールでは、その幼時舞踊が復活しました。
復活させたのは私なんです。というのも児童舞踊のレベルが上がってしまってみんな出せなくなった。それで幼時コンクールを復活させてほしいということになって東京新聞の馬越さんと一年がかりで考えた結果、出場者をはずすことはしないで、入賞敢闘賞、入選敢闘賞、敢闘賞、おみやげはみんなにあげることにしました。今年からは賞状も全員に一枚ずつあげることになりました。
今、私は3つほど幼稚園の生活発表会をやってますが、ちょっと手を加えてあげるだけで、子供達の踊りが全然変わるんです。先生のところはよっぽどしごくんでしょう?と聞かれることがありますが、しごくのではなく、どうやってやる気を起こさせるかということ。うちで習っている子供たちが学校でもどんどんリーダーになってクラスを引っ張って通知表もよいので、どういう教育をしているのかと校長先生、教頭先生が見に来て、頷けましたというお手紙をいただいています。
うちの生徒で舞踊家にしようなんていう家族は一人もいません。かやの木芸術舞踊学園、舞踊ゆきこま会ではまずどうやって人間形成をしていこうかというのがあるんです。
親も子も一緒に作品づくり
児童舞踊でむずかしいと感じられることはおありですか。
子供たちを、当人も観客も感動させるまでもっていくにはどうしたらいいのか。上手な子は一杯いるんです。バレエ志向の先生方が教えているように、キチっとした基本を持っていてうまいんです。うまいんだけど、内容が。
現代舞踊でもタイトルはついているけれども時々その内容と合わないものがある。実はその踊りはどんな題名つけても合う。そうじゃなくて、タイトルつけた以上はそのタイトルの作品をやらないと。
現代舞踊を見ていると、確かに踊るお子さんがテーマを理解できずにいるために客席にも伝わって来ない場合もありますね。
児童舞踊は民族舞踊からバレエから全部集約されて、子供の成長に合ったものを、とやってきました。今は少子化で、塾に行かせてその子に賭けてしまう。とにかく学校の勉強さえできればいい、と。かやの木芸術舞踊学園では、自作自演で子供たちが親とスキンシップで作品づくりに没頭することになります。これは人生でものすごい力になると思う。
「家族でああでもないこうでもないとケンカしながら、なんとか作りあげた。前はただ揉めていただけだったのがお互い相談できるようになりました。」 逆に、「口もきかなったのが、いい意味でケンカできてコミュニケーションがうまくいくようになりました」と保護者の方々から言われます。
実際どのように作られるのですか?
たとえば今年の東京新聞のコンクールに出た「カニッ、カニッ、カニ」ですが、とことんカニとはどんな生き物かを幼稚園の生徒たちみんなで川に観察に行って絵を描いたりして調べてくるんですよ。そういうやり方で興味を持たせる。それでカニの生態がわかる。でも振付を覚えるのが大変で(笑)、手脚からじょじょにやっていく。さてカニは泡を吹く。この泡をどう表すか。するとお母さんたちがおしゃぶりはどうですか?と。ではおしゃぶりを糸で2,3個つけて動きを出して。カニは穴から出てきて手旗信号って昔からいいますね。じゃ手旗を持たせよう、とだんだん発展させていったんです。子供達は喜んで踊って、自慢話のようで恐縮ですが、あのカニはどうなってるの、ダントツだったと審査員室が初めて沸きました。
本当に振付過程も楽しそう(笑)。かやの木の作品は多彩ですが、先生はミュージカルもつくっていらっしゃいますね。
正於先生の研究所に入った時、先生の作品づくりを見て勉強しながら、自分独自のものを作らなきゃだめだな、と。東京にいる頃、同僚と2人で「ウェストサイド・ストーリー」を見て、感動して立ち上がれないことがあった。その時からいつかミュージカルをやろうと心に決めていたんです。
世界に一つしかないペンダントです。ハワイのアーティストがデザインした物です。(マッコウクジラの骨でできています)魔除け 福を招く と言われています。
Q. 子供の頃に思い描いていた『夢』は何でしたか?
たくさんありすぎて書けません。その時々で夢は変わりました。
Q. あなたのこれからの『夢』は何ですか?
かやの木芸術舞踊学園だけでなく舞踊界全体が市民権を取れるように、残された人生を努力して行きたいと思います。
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